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第三章
第十話
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「あちち。」
「なぜか胸が熱くなったんだけど、気のせいかな、お兄ちゃん。」
「さあ、オレの口からは何とも言えませんわ。でも熱視線を飛ばしている三人は、声を出さないと思いますわ。愚痴を言ったら敗北感にまみれます。だから桃羅、安心なさい。」
「なんだかよくわからないけど、さすがお兄ちゃん。ありがとう。」
大悟・楡浬、委員長、三輪車支配人教師が横並びで一斉に胸を反らす。
(アタシは富士山よ。色、形も最高なんだからねっ!)
「何の。あたいはエベレストだよ。世界の屋根。やーねー、勝ち過ぎだよ。あたい、ウマい!プププ。」
「自分勝手に浮かばれとるのう。あたちこそ、チョモランマだぞ。あれ?エベレストとチョモランマってどこが違うんじゃ?」
「「(フガ、フガ、フガ。)」」
一様に三人が喚きながら、胸を反らす態勢は異様としか言いようがない。一般の生徒たちは固唾を飲んで見守っている。
「よし。ここらでモモが手伝ってあげるからね。」
(ちょっと、八百長禁止だわよ。)
「わかってるって。天使は不公平を嫌うんだから、大丈夫だよ。今のところは、どっこい、どっこいの勝負だね。」
赤点寸前でテストに向かう劣等生女子たちの三人に対して、桃羅はニヤリと下卑た笑みを浮かべている。スズメバチ防御服を着た桃羅はゴム製の頑丈な手袋をしており、その手には、何か蠢くものが握られていた。
伏臥そらしをしながらも桃羅の不穏な動きを鋭く察知した三輪車支配人。三輪車に乗りながら伏臥そらしができるという中国雑技団からソッコーでスカウトされそうな体の柔軟性を見せつけている。しかし、如何せん体はミニサイズであり、三輪車の高さを控除した伏臥そらし成績はパッとしない。
桃羅はうれしそうに、ゆっくりと、三人に近づいた。
この段階では楡浬・大悟、委員長も桃羅の不穏な動きを察知していた。
「もう、みんなわかってるね~。福引きを今から行うよ。三人には一枚ずつ、福引き券をひいてもらうからね~。」
修学旅行を前にはしゃぐ子供のように、ひとりでグッドジョブ!と親指を立てる桃羅。
「念のため確認するが、三人で三枚引くということは、二枚当たりで一枚ハズレということじゃな。質量保存の法則通りであろうな。」
「大正解!じゃあ、みんな引いてね。」
満面の笑みを呈する桃羅だが、大きな右の瞳には『悪』、左には『企み』と書いてある。
「当たりじや。」
「あたいも当たりだよ。」
「大悟のバカ!ハズレなんてひくんじゃないわよ。悪魔は悪運だけはついているはずなのに、盗まれたわ。悪魔の看板に泥棒だわ!」
楡浬フィギュアが大悟の肩をボコボコと叩いているように見えた。無論、それはオーラだけである。
「なぜか胸が熱くなったんだけど、気のせいかな、お兄ちゃん。」
「さあ、オレの口からは何とも言えませんわ。でも熱視線を飛ばしている三人は、声を出さないと思いますわ。愚痴を言ったら敗北感にまみれます。だから桃羅、安心なさい。」
「なんだかよくわからないけど、さすがお兄ちゃん。ありがとう。」
大悟・楡浬、委員長、三輪車支配人教師が横並びで一斉に胸を反らす。
(アタシは富士山よ。色、形も最高なんだからねっ!)
「何の。あたいはエベレストだよ。世界の屋根。やーねー、勝ち過ぎだよ。あたい、ウマい!プププ。」
「自分勝手に浮かばれとるのう。あたちこそ、チョモランマだぞ。あれ?エベレストとチョモランマってどこが違うんじゃ?」
「「(フガ、フガ、フガ。)」」
一様に三人が喚きながら、胸を反らす態勢は異様としか言いようがない。一般の生徒たちは固唾を飲んで見守っている。
「よし。ここらでモモが手伝ってあげるからね。」
(ちょっと、八百長禁止だわよ。)
「わかってるって。天使は不公平を嫌うんだから、大丈夫だよ。今のところは、どっこい、どっこいの勝負だね。」
赤点寸前でテストに向かう劣等生女子たちの三人に対して、桃羅はニヤリと下卑た笑みを浮かべている。スズメバチ防御服を着た桃羅はゴム製の頑丈な手袋をしており、その手には、何か蠢くものが握られていた。
伏臥そらしをしながらも桃羅の不穏な動きを鋭く察知した三輪車支配人。三輪車に乗りながら伏臥そらしができるという中国雑技団からソッコーでスカウトされそうな体の柔軟性を見せつけている。しかし、如何せん体はミニサイズであり、三輪車の高さを控除した伏臥そらし成績はパッとしない。
桃羅はうれしそうに、ゆっくりと、三人に近づいた。
この段階では楡浬・大悟、委員長も桃羅の不穏な動きを察知していた。
「もう、みんなわかってるね~。福引きを今から行うよ。三人には一枚ずつ、福引き券をひいてもらうからね~。」
修学旅行を前にはしゃぐ子供のように、ひとりでグッドジョブ!と親指を立てる桃羅。
「念のため確認するが、三人で三枚引くということは、二枚当たりで一枚ハズレということじゃな。質量保存の法則通りであろうな。」
「大正解!じゃあ、みんな引いてね。」
満面の笑みを呈する桃羅だが、大きな右の瞳には『悪』、左には『企み』と書いてある。
「当たりじや。」
「あたいも当たりだよ。」
「大悟のバカ!ハズレなんてひくんじゃないわよ。悪魔は悪運だけはついているはずなのに、盗まれたわ。悪魔の看板に泥棒だわ!」
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