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第3話『結団式反省会』

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「コノミちゃんのカウンセリングはランスさんで、トラブル処理はポールで、モチベーションを高めたのはタイラーの仕事ってことで……出来過ぎだわね」
 反省会の段になって、オリーブが総括して言った。
「いやいや、女の子は複雑だわ。仕事離れて会えば済むことなのに、遠慮してこじらせるんだからね」
「うん、上手くいったのはホント、まぐれだよね」
「俺もそう思う」
「わっはっは」
 キーツとポールがお茶らける。
「そこで相談なんだけど、コノミちゃんを私の班に編入しようと思うんだけど、不都合あるかしら?」
 トゥーラが見計らって言った。
「うん、いいんじゃないか。馴れ合いは困るが、隅っこに行きたがる性格の子には安定して働いてもらうことが先決だ。どう思います、ランスさん?」
「はい、その方がコノミさんのためになると思います。幸い今回は通常の班体制じゃないですし、いろんな人たちのやり方を学ぶのも彼女には必要なことですから」
 マルクが賛同し、ランスが了承した。
「では、次回の仕事からはコノミちゃんを4班メンバーとして迎えます」
「よろしくお願いします」
 トゥーラとランスが略式の異動手続きを済ませる。
「それにしても、急場のことなのに、よくコナラの罹患木まで用意できたね」
 事情を知らないポールが質問する。
「俺たちが用意したのは植桝だけだ。後はすべてアインスさんの指示でやった」
「アインスさんの?」
 タイラーがかいつまんで事情を話した。
「現場に往ってから直に教えるのもいいが、炎樹の森はパラティヌスのフォークロア森林帯と違って、起伏の激しい山地だ。足場を確保するのもままならないから、一度童話の里でデモンストレーションしておけ、ってな」
「なるほど! さすがいぶし銀」
「受験するのはコノミちゃんでなくてもよかったんだが、ここが踏ん張りどころだってタイラーが……」
 アロンが苦笑交じりにネタ晴らしをする。
「なんだ、やらせだったの?」
 ポールがどっちらけになって言った。
「人聞きの悪い。何人かで念を込めたら、ホントに当たっちゃったんだよ」
「まぁ、因果界のお約束だよね」
 一応納得するポールだった。
「心配だったことが一つ減って、あとは仕事開始日を待つだけですね!」
 ルイスが元気よく言ったが、マルクが遮った。
「水を差すようだが、そう明るい展望では始められないかもしれないぞ」
「というと?」
 キーツが問い返す。
「あくまでも交渉にあたってる代表の人物評だが……現場責任者のサバラス・エターナリストさんは、かなり気難しい人らしい」
「げっ、マジで」
 ポールがうめいた。
 代表、レンナ・エターナリストは、修法者としての自分の仕事をNWSに委託している。一人でできる仕事を、リーダーら鳥俯瞰者に運営管理させているわけだが、現場を担当する修法者との交渉は自ら行う。
 そもそもパラティヌスとカエリウスでは、現場責任者の年代層に開きがあって、そこが新規開発が難しい理由となっている。
 17歳のレンナは修法者の中でも若輩と言ってよく、NWSの実績があるからこそ交渉になるのだが、年配の修法者ほど評価は厳しい。
「レンナちゃんがかなり気難しいって俺たちに言うからには――相当、癖が強い人なんだろうなぁ」
 ナタルがしみじみ言った。
「「リーダーと顔合わせをお願いします」と頼んだら、「必要ない」ってばっさり切り捨てられたそうだ。「あんたがたが決めてやれば済むことだ。いちいち儂の指図は必要あるまい」って宣言されて、交渉にならないんだってさ」
「それは……」
 マルクが話す内容に、タイラーもアロンも考え込む。
「だから、中継先の民話の里に助言を求めたんだけど、彼らもお手上げらしくて、住居を訪ねても門前払いだって言うんだな」
「あーあー、どうしろってのよ」
 聞いたそばからポールが匙を投げる。
「そうですね……そういう方にはご迷惑をおかけしないのはもちろんですが、遠くから囲っていって、いつでも好意的に解釈することじゃないでしょうか」
 ランスの牧師らしい中立案が示されて、みんな頷く。
「それから、メンバーにサバラスさんの人となりを知らせないことかしらね」
「えっ、なんで?」
 オリーブの言葉に、キーツがきょとんとする。
「こういう人だって決めつけたら、仲良くする可能性が摘まれるでしょ。メンバーを信じて、自由に接してもらいましょうよ。瓢箪から駒ってこともあるわよ。構えて接するのはよくないわ」
「確かにな。今回のようなことがあるのを期待して、メンバーには自由にサバラスさんに接してもらおう」
 マルクが締めて、反省会も一応の決着を見るのだった。 
















 
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