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第一章

第三十二部分

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「少し派手なパフォーマンス志向の強いナースさんたちみたいね。お祭りイベントを開催するつもりとみたわ。」
「ほら、手のオモチャから、火ではなく煙のような水蒸気が出てるわ。きっと、水鉄砲の大きいタイプね。」
ヴァーティの言う水鉄砲から発射されている水蒸気はもうもうとしてきて、マスクガールのうち、グリーンマスク女子たちを覆っている。水蒸気を浴びたマスクガールたちはいずれも白目を剥いて倒れていく。
水蒸気の煙がなくなった頃に、ひとつの小さな影がヴァーティたちの前にぬうっと現れた。青い幼児服。黄色い帽子。腰には赤い大きなリボン。なだらかなおムネには名札がぶら下がっている。そこには、しおんと書かれてある。
うしろに控えているガスマスクが聞き取りにくい声で、幼女に呼び掛けた。
「魔法少女たちにお言葉をお願いします、初潮来てない署長。」
「またそんな呼び方をしおって。しおんには初潮そめうしおという正しい名前があるんだから。それにすでに初潮は来てるんだから!来たはずだ。来たと思う。来たような気がする。来たかもしれない。」
しおんの喋りはだんだん勢いを失い、初潮を本当に迎えた実績があるのか、検証する必要性が大きく頭をもたげてきた。
「なになに。何の騒ぎなの?」
幼女を見つけたヴァーティはあまりのかわいさに抱きついた。
「このかわいい物体はいったい何なの?喋ってたということは、すごい幼女ギミック?」
「違うわ!しおんはれっきとした、堂々たるオトナのオンナであるぞ。そんじょそこらの女子どもに比べたらはるかにアダルトビデオだ!」
「へ~。AVに出てるのね。合法ロリなのかしら?」
「全然違うわ!しおんは未成年だぞ。」
「あ~。だから初潮が来てないのね?」
「だから、初潮はき、き、来てるかもしれないと言っておるだろう!それより、代表者、蒜山部長、ここに出てこい。」
「初潮ない署長。わかりましたデス。AV視ますデス。」
「違うわ!しおんは、この部活は違法に魔法を使っているという疑惑がある。違法な魔法活動をやめよ。さもないと、正式に魔法少女仮をやることになる。今日はみせしめにグリーンレベルの魔法少女に制裁を加えたが、次はそうはいかんぞ。これからも監視するからな。」
あっという間に救急車は帰った。
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