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第二章
第二十三部分
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美散は美散の心の中で引きこもっていた。
(レイちゃんが入刀させられてる、いやしてる。本当にイヤだったら断ればいいんだから。でもそうじゃないというのは、まぎれもなくレイちゃんの意思だよ。もうダメだ。)
外の声と音は美散に聞こえていた。
「美散は絶賛引きこもり中だわ。そのまま好きにしてなさいよね。でもアタシはスゴくムカついてるんだからね。でもガマンよ、ガマン。」
智流美は血が出るほど、コブシを握り締めていた。
「それでは、本日のメインイベントォ、誓いの儀式に移りますゥ。」
エロザは強引に玲駆を引っ張り出して、テーブルの前に立った。
「アタシ、すごくアタマに来てるわよ。」
床に穴があきそうになるほど、激しく地団駄を踏みしめる智流美。その響きは美散にも届いていた。
煽動的なアナウンスは続く。
「そして、みなさんの期待を一心に集める、誓いの熱いキスですゥ!」
すでにかぶりつきに位置している智流美。テーブルに両手を乗せている。
「ハアハアハア。こんな近くで、キスをガン見できるなんて初めてだわ。」
趣旨がメタモルフォーゼしている智流美。よだれを下水のように垂れ流している。
理性を失い涎を垂らしている智流美を、心の奥底で見ていた美散は、どんどんストレスが蓄積していった。
『ブチッ!』
遂にガマンの限界を超えた音がした。
(あれ?あたし、いったい何をしてたんだろう。ここはどこ?あたしは誰?なんて遊んでる場合じゃない。でも軽口が言えるあたしは、智流美よりもマシだよ。)
美散はエロに洗脳された智流美を起こすために、強行手段に出た。
「ぐわっ!胸がすごく痛いわ。心臓が止まったわ!」
智流美が胸を押さえて崩れるようにひざまずいた。
一般的には、自分で心臓が止まったとわかった時は、命が尽きたということになる。当然心臓はすぐに復活した。
「ハアハアハア。死ぬかと思ったわ。美散がわざとこんなことをしたのね。美散の気持ち、アタシに心に響いたよ。これを彫り物背中に伝えるんだね。」
スーッと大きく息を吸った智流美。そのまま、美散の思いを玲駆にぶつけた。と思ったら、そのまま空気を吐いた智流美。
「失敗したわ。」
『どさっ。』
(レイちゃんが入刀させられてる、いやしてる。本当にイヤだったら断ればいいんだから。でもそうじゃないというのは、まぎれもなくレイちゃんの意思だよ。もうダメだ。)
外の声と音は美散に聞こえていた。
「美散は絶賛引きこもり中だわ。そのまま好きにしてなさいよね。でもアタシはスゴくムカついてるんだからね。でもガマンよ、ガマン。」
智流美は血が出るほど、コブシを握り締めていた。
「それでは、本日のメインイベントォ、誓いの儀式に移りますゥ。」
エロザは強引に玲駆を引っ張り出して、テーブルの前に立った。
「アタシ、すごくアタマに来てるわよ。」
床に穴があきそうになるほど、激しく地団駄を踏みしめる智流美。その響きは美散にも届いていた。
煽動的なアナウンスは続く。
「そして、みなさんの期待を一心に集める、誓いの熱いキスですゥ!」
すでにかぶりつきに位置している智流美。テーブルに両手を乗せている。
「ハアハアハア。こんな近くで、キスをガン見できるなんて初めてだわ。」
趣旨がメタモルフォーゼしている智流美。よだれを下水のように垂れ流している。
理性を失い涎を垂らしている智流美を、心の奥底で見ていた美散は、どんどんストレスが蓄積していった。
『ブチッ!』
遂にガマンの限界を超えた音がした。
(あれ?あたし、いったい何をしてたんだろう。ここはどこ?あたしは誰?なんて遊んでる場合じゃない。でも軽口が言えるあたしは、智流美よりもマシだよ。)
美散はエロに洗脳された智流美を起こすために、強行手段に出た。
「ぐわっ!胸がすごく痛いわ。心臓が止まったわ!」
智流美が胸を押さえて崩れるようにひざまずいた。
一般的には、自分で心臓が止まったとわかった時は、命が尽きたということになる。当然心臓はすぐに復活した。
「ハアハアハア。死ぬかと思ったわ。美散がわざとこんなことをしたのね。美散の気持ち、アタシに心に響いたよ。これを彫り物背中に伝えるんだね。」
スーッと大きく息を吸った智流美。そのまま、美散の思いを玲駆にぶつけた。と思ったら、そのまま空気を吐いた智流美。
「失敗したわ。」
『どさっ。』
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