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第一章

第三十三部分

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「今の連中はいったい何者なの?」
「魔法少女ハンターたちデス。」
「魔法少女ハンターって、いったい何なの?」
「魔法少女狩りという言葉を聞いたことがありませんデスか?」
「ないわよ。魔女狩りみたいなものなの?」
「そうデス。中世に行われたという魔女狩りの現代版デス。人間界では、魔法少女は危険種族と認定されているデス。そして人間側の基準で、法律を犯したという魔法少女を逮捕するのが、魔法少女ハンターデス。そして、魔法少女のレベルを示したのがマスク免許証デス。」
「免許レベルって、魔法レベルのことなの?」
「そうではありませんデス。魔法少女ハンターによる逮捕歴デス。初回はグリーン、二回目はブルー、その次はゴールドとなるデス。」
「じゃ、じゃあ、メイド1号は重大犯罪魔法少女ってこと?」
「犯罪とは魔法少女ハンター側での話デス。1号自身は犯罪者だという認識はありませんデス。」

次の日、貨物自動車で五竜を送ったジャージ姿のヴァーティは、部活先のグラウンドに向かおうとしたところを呼び止められた。
「今日の部活はフィールドワークデス。」
「フィールドワーク!?車なんだから最初から外じゃない。日頃の部活と何が違うのよ?」
「行けばわかりますデス。」
「そういうことだ。これが本当の意味で給料稼ぎに繋がるぞ。」
「五竜!?あんたも部活するの?」
「オレはこの部活の顧問だ。ついていくのは当然だ。」
結局、貨物自動車の運転席にはヴァーティが座り、真ん中に五竜、助手席に高原というシフトになった。

貨物自動車は高原のナビゲートに従い、山に向かって行く。五竜の頭を越えての車中会話であり、騒音もあって、勢い大きな声にならざるを得ず、ヴァーティと高原ははたからでは、ケンカしているようにしか見えなかった。
舗装されていない山道に入ると、貨物自動車はガタガタと震えだした。
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