37 / 70
第三章
第八話
しおりを挟む
一方、三輪車支配人教師はスイスイと登っていた。
下で三人を見つめていた桃羅は、必死の形相で、何かをガマンしていた。桃羅の水着はピンク色で、下のパーツではピーチのゆるキャラがウインクしている。
「お兄ちゃんは苦戦してるし、加えてアンちゃん委員長がジャマしてるっぽいし、助けたい。も、もうガマンできない!むう!」
桃羅は羽根を大きく広げて、全力で羽ばたき、レース上に飛んでいった。
「今助けるからね~!超ハグ!!」
「こら、やめんか!」
桃羅が抱きついたのは三輪車支配人教師だった。後ろから羽交い締め状態。
「抱き、抱き、抱き~!ホントはハグ!なんだけど、それはお兄ちゃん専用だから、他人には『疑似ハグの抱き!』を適用するんだよ!」
「こら、ジャマだ!どうしてこんなことをする!お主は宇佐鬼大悟の手伝いをするんじゃないのか?」
「それもしたいけど、それよりも三輪車を愛撫したいんだよ。抱き、抱き、抱き~!」
「お主、まさか。」
「そう、そのまさか。」
「三輪車に乗りたい年頃なのか?」
「違うよ!あたしは三輪車フェチなんだよ。三輪車だけじゃなく、子供用品全般だよ~!」
「なんじゃ、そりゃ!そんなの聞いたことないぞ。こら、やめろ~!」
三輪車支配人教師は桃羅の重量でバランスを崩し、一緒に落下した。
「うわわわあ!」
叫ぶ三輪車支配人教師は、羽根を限界まで広げて羽ばたき、地面スレスレで斜面にへばりついた。
「何が起こったのかわからないですけど、これはチャンスですわ。」
「そ、そうかもな。」
苦悶の表情だった大悟は、一転して目を爛々と輝かせている。一方、委員長の方は疲労からか、顔色は青くなっている。
「さあ、頂上まで来たぞ。」
結局、三人は同時に斜面のいちばん上にたどり着いていた。
(勝負としては引き分けになったのかしら?)
「さにあらず。ここからが本番じゃ!」
(どういうことなの?まさか、ここから下に走るとかいう冗談はやめてよね?委員長もそう思うよね?)
「ガタガタガタガタ。」
「あれ?地震でも起こりましたの?激しく揺れてますわ。」
「ガタガタブルブル。」
「発信源はアンちゃん委員長だよ。」
桃羅が指摘した通り、委員長が全身全霊で振動を起こしていた。
「委員長って、まさかの高所恐怖症ですの?」
「ガタガタブルブル。」
委員長は震えることしかできなかったが、肯定の様子。
(支配人先生。ここからどうするのよ。)
「見ての通りじゃ。ここからまっさかさまに、ノーバンジージャンプじゃ!」
「ノーパンしゃぶしゃぶ?エロ過ぎますわ!」
「違う!いつの時代の官僚接待じゃ!」
「ノーバンジージャンプは、文字通り、ノーバンジーじゃ。」
(言ってる意味がわからないわ。わかるけど、わかりたくないわ。)
「それにアンちゃん委員長はもう瀕死の状態だけど。」
「それならまさに好都合じゃ。死ンデレラなら、ついでに地獄に落ちればよい。」
(ちょっと待ってよ。委員長はいいけど、アタシには輝く未来があるんだけど。)
「未来は常に光に照らされてるとは限らん。悪魔は闇に埋もれてしまうのがお似合いじゃ。」
(何変なこと言ってるのよ。下は茶色の地面じゃない。アタシは天使と争っているだけで、地球とケンカする気はないわ。)
「四の五の言うな。そりゃ!」
「どうしてあたしまで!」
三輪車支配人教師に張り付いていた桃羅も含めて三人が同時にジャンプ!正確には転落した。あまりの重力加速度に、羽根を動かすこともできない。
「(「「「し、死ぬ~!ガクッ。」」」)」
大悟・楡浬と委員長と桃羅は着地前に空中で気絶した。痛みを感じることなく死ねることだけは大悟たちには不幸中の幸いだった。
「(「「「・・・。」」」)」
下で三人を見つめていた桃羅は、必死の形相で、何かをガマンしていた。桃羅の水着はピンク色で、下のパーツではピーチのゆるキャラがウインクしている。
「お兄ちゃんは苦戦してるし、加えてアンちゃん委員長がジャマしてるっぽいし、助けたい。も、もうガマンできない!むう!」
桃羅は羽根を大きく広げて、全力で羽ばたき、レース上に飛んでいった。
「今助けるからね~!超ハグ!!」
「こら、やめんか!」
桃羅が抱きついたのは三輪車支配人教師だった。後ろから羽交い締め状態。
「抱き、抱き、抱き~!ホントはハグ!なんだけど、それはお兄ちゃん専用だから、他人には『疑似ハグの抱き!』を適用するんだよ!」
「こら、ジャマだ!どうしてこんなことをする!お主は宇佐鬼大悟の手伝いをするんじゃないのか?」
「それもしたいけど、それよりも三輪車を愛撫したいんだよ。抱き、抱き、抱き~!」
「お主、まさか。」
「そう、そのまさか。」
「三輪車に乗りたい年頃なのか?」
「違うよ!あたしは三輪車フェチなんだよ。三輪車だけじゃなく、子供用品全般だよ~!」
「なんじゃ、そりゃ!そんなの聞いたことないぞ。こら、やめろ~!」
三輪車支配人教師は桃羅の重量でバランスを崩し、一緒に落下した。
「うわわわあ!」
叫ぶ三輪車支配人教師は、羽根を限界まで広げて羽ばたき、地面スレスレで斜面にへばりついた。
「何が起こったのかわからないですけど、これはチャンスですわ。」
「そ、そうかもな。」
苦悶の表情だった大悟は、一転して目を爛々と輝かせている。一方、委員長の方は疲労からか、顔色は青くなっている。
「さあ、頂上まで来たぞ。」
結局、三人は同時に斜面のいちばん上にたどり着いていた。
(勝負としては引き分けになったのかしら?)
「さにあらず。ここからが本番じゃ!」
(どういうことなの?まさか、ここから下に走るとかいう冗談はやめてよね?委員長もそう思うよね?)
「ガタガタガタガタ。」
「あれ?地震でも起こりましたの?激しく揺れてますわ。」
「ガタガタブルブル。」
「発信源はアンちゃん委員長だよ。」
桃羅が指摘した通り、委員長が全身全霊で振動を起こしていた。
「委員長って、まさかの高所恐怖症ですの?」
「ガタガタブルブル。」
委員長は震えることしかできなかったが、肯定の様子。
(支配人先生。ここからどうするのよ。)
「見ての通りじゃ。ここからまっさかさまに、ノーバンジージャンプじゃ!」
「ノーパンしゃぶしゃぶ?エロ過ぎますわ!」
「違う!いつの時代の官僚接待じゃ!」
「ノーバンジージャンプは、文字通り、ノーバンジーじゃ。」
(言ってる意味がわからないわ。わかるけど、わかりたくないわ。)
「それにアンちゃん委員長はもう瀕死の状態だけど。」
「それならまさに好都合じゃ。死ンデレラなら、ついでに地獄に落ちればよい。」
(ちょっと待ってよ。委員長はいいけど、アタシには輝く未来があるんだけど。)
「未来は常に光に照らされてるとは限らん。悪魔は闇に埋もれてしまうのがお似合いじゃ。」
(何変なこと言ってるのよ。下は茶色の地面じゃない。アタシは天使と争っているだけで、地球とケンカする気はないわ。)
「四の五の言うな。そりゃ!」
「どうしてあたしまで!」
三輪車支配人教師に張り付いていた桃羅も含めて三人が同時にジャンプ!正確には転落した。あまりの重力加速度に、羽根を動かすこともできない。
「(「「「し、死ぬ~!ガクッ。」」」)」
大悟・楡浬と委員長と桃羅は着地前に空中で気絶した。痛みを感じることなく死ねることだけは大悟たちには不幸中の幸いだった。
「(「「「・・・。」」」)」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる