魔法少女はダンプカー運転手?

木mori

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第一章

第二十部分

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「まさか、あいつが試験官だというの?」
「よし、ヒーローは送れてやってくるものだ。」
ヴァーティの仮免実技試験官は五竜であった。
「ちょっと、どうしてあんたが試験官なのよ?
「オレも教官のひとりだ。仮免試験官をやるのに、何の問題もないぞ。今までも何百回と試験官をやってるからな。特に補習常習犯をしっかりこの目で確認することには、大いにやりがいを感じているぞ。」
「あたしを落とす気満々だわね。」
「ああ、恋に落とすのなら、得意だけどな。」
「な、何言ってるのよ。アタマ、おかしいんじゃないの?」
「じゃあ、緊張が解けただろうから、試験開始だ。」
「わ、わかってるわよ。」
ヴァーティは確かに硬さが取れたことを実感して、少しうれしい気持ちになっていた。ゆえに、コースを走るのもリラックスして運転できた。
好事魔多し。順調に見えたヴァーティの運転は、クランクというカーブの連続するところで、ミラーがわずかにポールにコツンと当たった。
「やっちゃったわ!ポールに当たるということは、接触事故とほぼ同義だわ。あたし、不合格コースにハマッてしまったわ。ガックリ。」
ヴァーティは五竜が揺れるポールを見つめていることもわかった。
すっかり意気消沈して、試験コースを走ってゴール地点に到着したヴァーティ。
車から降りる時も肩を落として、老婆のようである。
ヴァーティは下を向いたまま、五竜に確認した。
「あたし、やってしまったのね。ううう。」
五竜は涙ぐむヴァーティの言いたいことを察したのか、気遣いして、冷静に回答した。
「うん。仮免実技試験は合格だ。」
「そうよね。わかっていたけど。・・・ええっ!合格?あたし、聞き間違えたのかしら。」
「もう一度言うぞ。仮免は合格だ。」
「はあ?さっき、ポールに当てたのよ。激突して大破した大事故を起こしたのよ。道路交通法をめっちゃ違反したのよ。死刑に相当するのよ!」
「だから何度も言わせるな、合格だ。」
「ま、まさか、あんた見逃し三振したの?」
「別に三振なんかしてないぞ。ちゃんとフルスイングして査定したつもりだけど。」
「全然納得いかないわ。あたしはインチキしてまで仮免免許証をほしくはないわ。そんなの、あたしのプライドが許さないわ。」
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