特売フイギュアワゴンの中に手を入れたら、人生変わるので注意してください。

木mori

文字の大きさ
42 / 70
第三章

第十三話

しおりを挟む
背中の羽根で前に風を送るのは、決して容易なことではなく、スカートはなかなか動かない。
しかし、周りから強い風が吹いてきて、三人の体は宙に浮いてきた。さらにどんどん上昇している。

「あたちらのパワーがこれほどとは、びっくりじゃ。」

「いや、これは科学の力ですわ。ほら、あれを見なさい。」
大悟の指が指す下方面には巨大な扇風機があって、上に持ち上げるようになっていた。さらに、空中に上がった三人は上昇気流に乗り、上空へと舞い上がったのである。
三人はさらに上がっていき、ついに雲にまで到達した。

「こんな高いところにまできて、委員長は大丈夫でしょうか?心配ですわ。」

「ガタガタ、ブルブル。」
お約束通りダメダメな委員長であった。高所恐怖症は簡単には克服できないものである。

「それにしても面妖じゃ。こんな所に建物があるぞ。」
三輪車支配人教師が指した先には、白い雲には似つかわしくないドス黒い建物があった。屋根は中世欧州の城のように尖っており、壁には赤いペンキが滴り落ちるような絵がある。さらには、ドラキュラやフランケンシュタイン、ゾンビなどの絵が怪しく描かれている。

「これって、お、お化け屋敷じゃないの!恐怖の殿堂、伝道師、電動魔道具よ、電マ攻撃よ!」 
楡浬が震えながら問題発言を含めて叫んだ。

「大正解だよ。ちゃんと、看板にもホラーハウスってかいてあるからね。」
ヘリコプターに乗っている桃羅が、建物の玄関の上で今にも落ちそうに傾いている看板を指し示した。この高さでは、天使の羽根のみでは到底登って来れない。天使の羽根は飛ぶというより、神々しさを表現することに重点が置かれているのである。

「ほらみんな。入場料はタダだからじゃんじゃん入ってね。」

「タダより高いモノはないというのは、まさにこのことよ!ブルブル。」
楡浬フィギュアはひたすらブルッてるように感じられる。

「入場しないと負けになるよ。」

「どうしてですの?」

「建物以外の雲はあと5秒でなくなるから、超急いで下に降りれるから、安心して。」

「「「安心できるか!この同種セリフ、何度目だ?」」」
慌てて、暖簾のぶら下がった入り口に駆け込んだ大悟たち。

「それから忘れてるかもしれないけど、そもそもどんな形でも構わないから、パンツ読む勝負なんだから、それを忘れないでね。」
桃羅はハンドマイクで外からの大音量で説明した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...