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第1話『ルイスとアロン』
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エリックはNWS結成当初のリーダーの一人である。
5年前、修法行を終えて修法者になったばかりのレンナの初仕事、霊長砂漠の砂漠化防止に携わった。
初めは及び腰だったポールたちを、あっという間にその気にさせ、サブリーダーとして殊勲を上げた。
その時に12歳だったレンナの才気ある仕事に魅了され、仲間の面前で告白したことが、今でも語り草になっている。
NWSの名付け親でもある。
ルイスはエリックの親友で、彼の代わりに10班のリーダーに就いた経緯がある。
トゥーラがレンナの恋愛相手を予想してみせると、オリーブが後を継いだ。
「じゃなければ、同じくらい可能性がある人。で、結局追い越しちゃうような人。ね、どうよ」
「いいね! 波乱含みで」
アロンが頷きながら同意する。
「酷いですよ、みんな! じゃあエリックは何のために修法行してるんですか。レンナちゃんに努力を認めてもらうためでしょう? 俺たちは全員でエリックの帰りを待ってるんじゃないんですか」
そこはタイラーが諭す。
「ルイス、男が努力するのは自分のためだ。己を奮い立たせる理由があるからエリックは進路を変えたんだ。そういうやつでなければ、俺たちは待ったりしない」
ルイスは押し黙って、やっと重い口を開いた。
「タイラーさん……俺、俺、夢見てました。不甲斐ない俺の分までエリックが努力で夢を勝ち取ってくれるってくれるって」
「うん」
「でも今のお話でわかりました。エリックはエリックで、俺は俺なんですね」
「そうだ」
オリーブがフォローに入る。
「ルイスは不甲斐なくなんかないわよ。課されたことをきちんとこなせる努力家じゃない」
「オリーブさん……」
感激で胸を詰まらせるルイス。そこへポールが私見を述べる。
「自己評価が低すぎんだよ。ちったぁ俺みたいに、どうってこたぁないって顔してみなって。気持ちいいぜ」
すかさずナタルが混ぜっ返す。
「ルイスがポールみたいになったら、誰がしんがりを務めてくれるんだよ。へし折られるのがオチだぞ」
「正解!」
ポールが自ら掘った穴に嵌り、どっと笑うメンバー。
「打たれ強い人じゃないと、しんがりは務まりませんからね」
ランスがホッとして言った。
「もうエリックの代わりじゃない。10班の正式なリーダーだ」
タイラーの言葉にみんな胸を熱くした。
「恋バナが出たところで白状するけど、俺またフラれたんだ」
アロンの告白に、ずり落ちる者数名……。
「またあれ? 真央界で定職がないってやつ」
キーツがいい加減慣れたように言った。
「そう。「いつまでも親の脛を齧ってる人に魅力は感じない」ってさ」
アロンは苦笑交じりに言って、赤ワインをあおった。
「因果界のことは真央界で話せないからねぇ」
溜め息をつくキーツ。
「アロンのどこ見てんだろうね。遊んでるやつみたいな覇気のない顔してるかっての」
ポールが文句を言う。
「アロンも仕事を知らないような人と付き合わなきゃいいのに」
オリーブがたしなめると、反してアロンは目を輝かせた。
「だって興味ないか? どこにでも開いてる万世の秘法の入り口かいくぐって、無関心でいられる人間って」
「自分が入口になろうとしてるんじゃないだろうな」
タイラーが唇にグラスを当てながら言うと、アロンは肩を竦めた。
「そういう動機なら全敗だけどね。一見、俺の言ったことに心酔してるようだけど、あくまでもフリなんだ。オーラに何の変化もないから」
「アロンって恋愛中にそんなに冷めてんの?」
「冷めもするよ。本音まるわかりだし」
ナタルとキーツが揃って言った。
「育てたいって欲求は理解できるかしらね」
「そう言うトゥーラは、アロンみたいなことはなかったのか?」
マルクが尋ねると、トゥーラは柳眉をしかめた。
「……あったわよ。でも、価値観も共有できない人とのお付き合いはお断り」
「アロンが変わってるのよ。ボランティアじゃないんだから」
オリーブが呆れて言うと、アロンは訳知り顔に言った。
「まぁ、それはそれでかわいいんだけどね」
キーツが一言、「懲りないねぇ」と呟いた。
5年前、修法行を終えて修法者になったばかりのレンナの初仕事、霊長砂漠の砂漠化防止に携わった。
初めは及び腰だったポールたちを、あっという間にその気にさせ、サブリーダーとして殊勲を上げた。
その時に12歳だったレンナの才気ある仕事に魅了され、仲間の面前で告白したことが、今でも語り草になっている。
NWSの名付け親でもある。
ルイスはエリックの親友で、彼の代わりに10班のリーダーに就いた経緯がある。
トゥーラがレンナの恋愛相手を予想してみせると、オリーブが後を継いだ。
「じゃなければ、同じくらい可能性がある人。で、結局追い越しちゃうような人。ね、どうよ」
「いいね! 波乱含みで」
アロンが頷きながら同意する。
「酷いですよ、みんな! じゃあエリックは何のために修法行してるんですか。レンナちゃんに努力を認めてもらうためでしょう? 俺たちは全員でエリックの帰りを待ってるんじゃないんですか」
そこはタイラーが諭す。
「ルイス、男が努力するのは自分のためだ。己を奮い立たせる理由があるからエリックは進路を変えたんだ。そういうやつでなければ、俺たちは待ったりしない」
ルイスは押し黙って、やっと重い口を開いた。
「タイラーさん……俺、俺、夢見てました。不甲斐ない俺の分までエリックが努力で夢を勝ち取ってくれるってくれるって」
「うん」
「でも今のお話でわかりました。エリックはエリックで、俺は俺なんですね」
「そうだ」
オリーブがフォローに入る。
「ルイスは不甲斐なくなんかないわよ。課されたことをきちんとこなせる努力家じゃない」
「オリーブさん……」
感激で胸を詰まらせるルイス。そこへポールが私見を述べる。
「自己評価が低すぎんだよ。ちったぁ俺みたいに、どうってこたぁないって顔してみなって。気持ちいいぜ」
すかさずナタルが混ぜっ返す。
「ルイスがポールみたいになったら、誰がしんがりを務めてくれるんだよ。へし折られるのがオチだぞ」
「正解!」
ポールが自ら掘った穴に嵌り、どっと笑うメンバー。
「打たれ強い人じゃないと、しんがりは務まりませんからね」
ランスがホッとして言った。
「もうエリックの代わりじゃない。10班の正式なリーダーだ」
タイラーの言葉にみんな胸を熱くした。
「恋バナが出たところで白状するけど、俺またフラれたんだ」
アロンの告白に、ずり落ちる者数名……。
「またあれ? 真央界で定職がないってやつ」
キーツがいい加減慣れたように言った。
「そう。「いつまでも親の脛を齧ってる人に魅力は感じない」ってさ」
アロンは苦笑交じりに言って、赤ワインをあおった。
「因果界のことは真央界で話せないからねぇ」
溜め息をつくキーツ。
「アロンのどこ見てんだろうね。遊んでるやつみたいな覇気のない顔してるかっての」
ポールが文句を言う。
「アロンも仕事を知らないような人と付き合わなきゃいいのに」
オリーブがたしなめると、反してアロンは目を輝かせた。
「だって興味ないか? どこにでも開いてる万世の秘法の入り口かいくぐって、無関心でいられる人間って」
「自分が入口になろうとしてるんじゃないだろうな」
タイラーが唇にグラスを当てながら言うと、アロンは肩を竦めた。
「そういう動機なら全敗だけどね。一見、俺の言ったことに心酔してるようだけど、あくまでもフリなんだ。オーラに何の変化もないから」
「アロンって恋愛中にそんなに冷めてんの?」
「冷めもするよ。本音まるわかりだし」
ナタルとキーツが揃って言った。
「育てたいって欲求は理解できるかしらね」
「そう言うトゥーラは、アロンみたいなことはなかったのか?」
マルクが尋ねると、トゥーラは柳眉をしかめた。
「……あったわよ。でも、価値観も共有できない人とのお付き合いはお断り」
「アロンが変わってるのよ。ボランティアじゃないんだから」
オリーブが呆れて言うと、アロンは訳知り顔に言った。
「まぁ、それはそれでかわいいんだけどね」
キーツが一言、「懲りないねぇ」と呟いた。
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