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第12話『マルクの婚約者』
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ところが、マルクとキーツが話していたのも、まさにマルクの婚約者の話だったのである。
「結婚、待ってもらってるんだ?」
「そうなんだ。先方の家族は世界の大変革の情報が一切ないから、日取りが良ければすぐにでも式を挙げさせたいと思ってるんだが。彼女が俺の事情を知ってるから、ご両親を説得してくれてる」
「いい感じだね、婚約者さん」
「うん、理屈っぽい俺の後ろを三歩下がってついてくるような賢い女性だと思うよ」
「にくいね、このっ、このっ! NWSが春たけなわだから、黙ってらんなくなったんでしょ」
「アロンには話したんだが、ちょっと様子を見たいって言っててな。今思えば彼はトゥーラが俺のことを好きなんじゃないかと思ってたらしいんだが」
「ああ、なるほどね。場合によっては三角関係になりはしないかって、気を回したわけだ。でも、意外にもトゥーラが好きなのはポールだったと」
「それは俺も意外だったけどな。俺は俺でアロンとトゥーラという線もあるんじゃないかと思ってな」
「マルク、それはないよ。アロンは動機はともかく女慣れしすぎだもん。トゥーラはそういうとこ、しっかり減点してると思うよ」
「そんなもんかな」
「そんなもんです。でも、人のことより自分のことでしょ。こんなふうに土曜日まで集まったら、彼女と過ごせないじゃない。文句出ない?」
「それがな、彼女は花嫁修業や新居の準備で目が回るくらいの忙しさなんだと。だから、このくらいの距離感がちょうどいいって言うんだよ」
「ふーん、早くもやり手の奥さんって感じだね。しかし、マルクもさすがだよね。あれだけ忙しくしてたって、ちゃんと決めるところは決めるんだから」
「……俺はさ、自分のことを面白味のない人間だとばかり思ってたんだよ。理屈っぽいし、これといって趣味もないし。それが彼女に言わせると、淡白で清潔感があって好もしいってことらしいんだ。幼馴染で恋らしい恋もしてないのに、そこがドロドロしてなくてスッキリしてていいって言うんだ」
「おやまぁ、理想の相手ってわけですな。でも、持ち上げられて悪い気はしないんでしょうが」
「まぁな」
「よっ、色男!」
「結婚、待ってもらってるんだ?」
「そうなんだ。先方の家族は世界の大変革の情報が一切ないから、日取りが良ければすぐにでも式を挙げさせたいと思ってるんだが。彼女が俺の事情を知ってるから、ご両親を説得してくれてる」
「いい感じだね、婚約者さん」
「うん、理屈っぽい俺の後ろを三歩下がってついてくるような賢い女性だと思うよ」
「にくいね、このっ、このっ! NWSが春たけなわだから、黙ってらんなくなったんでしょ」
「アロンには話したんだが、ちょっと様子を見たいって言っててな。今思えば彼はトゥーラが俺のことを好きなんじゃないかと思ってたらしいんだが」
「ああ、なるほどね。場合によっては三角関係になりはしないかって、気を回したわけだ。でも、意外にもトゥーラが好きなのはポールだったと」
「それは俺も意外だったけどな。俺は俺でアロンとトゥーラという線もあるんじゃないかと思ってな」
「マルク、それはないよ。アロンは動機はともかく女慣れしすぎだもん。トゥーラはそういうとこ、しっかり減点してると思うよ」
「そんなもんかな」
「そんなもんです。でも、人のことより自分のことでしょ。こんなふうに土曜日まで集まったら、彼女と過ごせないじゃない。文句出ない?」
「それがな、彼女は花嫁修業や新居の準備で目が回るくらいの忙しさなんだと。だから、このくらいの距離感がちょうどいいって言うんだよ」
「ふーん、早くもやり手の奥さんって感じだね。しかし、マルクもさすがだよね。あれだけ忙しくしてたって、ちゃんと決めるところは決めるんだから」
「……俺はさ、自分のことを面白味のない人間だとばかり思ってたんだよ。理屈っぽいし、これといって趣味もないし。それが彼女に言わせると、淡白で清潔感があって好もしいってことらしいんだ。幼馴染で恋らしい恋もしてないのに、そこがドロドロしてなくてスッキリしてていいって言うんだ」
「おやまぁ、理想の相手ってわけですな。でも、持ち上げられて悪い気はしないんでしょうが」
「まぁな」
「よっ、色男!」
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