魔法少女はダンプカー運転手？

第一章

第三十一部分

『ガギ、ガギ、ガシャーン。』
重機が解体中のビルを破砕するような音がした。
４人のブルーマスクが全身血みどろの姿をゆっくりとのぞかせた。ジャージが破れて下着が露出し、足元もふらついており、ダメージの大きさが伝わる。生きてるのが不思議なぐらいの傷みぶりである。
「酷い、酷すぎるわ。とても目を開けてられないわ！」
ヴァーティはあまりの惨状に顔を覆った。その瞬間、知ってる感覚にとらわれて、目を見開いて、指の間に視界を通した。
４人のマスクガールは、きれいな元のジャージ姿かに戻っていた。
「あれって、治癒魔法よね。ケガだけじゃなく、衣服も復活できるのね。魔法技術としてすごいわ。」
しかし冷静に考えると、ヴァーティの車は浮いてる。重力に反逆しているが、魔力は継続的なのか？
「そ、そうだわ。あたしとこの車って、どうして空中庭園でお茶してるんだろう？」
ヴァーティが気を抜いた瞬間、奈落の底は歓迎会を開いた。
『ドカ～ン。』
今度はヴァーティに赤い祭典が催された。
大至急で駆け寄った高原がヴァーティに触れると、ヴァーティは何事もなかったかのような顔で、車から降りてきた。
高原はすっきりしたような雰囲気を隠さずに、ヴァーティに話し掛けた。
「今日の部活は終了デス。お疲れさまデス。」
次の日も同じ訓練が繰り返された。ヴァーティは訓練の意味について、高原に質問をしたが、高原のマスクが動くことはなかった。

数日後、いつもの訓練の開始前に、ヴァーティが疑問を高原にぶつけようとしていた。
『ウイ～ン、ウイ～ン。』
遠くから、サイレンの音がヴァーティの言葉を後押しするように聞こえてきた。
「あたしの疑問に答えるとウインウインの関係になると、点の声が聞こえてきたわ。」
「それはその文字通り、点に過ぎないデス。」
「何を言ってるのよ。やってきたのは救急車じゃない。急病人が発生したのかしら。きっと、白衣の天使たちが救いの神としてやってくるのね。」
ヴァーティのすぐそばに救急車はやってきて停車した。
「ずいぶん大きな救急車ね。消防車ぐらいはあるわね。あら、もうナースさんたちが降りてきたわ。濃いピンクのナース服は、膝上３０センチでかなりセクシーだわ。でも天使にしては何か変ねえ。」
３０人ぐらいのナースの頭には迷彩色のガスマスクが装着されていた。さらに、ナースたちは火炎放射器のようなものを手にしている。