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第19話『アヤの意見』
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「ところで……ハルニレちゃん、好きな人いるでしょ?」
「えっ?」
度の強い眼鏡の奥で、アヤの瞳がキラッと光る。
ハルニレは驚いてはいたが、やがて俯いて言った。
「……はい」
「ルイスさんね?」
ズバリ言う。
「わ、わかりますか?」
「だって今日、二人の世界にイッちゃってたから」
アヤには何が起こっているのかわからなかったが、円卓を挟んで二人が初々しく見つめ合っているのをバッチリ見ていたのだ。
ハルニレが恐縮しながら、フォークで掬ったケーキを落っことす。何ともかわいらしいことであった。
「大丈夫よ、他の人は気づいてなかったわ。ランスさんはわかってるっぽかったけどね」
「そうですか……ああ、恥ずかしいっ」
頬に手を当てて、目を閉じてイヤイヤする。
(うーむ……)
これが計算じゃなく天然なら大したものだ。アヤは同性ながら感心した。
「まぁ、若い人の特権よね。微笑ましいけど、ハルニレちゃんとしてはどう攻めていくつもりなの?」
「攻める……!」
大胆な台詞に固まるハルニレ。
はっきり言って、昼間の触れ合いはお互いが確信に至るには十分な出来事だった。ほぼ八割方、結論は出ている。それに乗っかたら? とアヤは言っているのである。
「アヤさんだったらどうしますか?」
「速やかに仕留める」
「仕留める……!」
肉食獣の如き猛攻だった。
(ルイスさんって、草食系だもんなぁ――)
この時、二人は同じことを考えていた。
「あまり待つという選択肢は得策じゃないと思うのよね。ルイスさんって身持ちは堅いけど、とっても努力家じゃない? ランスさんと仲がいいことを考えても、実力は折り紙つきだと思うのよ。女は目敏いからね、油断してると横からかっさらわれるわよ」
「そんな……!」
ハルニレは両手を組んで、必死な目をして言った。
(あまり苛めるのも可哀想か……)
焚きつけるのはそのくらいにして、アヤはコーヒーを啜って間合いを取る。
「慌ててもしょうがないんだけどね。他の人と差はつけておきたいわよね」
「はいっ!」
縋るような目がアヤをじっと見つめる。
「——ルイスさんがランスさんと一緒に、集会所で最後まで居残って仕事してるの知ってた?」
「いいえ」
「私だったら今日買った材料で、差し入れを持っていくけど?」
「わかりました! 今すぐ帰って準備します」
ハルニレはガガッと椅子を押して立ち上がると、慌てて荷物とトレイを持って帰ろうとした。
「待って、私も一緒にお呼ばれしていい?」
「えっ」
アヤはニッと笑った。
「育ちのいい娘は単独行動しないものよ」
「あ、ありがとうございます!」
感動し目を潤ませて礼を言うハルニレ。
(ついでだから、ランスさんに発破かけるか……!)
見事な利害の一致だった。
行動すると決めたハルニレは素早かった。
一時間もせずにすべての準備を終えたのだった。
「えっ?」
度の強い眼鏡の奥で、アヤの瞳がキラッと光る。
ハルニレは驚いてはいたが、やがて俯いて言った。
「……はい」
「ルイスさんね?」
ズバリ言う。
「わ、わかりますか?」
「だって今日、二人の世界にイッちゃってたから」
アヤには何が起こっているのかわからなかったが、円卓を挟んで二人が初々しく見つめ合っているのをバッチリ見ていたのだ。
ハルニレが恐縮しながら、フォークで掬ったケーキを落っことす。何ともかわいらしいことであった。
「大丈夫よ、他の人は気づいてなかったわ。ランスさんはわかってるっぽかったけどね」
「そうですか……ああ、恥ずかしいっ」
頬に手を当てて、目を閉じてイヤイヤする。
(うーむ……)
これが計算じゃなく天然なら大したものだ。アヤは同性ながら感心した。
「まぁ、若い人の特権よね。微笑ましいけど、ハルニレちゃんとしてはどう攻めていくつもりなの?」
「攻める……!」
大胆な台詞に固まるハルニレ。
はっきり言って、昼間の触れ合いはお互いが確信に至るには十分な出来事だった。ほぼ八割方、結論は出ている。それに乗っかたら? とアヤは言っているのである。
「アヤさんだったらどうしますか?」
「速やかに仕留める」
「仕留める……!」
肉食獣の如き猛攻だった。
(ルイスさんって、草食系だもんなぁ――)
この時、二人は同じことを考えていた。
「あまり待つという選択肢は得策じゃないと思うのよね。ルイスさんって身持ちは堅いけど、とっても努力家じゃない? ランスさんと仲がいいことを考えても、実力は折り紙つきだと思うのよ。女は目敏いからね、油断してると横からかっさらわれるわよ」
「そんな……!」
ハルニレは両手を組んで、必死な目をして言った。
(あまり苛めるのも可哀想か……)
焚きつけるのはそのくらいにして、アヤはコーヒーを啜って間合いを取る。
「慌ててもしょうがないんだけどね。他の人と差はつけておきたいわよね」
「はいっ!」
縋るような目がアヤをじっと見つめる。
「——ルイスさんがランスさんと一緒に、集会所で最後まで居残って仕事してるの知ってた?」
「いいえ」
「私だったら今日買った材料で、差し入れを持っていくけど?」
「わかりました! 今すぐ帰って準備します」
ハルニレはガガッと椅子を押して立ち上がると、慌てて荷物とトレイを持って帰ろうとした。
「待って、私も一緒にお呼ばれしていい?」
「えっ」
アヤはニッと笑った。
「育ちのいい娘は単独行動しないものよ」
「あ、ありがとうございます!」
感動し目を潤ませて礼を言うハルニレ。
(ついでだから、ランスさんに発破かけるか……!)
見事な利害の一致だった。
行動すると決めたハルニレは素早かった。
一時間もせずにすべての準備を終えたのだった。
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