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第2話『危険区域検出ソフト』
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「あったよ、危険区域検出ソフト」
ナタルは声を上げたが、見つけたのはトゥーラだった。
「これをどうするんだい?」
考えなしに聞くナタルと違って、トゥーラは半球状のオービット・アクシスをタッチパネルのように操作して、二つのソフトを同期で読み込んだ。
すると、トゥーラが用意していた準備段階の作業管理ソフトと危険区域検出ソフトの共通項目が大量表示された。
「トゥーラ……」
情けなく呟くナタルの隣で、トゥーラは炎樹の森の全域図を呼び出した。
「3D表示するわよ」
言い終わるが早いか、内蔵された3Dカメラが彼らの目線の上に全域図の画像を映し出した。
「おおーっ、壮観じゃないの!」
ポールが立ち上がって全域図の精巧さに目を見張った。
ナタルに不安そうな顔を向けられて、トゥーラは意を汲んだ。
「大丈夫よ、ナタル。私の班に私より詳しい、イデ君が残留組にいるから、彼に遠慮なく相談して」
「うん、ありがとうトゥーラ。助かるよ」
そして全域図を立って見下ろしながら、会話が始まる。
「この赤いマーカーの区域、あるいは箇所が危険予測域と地点だ。青い波紋はレーダーで、秒単位で観測してる。動き回る黄色いマーカーは危険動物……今は冬だから狼くらいだろうが、これで一目瞭然だ。トゥーラ、この作業管理ソフトはまだ完成してないのか?」
タイラーが問うと、トゥーラが頷いた。
「ええ、決定項目が少ないから、まだ白紙状態」
「いや、大したもんだよ。個人のソフトが既成のソフトとバグもなく同期できるんだから。まっさらだとしても普通こうはいかないからね」
アロンが高水準の仕上がりに舌を巻く。
「ナタルがこの作業を引き継ぐのね」
オリーブの言葉に心臓が跳ねあがるナタル。トゥーラが言い添えた。
「完成はウチのイデ君に任せるつもりよ」
「そういえばウチの班にもいます、システムエンジニア真っ青のオタクが」
ルイスが言い出して、急いで班名簿を確認する。
「あ、やっぱり残留組でした。テリーも仲間に入れてやってください」
「テリ~!」
所謂、とっつあん坊やなテリーの人懐こい顔を思い出して、ポールとキーツがウケまくる。テリー・プレイナーはNWS結成当初からのメンバーで、中堅を担っていた。
「さて、ソフトの完成に必要な人材も確保できたし、あとはナタルに任せるとして。マーカー班とアース班の人員についても、調整が必要なことがあれば挙げてくれ」
マルクが議題に戻すと、オリーブがふと思いついた。
「そういえば、ツリーリジェネレーションとアースフォローアップの両方使える2人って誰だったの?」
「6班のアヤさんと10班のハルニレちゃんよ」
「えっ⁈」
ルイスが驚いて鋭い声を出してしまい、注目を浴びる。
「ルイスのその「えっ」って、アヤさんはともかく、ウチのハルニレちゃんがどうして……の「えっ」?」
ポールの推察に、やや慌てるルイス。
「は、はい。確か去年のアンケートでは、両方使えなかったはずなので……」
「おや、成長株ですね。木のお名前だけに」
ランスが合いの手を入れると、アロンがポンと手を打った。
「もしかして、名前のことがあるからじゃないか? 元々、木に関することに興味があって、修法も木にまつわるものに絞ったとか。女の子ってそういうとこあるよね」
「そうかもしれないわね」
トゥーラがさらっと聞き流した。
「うーん、それはさ、女の子に限らず個人の傾向があるはずだから、一度集計してみるといいかもね。対応できることがあるのに、俺たちに遠慮して実力出さないの、もったいないじゃないか」
ナタルの考えに、タイラーが頷いた。
「一理あるな。修法は使いどころがわかるから施せるんだ。基本をマスターしてるのはもちろんだが、応用を覚えるには実践が一番だからな。アイディアが生まれる土壌を用意するのも、俺たちの役目の一つだろう」
「なるほどね。ウチの男どもにも発破かけんと」
ポールが顎をさすりながら言ったが、オリーブが釘を打つ。
「それ以上プレッシャーかけると、みんな逃げちゃわない?」
「どういう意味?」
「班の中核を担う男性が、全員不参加の異常事態を招いた原因がわからないなんて……監督不行き届きじゃない。自由主義もいいけど、締めるところで締めなかったら、ただの放任主義になりかねないんじゃないの」
痛いところを突かれてポールが黙り込む。仲裁したのはマルクだった。
「とにかく不明点は仕事開始日までにはっきりさせておいてくれ。参加者にも残留組にも気持ちよく仕事してもらえるようにするのも、俺たちの大切な役割だ。俺たちの至らないところも俺たちでフォローする。それが基本だ」
ナタルは声を上げたが、見つけたのはトゥーラだった。
「これをどうするんだい?」
考えなしに聞くナタルと違って、トゥーラは半球状のオービット・アクシスをタッチパネルのように操作して、二つのソフトを同期で読み込んだ。
すると、トゥーラが用意していた準備段階の作業管理ソフトと危険区域検出ソフトの共通項目が大量表示された。
「トゥーラ……」
情けなく呟くナタルの隣で、トゥーラは炎樹の森の全域図を呼び出した。
「3D表示するわよ」
言い終わるが早いか、内蔵された3Dカメラが彼らの目線の上に全域図の画像を映し出した。
「おおーっ、壮観じゃないの!」
ポールが立ち上がって全域図の精巧さに目を見張った。
ナタルに不安そうな顔を向けられて、トゥーラは意を汲んだ。
「大丈夫よ、ナタル。私の班に私より詳しい、イデ君が残留組にいるから、彼に遠慮なく相談して」
「うん、ありがとうトゥーラ。助かるよ」
そして全域図を立って見下ろしながら、会話が始まる。
「この赤いマーカーの区域、あるいは箇所が危険予測域と地点だ。青い波紋はレーダーで、秒単位で観測してる。動き回る黄色いマーカーは危険動物……今は冬だから狼くらいだろうが、これで一目瞭然だ。トゥーラ、この作業管理ソフトはまだ完成してないのか?」
タイラーが問うと、トゥーラが頷いた。
「ええ、決定項目が少ないから、まだ白紙状態」
「いや、大したもんだよ。個人のソフトが既成のソフトとバグもなく同期できるんだから。まっさらだとしても普通こうはいかないからね」
アロンが高水準の仕上がりに舌を巻く。
「ナタルがこの作業を引き継ぐのね」
オリーブの言葉に心臓が跳ねあがるナタル。トゥーラが言い添えた。
「完成はウチのイデ君に任せるつもりよ」
「そういえばウチの班にもいます、システムエンジニア真っ青のオタクが」
ルイスが言い出して、急いで班名簿を確認する。
「あ、やっぱり残留組でした。テリーも仲間に入れてやってください」
「テリ~!」
所謂、とっつあん坊やなテリーの人懐こい顔を思い出して、ポールとキーツがウケまくる。テリー・プレイナーはNWS結成当初からのメンバーで、中堅を担っていた。
「さて、ソフトの完成に必要な人材も確保できたし、あとはナタルに任せるとして。マーカー班とアース班の人員についても、調整が必要なことがあれば挙げてくれ」
マルクが議題に戻すと、オリーブがふと思いついた。
「そういえば、ツリーリジェネレーションとアースフォローアップの両方使える2人って誰だったの?」
「6班のアヤさんと10班のハルニレちゃんよ」
「えっ⁈」
ルイスが驚いて鋭い声を出してしまい、注目を浴びる。
「ルイスのその「えっ」って、アヤさんはともかく、ウチのハルニレちゃんがどうして……の「えっ」?」
ポールの推察に、やや慌てるルイス。
「は、はい。確か去年のアンケートでは、両方使えなかったはずなので……」
「おや、成長株ですね。木のお名前だけに」
ランスが合いの手を入れると、アロンがポンと手を打った。
「もしかして、名前のことがあるからじゃないか? 元々、木に関することに興味があって、修法も木にまつわるものに絞ったとか。女の子ってそういうとこあるよね」
「そうかもしれないわね」
トゥーラがさらっと聞き流した。
「うーん、それはさ、女の子に限らず個人の傾向があるはずだから、一度集計してみるといいかもね。対応できることがあるのに、俺たちに遠慮して実力出さないの、もったいないじゃないか」
ナタルの考えに、タイラーが頷いた。
「一理あるな。修法は使いどころがわかるから施せるんだ。基本をマスターしてるのはもちろんだが、応用を覚えるには実践が一番だからな。アイディアが生まれる土壌を用意するのも、俺たちの役目の一つだろう」
「なるほどね。ウチの男どもにも発破かけんと」
ポールが顎をさすりながら言ったが、オリーブが釘を打つ。
「それ以上プレッシャーかけると、みんな逃げちゃわない?」
「どういう意味?」
「班の中核を担う男性が、全員不参加の異常事態を招いた原因がわからないなんて……監督不行き届きじゃない。自由主義もいいけど、締めるところで締めなかったら、ただの放任主義になりかねないんじゃないの」
痛いところを突かれてポールが黙り込む。仲裁したのはマルクだった。
「とにかく不明点は仕事開始日までにはっきりさせておいてくれ。参加者にも残留組にも気持ちよく仕事してもらえるようにするのも、俺たちの大切な役割だ。俺たちの至らないところも俺たちでフォローする。それが基本だ」
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