特売フイギュアワゴンの中に手を入れたら、人生変わるので注意してください。

第四章

第二話

「ウ、ウソじゃ。ワハハハ。教師は教壇に立つのが仕事じゃ。そちらの席は宇佐鬼桃羅が戻ってきて空席もないしな。では、運動期間を含めて、委員長選挙を１ヶ月後に執り行うことにしよう。」

こうしていきなりクラス委員長選挙が開始された。当然ながら、大悟・楡浬は敗れれば放校が待っているという危機的状況は不変である。

（ちょっと、大悟。委員長選挙なんて、あまりに大きく出過ぎじゃないの。委員長選挙なんて、ほとんど人気投票じゃない。）

「楡浬。あなた、自分の目標を忘れたわけではありませんよね。」

（この学校を支配して、ぶっ壊すことよ。忘れてなんかいられないわよ。）

「それなら十分ですわ。選挙に勝てば、生徒として維持ができますわ。」

（でも選挙に勝てる目算はあるの？）

「オレに清き一票とか言ってもダメですわね。」

（当たり前でしょ。クラスメイトに、あんなヒドいことを言ったんだから。）

「これからいったい何を始めましょうか。いや何から始めたらいいでしょうか、楡浬に名案がありますか？」

（そんなのあるわけないじゃない。用務員の時は何もしないことが仕事だったけど、いろいろイベントをこなしてると何もしなくて良かった時代が懐かしいわ。）

「それじゃあ、そうしますか。その方が楽チンですわ。」

（でも選挙のことを考えなさいよ。全員が天使のクラスで四面楚歌どころじゃないわよ。圧倒的に不利だわ。）

「だからいいんですの。」

「モモは天使だけど、お兄ちゃんを応援するよ。これでクラス３０人のうち、ふたりの支持を得て、２８人対２人だね。完敗だよ。モモはお兄ちゃんが負けてもお兄ちゃんの味方だからね。」

「ありがとう。桃羅はいい妹ですわ。」

「だったら、ハグ、ハグ、ハグ～！」
「避け、避け、避け～！」

「どうして逃げるんだよ。」

「これは条件反射というものですわ。山があるから登る。山はなければ登らない。登れない山は、山とは定義できませんわね。なんだか、悲しいですわ。」

（また、アタシをバカにして。そんなヒマがあるなら、選挙対策を考えなさいよ。）
　桃羅だけが大悟・楡浬に投票する唯一のクラスメイトという惨状である。