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第26話『分かち合い』
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タイラーは泣いていた。
静かに、涙が流れるままに。
深い感動がタイラーを包んでいた。
ただ、誰に感謝すればいいのかがはっきりわかっていた。
サバラスとヨーザンの修法者親子、そして民話の里——。
軍事国家カエリウスの軍縮という、大きな時代の潮流がうねる中、どさくさに紛れて民間企業に介入するとは。
バックに万世の秘法が絡んでいなければ、絶対にありえない特例措置だった。
宇宙の九月にヨーザンに話した、ただの打ち明け話がこんな奇跡に繋がるとは。
ずっと一人きりなのかもしれないと思い込んだ時もあった。
家族もなく、誰も知らない場所で死ぬかもしれないと。
それは明らかな間違いだったのだ。
頼る人もなく移住を決めたパラティヌス。
伝手もないのに飛び込んだ童話の里では、長老のセイルを始め世話になり、助手のアインスには住む家も世話してもらった。
働く場所も決まってなかったのに、受け入れてくれたアパートの管理人夫妻。
アインスに叩き込まれた環境修復技術。
童話の里に出入りするようになって、言葉を交わした人々。
やがて一緒に仕事をすることになる、NWSメンバーとの歩み。
そして出逢った人生の伴侶、オリーブ……。
思えば何もかもが奇跡の連続だった。
誰もがタイラーの幸せを後押ししてくれる。
ついには動けなくなっていた家族の問題まで波及して溶かしてしまった。
「くっ……!」
声を押し殺して、両膝に両肘をついて、タイラーは額を手で押さえてむせび泣いた。
あまりにも静かなので、心配になったオリーブが、寝室のドアをノックした。
「タイラー……入ってもいい?」
中はしんとしている。
不安になって、かちゃりとドアを静かに開けた。
「タイラー……?」
そこには見たこともないタイラーがいた。
大きな体を屈めて、ベッドの縁に座って泣いている。
きゅうんと母性本能がくすぐられて、オリーブは黙って隣に座ると、その頭を抱き込んで自分の頭をくっつけた。
「……何があったの。私にも教えてくれる?」
「——手紙」
とだけタイラーは言った。
反対側に手紙は置いてあった。
「読んでもいいの?」
こくんと頷く。まるで小さな男の子だ。
オリーブは後ろから手を伸ばして手紙を取ると、タイラーの背中をトントン叩きながら読み始めた。
その結果は――オリーブの大号泣だった。
泣いていたタイラーの涙が引っ込むほどわんわん泣いて、彼を驚かせた。
収まるまで十分は要しただろうか。
「よかったね……タイラー、よかったね」
繰り返し繰り返し言って、祝福してくれた。
逆にタイラーに慰められて、オリーブが涙でぐちゃぐちゃになった顔をミニタオルで拭く頃、インターホンが鳴った。
静かに、涙が流れるままに。
深い感動がタイラーを包んでいた。
ただ、誰に感謝すればいいのかがはっきりわかっていた。
サバラスとヨーザンの修法者親子、そして民話の里——。
軍事国家カエリウスの軍縮という、大きな時代の潮流がうねる中、どさくさに紛れて民間企業に介入するとは。
バックに万世の秘法が絡んでいなければ、絶対にありえない特例措置だった。
宇宙の九月にヨーザンに話した、ただの打ち明け話がこんな奇跡に繋がるとは。
ずっと一人きりなのかもしれないと思い込んだ時もあった。
家族もなく、誰も知らない場所で死ぬかもしれないと。
それは明らかな間違いだったのだ。
頼る人もなく移住を決めたパラティヌス。
伝手もないのに飛び込んだ童話の里では、長老のセイルを始め世話になり、助手のアインスには住む家も世話してもらった。
働く場所も決まってなかったのに、受け入れてくれたアパートの管理人夫妻。
アインスに叩き込まれた環境修復技術。
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やがて一緒に仕事をすることになる、NWSメンバーとの歩み。
そして出逢った人生の伴侶、オリーブ……。
思えば何もかもが奇跡の連続だった。
誰もがタイラーの幸せを後押ししてくれる。
ついには動けなくなっていた家族の問題まで波及して溶かしてしまった。
「くっ……!」
声を押し殺して、両膝に両肘をついて、タイラーは額を手で押さえてむせび泣いた。
あまりにも静かなので、心配になったオリーブが、寝室のドアをノックした。
「タイラー……入ってもいい?」
中はしんとしている。
不安になって、かちゃりとドアを静かに開けた。
「タイラー……?」
そこには見たこともないタイラーがいた。
大きな体を屈めて、ベッドの縁に座って泣いている。
きゅうんと母性本能がくすぐられて、オリーブは黙って隣に座ると、その頭を抱き込んで自分の頭をくっつけた。
「……何があったの。私にも教えてくれる?」
「——手紙」
とだけタイラーは言った。
反対側に手紙は置いてあった。
「読んでもいいの?」
こくんと頷く。まるで小さな男の子だ。
オリーブは後ろから手を伸ばして手紙を取ると、タイラーの背中をトントン叩きながら読み始めた。
その結果は――オリーブの大号泣だった。
泣いていたタイラーの涙が引っ込むほどわんわん泣いて、彼を驚かせた。
収まるまで十分は要しただろうか。
「よかったね……タイラー、よかったね」
繰り返し繰り返し言って、祝福してくれた。
逆にタイラーに慰められて、オリーブが涙でぐちゃぐちゃになった顔をミニタオルで拭く頃、インターホンが鳴った。
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