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第4話『琥珀麓』
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アンバーフット、マーカー・アロン班/ツリー・タイラー班/アース・オリーブ班
ガーネットラヴィーンやルビーウッズよりも作業開始が早かったアンバーフットは、男性メンバーと女性メンバー数人で構成され、緊張感を持って作業していた。
タイラーに説得されて、7班と9班の男性メンバーが全員参加している。
マーカー班が4人、ツリー班が4人の内訳で、マーカー・アロン班とツリー・タイラー班はともに13人になった。
10分経過した時点で、マーカー班は150本/0.008㎢、ツリー班は43本/0.0002㎢。
各班4人ずつ加わったことで、マーカー班は2万6千本超えになり、ツリー班も7千5百本に到達する予定だ。
アンバーフットは作業が早いほどリスクが減ることもあって、全員寒さを忘れるほど真剣である。
アロンが早め早めに安全確認作業をしているのに対し、タイラーはカエリウスの最前線、東の国境を透視して、万が一に備えていた。
今のところ動きはない。
アンバーフットは東の国境から10㎞以上離れているから、不測の事態が起こっても、かなり時間差がある。
それに、代表・レンナの修法陣が国境から5㎞まで覆っている。
本当はほとんど心配はないのだが、タイラーは敢えてそのことを伏せている。
いざという時のために高い意識を持ってもらうことは、タイラーの負担を軽減してくれる。
それに、この先似たような状況が訪れても、経験者がいれば無用の混乱は避けられる。
とにかく、アンバーフットの外れ、炎樹の森の林縁である待機場所から、早く目隠しになる森の中に入ってしまうことだった。
ところが、オリーブのアース班が輪になって手を繋ぎ、あろうことか瞑想している。
タイラーとしてはオリーブこそ早く隠してしまいたいのに。
確かにアースフォローアップは、大地の精霊と繋がり、緊張状態の中、心を拡げなくてはならない修法だが。
集中しているところなんだが、タイラーはテレパスで声をかけることにした。
(オリーブ……)
(なに?)
返事はすぐにあった。
(何をしてるんだ?)
(ああ、だって緊張と寒さで、みんな縮こまっちゃってるでしょ。だからまず、瞑想してリラックス状態に持っていこうと思って)
(この状況で?)
逆にストレスがかかりそうなものだが。
(規模は小さくてもいいから、回数を重ねればコツが掴めるんじゃないのか?)
(アースフォローアップは最初が肝心なのよ。いいイメージを保持してこそ、規模を大きくできる。ま、見ててよ)
(……)
側でクスッと笑ったのはアロンだ。
「やらせてみたら? 達人の言うことは聞くもんだよ」
「あ、ああ……」
珍しく戸惑っているタイラーにアロンが尋ねる。
「心配かい?」
「思ったよりオリーブが大物なんでな」
「まぁね、オリーブって男勝りなところあるから」
「……早く森の中に入ってほしいんだが」
「少しはタイラーの身になってほしいよね」
「頼られてるのは悪い気はしないけどな」
「それもわかるよ。あまり駆け引きしないタイプだけに、素直だし、どんと任せてくれるしね」
思いがけないことを言う前に、タイラーは話題を変えた。
「アロンのマーカー班の進捗はどうだ?」
「順調だよ。今200本に到達したところ」
「速いな」
「判断に時間をかけてられないからね。移動が早ければリスクも減るし」
「そうだな……」
「タイラーのツリー班は?」
「80本までもう少しだな。さすがにアンバーフットはナラ枯れが深刻だから、罹患率も高いんだろう」
「うん、むしろ時間をかけてもらった方が安心だからね」
「ああ」
言いながら、ついオリーブたちが気になってしまう。
すると輪になっていたオリーブたちが、繋いだ両手を高々と上げた。
「はーじーめーのいっぽ!!」
全員で唱和したところ、金色の漣が森へ原野へ波及して、辺りを金色に染め上げた。
アースフォローアップ相乗効果バージョンだ。
「おおーっ!」
アース班の男性メンバーが、自分たちの初成果に驚きの声を上げた。
「ね、みんなでやれば怖くない! よくできました」
「そのノリでいいんだ?!」
アロンが突っ込む。タイラーもしばし呆気に取られていた。
ガーネットラヴィーンやルビーウッズよりも作業開始が早かったアンバーフットは、男性メンバーと女性メンバー数人で構成され、緊張感を持って作業していた。
タイラーに説得されて、7班と9班の男性メンバーが全員参加している。
マーカー班が4人、ツリー班が4人の内訳で、マーカー・アロン班とツリー・タイラー班はともに13人になった。
10分経過した時点で、マーカー班は150本/0.008㎢、ツリー班は43本/0.0002㎢。
各班4人ずつ加わったことで、マーカー班は2万6千本超えになり、ツリー班も7千5百本に到達する予定だ。
アンバーフットは作業が早いほどリスクが減ることもあって、全員寒さを忘れるほど真剣である。
アロンが早め早めに安全確認作業をしているのに対し、タイラーはカエリウスの最前線、東の国境を透視して、万が一に備えていた。
今のところ動きはない。
アンバーフットは東の国境から10㎞以上離れているから、不測の事態が起こっても、かなり時間差がある。
それに、代表・レンナの修法陣が国境から5㎞まで覆っている。
本当はほとんど心配はないのだが、タイラーは敢えてそのことを伏せている。
いざという時のために高い意識を持ってもらうことは、タイラーの負担を軽減してくれる。
それに、この先似たような状況が訪れても、経験者がいれば無用の混乱は避けられる。
とにかく、アンバーフットの外れ、炎樹の森の林縁である待機場所から、早く目隠しになる森の中に入ってしまうことだった。
ところが、オリーブのアース班が輪になって手を繋ぎ、あろうことか瞑想している。
タイラーとしてはオリーブこそ早く隠してしまいたいのに。
確かにアースフォローアップは、大地の精霊と繋がり、緊張状態の中、心を拡げなくてはならない修法だが。
集中しているところなんだが、タイラーはテレパスで声をかけることにした。
(オリーブ……)
(なに?)
返事はすぐにあった。
(何をしてるんだ?)
(ああ、だって緊張と寒さで、みんな縮こまっちゃってるでしょ。だからまず、瞑想してリラックス状態に持っていこうと思って)
(この状況で?)
逆にストレスがかかりそうなものだが。
(規模は小さくてもいいから、回数を重ねればコツが掴めるんじゃないのか?)
(アースフォローアップは最初が肝心なのよ。いいイメージを保持してこそ、規模を大きくできる。ま、見ててよ)
(……)
側でクスッと笑ったのはアロンだ。
「やらせてみたら? 達人の言うことは聞くもんだよ」
「あ、ああ……」
珍しく戸惑っているタイラーにアロンが尋ねる。
「心配かい?」
「思ったよりオリーブが大物なんでな」
「まぁね、オリーブって男勝りなところあるから」
「……早く森の中に入ってほしいんだが」
「少しはタイラーの身になってほしいよね」
「頼られてるのは悪い気はしないけどな」
「それもわかるよ。あまり駆け引きしないタイプだけに、素直だし、どんと任せてくれるしね」
思いがけないことを言う前に、タイラーは話題を変えた。
「アロンのマーカー班の進捗はどうだ?」
「順調だよ。今200本に到達したところ」
「速いな」
「判断に時間をかけてられないからね。移動が早ければリスクも減るし」
「そうだな……」
「タイラーのツリー班は?」
「80本までもう少しだな。さすがにアンバーフットはナラ枯れが深刻だから、罹患率も高いんだろう」
「うん、むしろ時間をかけてもらった方が安心だからね」
「ああ」
言いながら、ついオリーブたちが気になってしまう。
すると輪になっていたオリーブたちが、繋いだ両手を高々と上げた。
「はーじーめーのいっぽ!!」
全員で唱和したところ、金色の漣が森へ原野へ波及して、辺りを金色に染め上げた。
アースフォローアップ相乗効果バージョンだ。
「おおーっ!」
アース班の男性メンバーが、自分たちの初成果に驚きの声を上げた。
「ね、みんなでやれば怖くない! よくできました」
「そのノリでいいんだ?!」
アロンが突っ込む。タイラーもしばし呆気に取られていた。
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