特売フイギュアワゴンの中に手を入れたら、人生変わるので注意してください。

木mori

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第三章

第八話

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一方、三輪車支配人教師はスイスイと登っていた。
下で三人を見つめていた桃羅は、必死の形相で、何かをガマンしていた。桃羅の水着はピンク色で、下のパーツではピーチのゆるキャラがウインクしている。

「お兄ちゃんは苦戦してるし、加えてアンちゃん委員長がジャマしてるっぽいし、助けたい。も、もうガマンできない!むう!」
桃羅は羽根を大きく広げて、全力で羽ばたき、レース上に飛んでいった。

「今助けるからね~!超ハグ!!」

「こら、やめんか!」
桃羅が抱きついたのは三輪車支配人教師だった。後ろから羽交い締め状態。

「抱き、抱き、抱き~!ホントはハグ!なんだけど、それはお兄ちゃん専用だから、他人には『疑似ハグの抱き!』を適用するんだよ!」

「こら、ジャマだ!どうしてこんなことをする!お主は宇佐鬼大悟の手伝いをするんじゃないのか?」

「それもしたいけど、それよりも三輪車を愛撫したいんだよ。抱き、抱き、抱き~!」

「お主、まさか。」

「そう、そのまさか。」

「三輪車に乗りたい年頃なのか?」

「違うよ!あたしは三輪車フェチなんだよ。三輪車だけじゃなく、子供用品全般だよ~!」

「なんじゃ、そりゃ!そんなの聞いたことないぞ。こら、やめろ~!」
三輪車支配人教師は桃羅の重量でバランスを崩し、一緒に落下した。

「うわわわあ!」
叫ぶ三輪車支配人教師は、羽根を限界まで広げて羽ばたき、地面スレスレで斜面にへばりついた。

「何が起こったのかわからないですけど、これはチャンスですわ。」

「そ、そうかもな。」
苦悶の表情だった大悟は、一転して目を爛々と輝かせている。一方、委員長の方は疲労からか、顔色は青くなっている。

「さあ、頂上まで来たぞ。」
結局、三人は同時に斜面のいちばん上にたどり着いていた。

(勝負としては引き分けになったのかしら?)

「さにあらず。ここからが本番じゃ!」

(どういうことなの?まさか、ここから下に走るとかいう冗談はやめてよね?委員長もそう思うよね?)

「ガタガタガタガタ。」

「あれ?地震でも起こりましたの?激しく揺れてますわ。」

「ガタガタブルブル。」

「発信源はアンちゃん委員長だよ。」
桃羅が指摘した通り、委員長が全身全霊で振動を起こしていた。

「委員長って、まさかの高所恐怖症ですの?」

「ガタガタブルブル。」
委員長は震えることしかできなかったが、肯定の様子。

(支配人先生。ここからどうするのよ。)

「見ての通りじゃ。ここからまっさかさまに、ノーバンジージャンプじゃ!」

「ノーパンしゃぶしゃぶ?エロ過ぎますわ!」

「違う!いつの時代の官僚接待じゃ!」

「ノーバンジージャンプは、文字通り、ノーバンジーじゃ。」

(言ってる意味がわからないわ。わかるけど、わかりたくないわ。)

「それにアンちゃん委員長はもう瀕死の状態だけど。」

「それならまさに好都合じゃ。死ンデレラなら、ついでに地獄に落ちればよい。」

(ちょっと待ってよ。委員長はいいけど、アタシには輝く未来があるんだけど。)

「未来は常に光に照らされてるとは限らん。悪魔は闇に埋もれてしまうのがお似合いじゃ。」

(何変なこと言ってるのよ。下は茶色の地面じゃない。アタシは天使と争っているだけで、地球とケンカする気はないわ。)

「四の五の言うな。そりゃ!」

「どうしてあたしまで!」
三輪車支配人教師に張り付いていた桃羅も含めて三人が同時にジャンプ!正確には転落した。あまりの重力加速度に、羽根を動かすこともできない。

「(「「「し、死ぬ~!ガクッ。」」」)」

大悟・楡浬と委員長と桃羅は着地前に空中で気絶した。痛みを感じることなく死ねることだけは大悟たちには不幸中の幸いだった。

「(「「「・・・。」」」)」
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