パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

文字の大きさ
38 / 276

第4話『琥珀麓』

しおりを挟む
 アンバーフット、マーカー・アロン班/ツリー・タイラー班/アース・オリーブ班
 ガーネットラヴィーンやルビーウッズよりも作業開始が早かったアンバーフットは、男性メンバーと女性メンバー数人で構成され、緊張感を持って作業していた。
 タイラーに説得されて、7班と9班の男性メンバーが全員参加している。
 マーカー班が4人、ツリー班が4人の内訳で、マーカー・アロン班とツリー・タイラー班はともに13人になった。
 10分経過した時点で、マーカー班は150本/0.008㎢、ツリー班は43本/0.0002㎢。
 各班4人ずつ加わったことで、マーカー班は2万6千本超えになり、ツリー班も7千5百本に到達する予定だ。
 アンバーフットは作業が早いほどリスクが減ることもあって、全員寒さを忘れるほど真剣である。
 アロンが早め早めに安全確認作業をしているのに対し、タイラーはカエリウスの最前線、東の国境を透視して、万が一に備えていた。
 今のところ動きはない。
 アンバーフットは東の国境から10㎞以上離れているから、不測の事態が起こっても、かなり時間差がある。
 それに、代表・レンナの修法陣が国境から5㎞まで覆っている。
 本当はほとんど心配はないのだが、タイラーは敢えてそのことを伏せている。
 いざという時のために高い意識を持ってもらうことは、タイラーの負担を軽減してくれる。
 それに、この先似たような状況が訪れても、経験者がいれば無用の混乱は避けられる。
 とにかく、アンバーフットの外れ、炎樹の森の林縁である待機場所から、早く目隠しになる森の中に入ってしまうことだった。
 ところが、オリーブのアース班が輪になって手を繋ぎ、あろうことか瞑想している。
 タイラーとしてはオリーブこそ早く隠してしまいたいのに。
 確かにアースフォローアップは、大地の精霊と繋がり、緊張状態の中、心を拡げなくてはならない修法だが。
 集中しているところなんだが、タイラーはテレパスで声をかけることにした。
(オリーブ……)
(なに?)
 返事はすぐにあった。
(何をしてるんだ?)
(ああ、だって緊張と寒さで、みんな縮こまっちゃってるでしょ。だからまず、瞑想してリラックス状態に持っていこうと思って)
(この状況で?)
 逆にストレスがかかりそうなものだが。
(規模は小さくてもいいから、回数を重ねればコツが掴めるんじゃないのか?)
(アースフォローアップは最初が肝心なのよ。いいイメージを保持してこそ、規模を大きくできる。ま、見ててよ)
(……)
 側でクスッと笑ったのはアロンだ。
「やらせてみたら? 達人の言うことは聞くもんだよ」
「あ、ああ……」
 珍しく戸惑っているタイラーにアロンが尋ねる。
「心配かい?」
「思ったよりオリーブが大物なんでな」
「まぁね、オリーブって男勝りなところあるから」
「……早く森の中に入ってほしいんだが」
「少しはタイラーの身になってほしいよね」
「頼られてるのは悪い気はしないけどな」
「それもわかるよ。あまり駆け引きしないタイプだけに、素直だし、どんと任せてくれるしね」
 思いがけないことを言う前に、タイラーは話題を変えた。
「アロンのマーカー班の進捗はどうだ?」
「順調だよ。今200本に到達したところ」
「速いな」
「判断に時間をかけてられないからね。移動が早ければリスクも減るし」
「そうだな……」
「タイラーのツリー班は?」
「80本までもう少しだな。さすがにアンバーフットはナラ枯れが深刻だから、罹患率も高いんだろう」
「うん、むしろ時間をかけてもらった方が安心だからね」
「ああ」
 言いながら、ついオリーブたちが気になってしまう。
 すると輪になっていたオリーブたちが、繋いだ両手を高々と上げた。
「はーじーめーのいっぽ!!」
 全員で唱和したところ、金色の漣が森へ原野へ波及して、辺りを金色に染め上げた。
 アースフォローアップ相乗効果バージョンだ。
「おおーっ!」
 アース班の男性メンバーが、自分たちの初成果に驚きの声を上げた。
「ね、みんなでやれば怖くない! よくできました」
「そのノリでいいんだ?!」
 アロンが突っ込む。タイラーもしばし呆気に取られていた。
















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。  私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。  けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?  関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。  竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。 『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』 ❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。 *乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。 *表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。 *いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。 *他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。

半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~

百門一新
恋愛
大妖怪の妖狐「オウカ姫」と、人間の伯爵のもとに生まれた一人娘「リリア」。頭には狐耳、ふわふわと宙を飛ぶ。性格は少々やんちゃで、まだまだ成長期の仔狐なのでくしゃみで放電するのもしばしば。そんな中、王子とのお見合い話が…嫌々ながらの初対面で、喧嘩勃発!? ゆくゆく婚約破棄で、最悪な相性なのに婚約することに。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。 ※ベリーズカフェに修正版を掲載、2021/8/31こちらの文章も修正版へと修正しました!

『まて』をやめました【完結】

かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。 朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。 時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの? 超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌! 恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。 貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。 だから、もう縋って来ないでね。 本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます ※小説になろうさんにも、別名で載せています

職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい

LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。 相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。 何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。 相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。 契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?

後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜

二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。 そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。 その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。 どうも美華には不思議な力があるようで…?

【第一部完結】翡翠色の風に乗せて〜私はダメなんかじゃない〜

碧風瑠華
ファンタジー
「お前はダメだ」と言われつづけましたが、ダメだったのは貴方です。 「せっかく離れたのに、また関わるなんて……!」 ルクレ伯爵家の令嬢セリーヌは、第三王子アランディルの婚約者候補に選ばれてしまった。 根本的に合わないあの人との関わりに、心を痛めながらも逃れる方法を静かに模索していく。 ※第一部完結済 ※他サイトにも掲載中です。

処理中です...