パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

文字の大きさ
91 / 276

第9話『タイラーの怒り』

しおりを挟む
「つまりはさ、関係者が一人ひとり、自分が万世の魔女だったら名のない力をどう捉えるか、考えてみればいいんだよ。でもって、それが万世の魔女を助けられるような有用なイメージなら、天窓の鍵が採用してくれるってわけ。そういうことだろ?」
「強引にまとめたなぁ。大筋その通りだが」
 ポールの言葉にマルクが呆れたが、ナタルがおずおずと言った。
「その場合さぁ、俺みたいなビビりが恐怖に駆られたイメージ全開になったら、天窓の鍵は採用しないのかなぁ」
「役に立たないイメージを採用してどうする? そんなのは論外だ。もっとも、この期に及んで尻込みするなら、役に立とうとしなくて結構だがな」
「えっ……」
 タイラーの語気の強さに、ナタルが放心する。
「ちょっと、タイラー! 言い過ぎ」
 オリーブの制止も聞かず、タイラーは言った。
「こいつはそう言い出すんじゃないかと思ったんだ。安全なところにばっかり逃げやがって。おまえにも生命の樹と万世の魔女の夢がはっきり見えたんじゃねぇのか! しまいにゃずっと年下の代表の後ろに立つ気かよ。いい加減にしねぇと仲間と認めねぇぞ!!」
 しんと静まり返った。
 ナタルはやっと絞り出すように言った。
「……それは、嫌だ……」
「ああ? 女かおまえは」
「俺だって、レンナちゃんの役に立ちたい」
「——だったら最初からそう言え。俺たちの前でも泣き言いうな。わかったな!」
「……わかった」
 ナタルが固く決心した様子が窺えた。
 ポールが場を取りなすように言った。
「……よく緊張したら、手のひらに人の字を3回書いたら落ち着くとかって言うじゃん。あんな感じでいいと思うんだよね。名のない力を食べきれないほどのカボチャに見立てるとか。もっとキレイに白い雲にするとか。俺だったら世界一の図書館に仕立てて豪華版にするんだけど」
「いいね! だったら僕は名のない力を大量の食材にして、それを調理する大厨房をイメージするな。そして腹ペコ軍団でみんな食べ尽くしちゃうってわけ」
 キーツがおどけて言った。
「なるほどな。俺だったら大量の建材が整然と並んでるところをイメージするな。虹球界に移住するには家を造る材料が必要だろ」
 マルクらしい考えだった。それに続くアロン。
「俺なら実家が綿の卸商だから、大量の綿花を空から降らせるイメージかな。ロクに服も手に入れられない難民の人たちを包む肌着にするんだ」
 トゥーラが感じ入って言った。
「素敵ね……それなら私は、妖精の仕立て屋さんと人間の職人がパートナーシップ運営する工房をイメージするわ。そこで作られた服は不思議と肌に合って、すこぶる着心地がいいの」
「トゥーラらしいね。私だったら常夏のフルーツパーラーをどーんと用意しちゃうかな。名のない力を完熟フルーツ盛りだくさんにして、スイーツ目白押しの大盤振る舞い! なんてね」
「そのパーラーはもちろん熱帯産の素材で造るんだろ? 風通しのいいハリケーンにもビクともしないやつを造ってやるぜ」
 オリーブとタイラーはイメージを共有していた。
「私たちはどうしましょうか? ルイスさん」
 ランスが聞くと、ルイスは嬉しそうに言った。
「そうですね……どうせなら六芒宇宙の仲間を集めて、大宴会を開きたいなぁ」
「楽しそうですね! 私たちはホスト役になって、彼らをもてなすんです。世界の大変革の大成功を祈る前夜祭を開きましょう」
「ランスさんがホスト⁈」
「世も末だなぁ」
 ポールとキーツがげらげら笑った。





























しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

婚約破棄されたスナギツネ令嬢、実は呪いで醜くなっていただけでした

宮之みやこ
恋愛
細すぎる一重の目に、小さすぎる瞳の三百眼。あまりの目つきの悪さに、リュシエルが婚約者のハージェス王子に付けられたあだ名は『スナギツネ令嬢』だった。 「一族は皆美形なのにどうして私だけ?」 辛く思いながらも自分にできる努力をしようと頑張る中、ある日ついに公の場で婚約解消を言い渡されてしまう。どうやら、ハージェス王子は弟のクロード王子の婚約者であるモルガナ侯爵令嬢と「真実の愛」とやらに目覚めてしまったらしい。 (この人たち、本当に頭がおかしいんじゃないのかしら!?)

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。 そこからは家族ごっこの毎日。 私が継ぐはずだった伯爵家。 花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね? これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。 2025年に改編しました。 いつも通り、ふんわり設定です。 ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m Copyright©︎2020-まるねこ

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

処理中です...