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第2話『良案と修法裏話』
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「お、トゥーラ、何か思いついた?」
ポールが気を取り直して言った。
「一応ね。みんなにも検証してほしいんだけど」
「うんうん」
「今回は班で仕事することを考えないで、編成を変えて見るというのはどうかしら?
マーカー設置班、ツリーリジェネレーション班、アースフォローアップ班の3班に絞るの。二つの修法ができないメンバーには、マーカー設置班に回ってもらう。ツリー班とアース班は工程をずらして作業に当たる。マーカー班の作業の目処がついたら、講習に私たちの中から割く、というのは?」
「そうか、そういうことになるのか……」
ふむふむと頷きながら、ナタルがメモを取る。
「こんなことなら男どもの尻を蹴飛ばすんだったよ」
「いや、遊び歩かないように、こっちでもなんか仕事させようよ」
アロンとキーツは反省を込めて結託した。
「俺たちの内訳はどうする?」
マルクの問いにはポールが答える。
「最初は講習に人数を取られないから10人いるんだよね?。マーカー班は効率上げるためにも4人割いたらどうだろう。ツリー班も4人で、これは修法の性質上、一本一本総当たりだから。アース班が2人なのは、逆に修法を面で施すから。それにそんなキリキリした状態でやるもんでもなし。そんなとこかな」
その案に全員頷く。
「それじゃ、マーカー班には初めからトゥーラとアロンとランスさんがいた方がいいよね。研修に回ってもらえるから。フォローは僕がやるよ。これでいい?」
キーツが役割を買って出て、マーカー設置班が決まる。
「わかった、だったらツリー班は俺とポール、タイラーにルイスでどうだ。理由は効率重視だから」
マルクが言って、他の3人も満足そうに頷く。
「私とナタルがアース班に回るのね。いいわ、大局的にやりましょう、ナタル」
オリーブがナタルと視線を合わせた。
「よし、そうしよう!」
一応頼もし気にナタルは返答した。
原案がまとまったところで、休憩が取られた。
めいめいコーヒーやら紅茶やら飲んで一息つく。
「もうちょっとツリーリジェネレーションの習得者って多いと踏んでたんだけどなぁ」
ポールが天井を仰いでぼやいた。
「パラティヌスにいると、木の再生技術ってほとんど必要ないじゃない。細かいところまで手が行き届くしね」
キーツが甘すぎるココアを飲んでむせた。
「他国で仕事することを考えてなかったメンバーがほとんどだと思うんですよ。俺も必要性があって身につけた技術じゃないですし」
ルイスが過去を振り返って言った。
「そうかい? 俺なんか環境修復技術と言えば、って感じで、かなり最初の方で習得したけどね」
あれぇ? と言いたげにポールが事情を明かす。
「僕も僕も。万世の秘法の勉強中に、木が天のエネルギーの受信機だって知ってから、ますます重要な技術だなって思ったんだよね」
「まぁ確かにパラティヌスにいると、ルイスが言うみたいにあんまり必要性がないんだけどさ。樹木医ってあこがれの職業の一つなんだよね」
ポールが言うと、キーツも力強く賛同した。
「それそれ、植樹もいいけど、樹木医ってこれからどんどん必要になると思うんだよね。僕らの精神を正常にしてくれるのも木の役割なんだから、病んだ木っていうのは世界の病気みたいなもんだし、今回の仕事の重要性もわかるってもんだよね」
「キクイムシのカシナガが増殖した原因って何なんでしょうね」
ルイスが先輩二人に問うと、ポールがあっさり返した。
「やっぱり森の浄化力そのものが落ちてるんじゃない」
キーツも続いた。
「風土病みたいなところもあるかな。炎樹の森って、北はアルペンディー大山脈の麓、西がパラティヌスとの国境のシシュ山脈だから、二方向が壁になってるんだよね。東はカピトリヌスだから、行き場のない負のエネルギーの浄化もしてくれてるだろ。カシナガにしたって行き場がないから、森の調整役を過剰にしてしまってる状況なわけで」
「そうか……カピトリヌスの荒廃が炎樹の森の正エネルギーを弱らせているんですね」
ルイスにも合点がいった。
「そういうこと」
キーツがニッと笑った。
「言い換えてみればパラティヌスの責任でもあるわけだよね。シシュ山脈でブロックしちゃうから、カシナガ増殖を招いたともいえるわけで――。NWSが炎樹の森の仕事請け負うのも、自然な流れかな」
ポールがそもそもの理由に至ると、キーツも言った。
「まぁ、万世の秘法の仕事に国境はないけどね」
「お、名言出ました」
3人で吹き出した後、ルイスは国の事情も絡めた姿勢を教えてもらった。
ポールが気を取り直して言った。
「一応ね。みんなにも検証してほしいんだけど」
「うんうん」
「今回は班で仕事することを考えないで、編成を変えて見るというのはどうかしら?
マーカー設置班、ツリーリジェネレーション班、アースフォローアップ班の3班に絞るの。二つの修法ができないメンバーには、マーカー設置班に回ってもらう。ツリー班とアース班は工程をずらして作業に当たる。マーカー班の作業の目処がついたら、講習に私たちの中から割く、というのは?」
「そうか、そういうことになるのか……」
ふむふむと頷きながら、ナタルがメモを取る。
「こんなことなら男どもの尻を蹴飛ばすんだったよ」
「いや、遊び歩かないように、こっちでもなんか仕事させようよ」
アロンとキーツは反省を込めて結託した。
「俺たちの内訳はどうする?」
マルクの問いにはポールが答える。
「最初は講習に人数を取られないから10人いるんだよね?。マーカー班は効率上げるためにも4人割いたらどうだろう。ツリー班も4人で、これは修法の性質上、一本一本総当たりだから。アース班が2人なのは、逆に修法を面で施すから。それにそんなキリキリした状態でやるもんでもなし。そんなとこかな」
その案に全員頷く。
「それじゃ、マーカー班には初めからトゥーラとアロンとランスさんがいた方がいいよね。研修に回ってもらえるから。フォローは僕がやるよ。これでいい?」
キーツが役割を買って出て、マーカー設置班が決まる。
「わかった、だったらツリー班は俺とポール、タイラーにルイスでどうだ。理由は効率重視だから」
マルクが言って、他の3人も満足そうに頷く。
「私とナタルがアース班に回るのね。いいわ、大局的にやりましょう、ナタル」
オリーブがナタルと視線を合わせた。
「よし、そうしよう!」
一応頼もし気にナタルは返答した。
原案がまとまったところで、休憩が取られた。
めいめいコーヒーやら紅茶やら飲んで一息つく。
「もうちょっとツリーリジェネレーションの習得者って多いと踏んでたんだけどなぁ」
ポールが天井を仰いでぼやいた。
「パラティヌスにいると、木の再生技術ってほとんど必要ないじゃない。細かいところまで手が行き届くしね」
キーツが甘すぎるココアを飲んでむせた。
「他国で仕事することを考えてなかったメンバーがほとんどだと思うんですよ。俺も必要性があって身につけた技術じゃないですし」
ルイスが過去を振り返って言った。
「そうかい? 俺なんか環境修復技術と言えば、って感じで、かなり最初の方で習得したけどね」
あれぇ? と言いたげにポールが事情を明かす。
「僕も僕も。万世の秘法の勉強中に、木が天のエネルギーの受信機だって知ってから、ますます重要な技術だなって思ったんだよね」
「まぁ確かにパラティヌスにいると、ルイスが言うみたいにあんまり必要性がないんだけどさ。樹木医ってあこがれの職業の一つなんだよね」
ポールが言うと、キーツも力強く賛同した。
「それそれ、植樹もいいけど、樹木医ってこれからどんどん必要になると思うんだよね。僕らの精神を正常にしてくれるのも木の役割なんだから、病んだ木っていうのは世界の病気みたいなもんだし、今回の仕事の重要性もわかるってもんだよね」
「キクイムシのカシナガが増殖した原因って何なんでしょうね」
ルイスが先輩二人に問うと、ポールがあっさり返した。
「やっぱり森の浄化力そのものが落ちてるんじゃない」
キーツも続いた。
「風土病みたいなところもあるかな。炎樹の森って、北はアルペンディー大山脈の麓、西がパラティヌスとの国境のシシュ山脈だから、二方向が壁になってるんだよね。東はカピトリヌスだから、行き場のない負のエネルギーの浄化もしてくれてるだろ。カシナガにしたって行き場がないから、森の調整役を過剰にしてしまってる状況なわけで」
「そうか……カピトリヌスの荒廃が炎樹の森の正エネルギーを弱らせているんですね」
ルイスにも合点がいった。
「そういうこと」
キーツがニッと笑った。
「言い換えてみればパラティヌスの責任でもあるわけだよね。シシュ山脈でブロックしちゃうから、カシナガ増殖を招いたともいえるわけで――。NWSが炎樹の森の仕事請け負うのも、自然な流れかな」
ポールがそもそもの理由に至ると、キーツも言った。
「まぁ、万世の秘法の仕事に国境はないけどね」
「お、名言出ました」
3人で吹き出した後、ルイスは国の事情も絡めた姿勢を教えてもらった。
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