51 / 70
第四章
第三話
しおりを挟む
こうして一週間、何の活動もせずに過ごした大悟・楡浬。
すでに放課後になり、ひとりで教室の西日を受けて顔をオレンジ色にしている大悟・楡浬。
「どうやら、宇佐鬼・剣徒コンビは委員長選挙を諦めたらしいわ。」
もっぱらクラスはこのウワサで持ちきりになっていた。大悟たちが大人しいせいで、他には大きな話題もないことも加わり、委員長選挙に目を向けさせる要因となっていた。
(大悟。このままでいいの?何にもしなければ本当に何も変わらないわよ。まさか、座して死を待つ作戦じゃないでしょうね。種を蒔かない、耕しもしない、だと、何も生まれないわよ。無から有になることはないんだからね。)
「いいこと言いますわね。それですわ。」
(アタシ、何か言った?)
「じゃあ、『有』の行動を開始しましょう。今まで休んでいたから体がなまっているでしょう。でも急で激しい運動は体に却ってよくないですから、少しずつ動かすことにしましょう。」
(何それ?大悟のやろうとしていることがさっぱりわからないわ。ゴリラは夢中になるとわけのわからないことをやりだすって、言うじゃない。)
「五里霧中のことですわね。たしかにそんな気持ちと考えでやっておりますわ。」
(ちょっと大悟。所詮、アタシのことだからって、プロセスを楽しんで、結果はどうなってもいいとか思ってないでしょうね?)
「あらら。楡浬はいつの間に、テレパス能力を手に入れたんですの?」
(バカにしてるんじゃないわよ!)
「まずは教室の掃除でも始めましょうか。」
(大悟はいったい何がしたいの、死体のよ?)
「いきなり殺さないでくださるかしら。ただの掃除ですわよ。」
誰もいない教室で、掃除を始めた大悟。当然ながら掃除はすでに終わっているのであるが、そこにさらに手を加えた大悟。窓の桟とか、日頃の掃除では手の届かないところまでしっかりきれいにした。
数日すると、放課後になると教室がきれいになっているとのうわさが流れ出した。
(ほら、大悟。ここで自分がやったってアピールすると、好感度があがるんじゃないの?)
「そんなことをする必要はありませんわ。あくまで自主的にやってるだけのことですから。でもそろそろ次の行動に移ることにしましょう。」
(いったい何をしようと言うのよ。今度こそ、委員長選挙に繋がるような行動をとらないと時間がどんどんなくなっていくわよ。)
「そうですわね。でも焦り、欲を出すとかは論外です。自主的に学校のためになることをしましょう。」
(何それ?やろうとしてることがさっぱりわからないわ。)
「別に大したことをやろうとしているわけではありませんから。ごく普通にやるべきことをやっていきましょう。」
すでに放課後になり、ひとりで教室の西日を受けて顔をオレンジ色にしている大悟・楡浬。
「どうやら、宇佐鬼・剣徒コンビは委員長選挙を諦めたらしいわ。」
もっぱらクラスはこのウワサで持ちきりになっていた。大悟たちが大人しいせいで、他には大きな話題もないことも加わり、委員長選挙に目を向けさせる要因となっていた。
(大悟。このままでいいの?何にもしなければ本当に何も変わらないわよ。まさか、座して死を待つ作戦じゃないでしょうね。種を蒔かない、耕しもしない、だと、何も生まれないわよ。無から有になることはないんだからね。)
「いいこと言いますわね。それですわ。」
(アタシ、何か言った?)
「じゃあ、『有』の行動を開始しましょう。今まで休んでいたから体がなまっているでしょう。でも急で激しい運動は体に却ってよくないですから、少しずつ動かすことにしましょう。」
(何それ?大悟のやろうとしていることがさっぱりわからないわ。ゴリラは夢中になるとわけのわからないことをやりだすって、言うじゃない。)
「五里霧中のことですわね。たしかにそんな気持ちと考えでやっておりますわ。」
(ちょっと大悟。所詮、アタシのことだからって、プロセスを楽しんで、結果はどうなってもいいとか思ってないでしょうね?)
「あらら。楡浬はいつの間に、テレパス能力を手に入れたんですの?」
(バカにしてるんじゃないわよ!)
「まずは教室の掃除でも始めましょうか。」
(大悟はいったい何がしたいの、死体のよ?)
「いきなり殺さないでくださるかしら。ただの掃除ですわよ。」
誰もいない教室で、掃除を始めた大悟。当然ながら掃除はすでに終わっているのであるが、そこにさらに手を加えた大悟。窓の桟とか、日頃の掃除では手の届かないところまでしっかりきれいにした。
数日すると、放課後になると教室がきれいになっているとのうわさが流れ出した。
(ほら、大悟。ここで自分がやったってアピールすると、好感度があがるんじゃないの?)
「そんなことをする必要はありませんわ。あくまで自主的にやってるだけのことですから。でもそろそろ次の行動に移ることにしましょう。」
(いったい何をしようと言うのよ。今度こそ、委員長選挙に繋がるような行動をとらないと時間がどんどんなくなっていくわよ。)
「そうですわね。でも焦り、欲を出すとかは論外です。自主的に学校のためになることをしましょう。」
(何それ?やろうとしてることがさっぱりわからないわ。)
「別に大したことをやろうとしているわけではありませんから。ごく普通にやるべきことをやっていきましょう。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる