パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

文字の大きさ
6 / 276

第1話『代表の恋のお相手』

しおりを挟む
「そろそろ出会ってもおかしくないよね」 
 ポールが誰ともなしに言った。
「何が?」
 キーツが聞き返すと、呆れたように言い放つ。
「レンナちゃんの恋のお相手!」
「ああ、そうね」
 オリーブがパチンと手を叩く。
「フローラ様が側にいらっしゃるから、まず変な男が近寄れないところがありがたいけどな」
 マルクが諸事情を絡めて言った。
 フローラというのは、パラティヌス北端国セライの王女で、国の鎮守府の最高神官、斎官フラメンである。さらに、第三層降霊界の霊地の一つ、マンダラーヴァの内宮ないぐうの位に就く神聖な存在だ。
 なぜレンナの下宿に住んでいるのかは公にされていない。
「逆にそれがハンデになって、付き合いが制限されるんだけどな」
 アロンが別の視点で言う。
「レンナちゃんって昔気質な教育受けてるから、ちょうどいいんじゃないの。世俗的なことは例のファイアートだけで十分カバーしてるよ」
 ナタルの発言に、吹き出す者数名。
「例の、ね」
「確かに」
 トゥーラとタイラーが納得する。
 ちなみにファイアートというのは、南端国メーテスの出奔王子で、レンナのはとこでフローラの幼馴染。医療大学に通うインテリのくせに、抜け目のない商売っ気と世を忍ぶ発信力で、鳥俯瞰者ながら童話の里では特殊な立場にいる。
「ポールとキャラ被ってるけど、知性の切れ味が違うんだよね。どうしてだろ?」
 このキーツの発言に、ポールが黙っているはずがなく……。
「聞き捨てならないな! あいつがリマインドの天才なら、俺はリニューアルの鬼才なの!」
「はいはい、でもって両雄並び立つのよね」
 オリーブがまとめると、ポールは盛大に鼻を鳴らした。
「ふん!!」
「まぁ、なんでもいいけど、敢えて俺たちの中でレンナちゃんの恋の相手になるなら、どのタイプだろうな」
 アロンが切り出すと、オリーブが素っ頓狂な声を上げた。
「この中で⁈」
「そのリアクションはないだろ、オリーブ」
「あ、ごめん」
 アロンの心外な声に、オリーブはすぐ引き下がった。
「強いて言うなら……マルクかタイラーじゃないかしらね。あまり振れ幅が大きい人はレンナちゃんの真面目さが受け付けないと思う」
「そりゃそうだよね。俺、自分でもやってけないと思うもん」
 トゥーラの意見にナタルが賛同する。
「情けなや、男の器量と度量は容姿じゃないよ。ここだよ、ここ!」
 ポールが親指で胸のあたりを盛んに差した。
「……ポールって、マルクとタイラーに劣ってるのは容姿だけだと思ってんの? おめでたいなぁ!」
 キーツが大きな目をしばたかせて驚いた。
「何を――っ⁈ ちょっとキーツ、ずいぶんじゃない。俺のどこが二人に比べて狭量だっての」
「ついでにポールの中で、マルクとタイラーに勝ってる能力って何?」
 アロンが抑揚なく聞いた。
「プレゼンテーション!」
 ポールが胸を張って言うと、オリーブが人差し指を立てた。
「うん、それは文句なしだわ」
「でしょー?」
 そこで突然、ルイスが声を張り上げた。
「エリックがいるじゃないですか!」
 しん、と静まり返ったが、ポールがすかさず言った。
「あのさ、あのウルトラ美少女を、修法者になったからって三枚目のエリックが落とせるって、本気で思ってるの?」
 ルイスが食い下がる。
「わからないじゃないですか! あいつだって根性入れ直して修法者になって立派になれば、レンナちゃんだって惚れ直しますよ」
「ルイス、現実は残酷だよ。こればっかりは頑張ったから報われるとは限らない。レンナちゃんは修法者らしく博愛だけど、12歳の時点でエリックをちゃんと断ってるんだからな。それだけ見ても恋愛観もしっかりしてるよ。強い女の子は自分より弱い男は選ばないと思う。エリックでは……周りが納得しないと思う」
「アロンさんまで!」
「それは誰にもわからないけれど。——そうね、レンナちゃんが選ぶ人は、人格的にも非の打ち所のない一角の人物だと思うわ。そうじゃないと恋愛にまで進展しないと思うのよ」
「トゥーラさん……」
 ルイスは頼りなげに視線を彷徨わせた。













しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

姉の婚約者と結婚しました。

黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。 式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。 今さら式を中止にするとは言えない。 そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか! 姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。 これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。 それどころか指一本触れてこない。 「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」 ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。 2022/4/8 番外編完結

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

婚約破棄されたスナギツネ令嬢、実は呪いで醜くなっていただけでした

宮之みやこ
恋愛
細すぎる一重の目に、小さすぎる瞳の三百眼。あまりの目つきの悪さに、リュシエルが婚約者のハージェス王子に付けられたあだ名は『スナギツネ令嬢』だった。 「一族は皆美形なのにどうして私だけ?」 辛く思いながらも自分にできる努力をしようと頑張る中、ある日ついに公の場で婚約解消を言い渡されてしまう。どうやら、ハージェス王子は弟のクロード王子の婚約者であるモルガナ侯爵令嬢と「真実の愛」とやらに目覚めてしまったらしい。 (この人たち、本当に頭がおかしいんじゃないのかしら!?)

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。 そこからは家族ごっこの毎日。 私が継ぐはずだった伯爵家。 花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね? これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。 2025年に改編しました。 いつも通り、ふんわり設定です。 ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m Copyright©︎2020-まるねこ

処理中です...