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第19話『恋人たち』

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 同じ頃、ルイスたちはいつものように居残って残業していた。
 ランスに昼間の妖精たちのダンスのことをひとしきり話し終わったのだが、興奮冷めやらぬという感じだった。
「俺、妖精が姿を見せてくれるまで、もっとかかるかと思ってました!」
「私もそう思っていましたよ。妖精は恋をするのが大好きですからね、お友達のためにキューピッド役を務めてくれたんでしょう」
「彼らのおかげで、思わぬ形でハルニレさんの気持ちを確かめることができました。これもランスさんがカウンセリングしてくださったおかげです。ありがとうございます」
「遅かれ早かれ、ルイスさんなら同じ結論に至っていたと思いますよ。私のは完全にお節介、勇み足です」
「そんな……俺は感謝しています。ランスさんからこうしていろいろ教わるうちに、知らないで開運体質になっていたみたいな。嬉しいことばかりで怖いくらいです」
 こうして話している間にも、円卓の上はさながら妖精たちの遊び場だった。
 跳んだり跳ねたり、駆けっこやじゃれ合い、そしてダンス。
 無邪気なことこの上なかった。
 と、そこで妖精たちの動きがぴたりと止まった。
 そして、フッフッと消えて誰もいなくなった。
「どうしたんでしょう?」
 ルイスが訝ると、ランスは辺りを透視して、集会所に歩いてくる二つの人影を見つけた。
「……どうやらお客様ですよ」
「?」
 間もなく広間のドアが開いた。
「こんばんは」
 バスケットを手に提げたハルニレとアヤだった。
「ハ……!」
 その名を呼ぼうとして、慌てて思い留まるルイス。
 ニッコリ笑って、ランスが二人を出迎える。
「いらっしゃい、お二人とも」
「こんばんは、ランスさんルイスさん。お邪魔じゃなかったですか?」
 アヤが率直に言うと、ランスは首を振った。
「いいえ、賑やかに行きましょう。もしかしてお夕食を期待していいんですか?」
「もちろん。と言っても、今日はハルニレちゃんの力作ですが……」
「ありがとうございます、ハルニレさん」
「い、いえ、ほんと間に合わせで申し訳ないんですけど」
「ルイスさんも喜びます……ね!」
「は、はいっ」
 硬直したまま、ルイスはぎこちない笑みを浮かべた。
「お茶を用意しましょう」
「あ、私も手伝います」
 ランスとアヤが簡易キッチンに向かった。
 二人が言うことには――
「さすがですね、アヤさん」
「ノリかかった焼きそばですよ。二人のめくるめく展開に完敗ですね」
「……それは私への忠告ですか?」
「よくおわかりで」
「善処しますよ。ついでと言っては何ですが、そろそろ私たちもいい頃合いじゃありませんか?」
 アヤは素早くランスの頬にキスした。
 嬉しさのあまり、眼鏡がズレる勢いだった。



















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