ラブホから出た直後一番会いたくない人物と出くわした俺の話

いぶぷろふぇ

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【番外編】ハルノヒ

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Twitterの、#ハルノヒおやつSS祭り、で遊んだ時のSSです。


――――――――――――――


 それは土曜日の早朝のことだった。

 ボンッ、うひゃあ
 変な音が聞こえた気がしてぱっと目が覚めた。ふわぁと大きなあくびがひとつ出る。今何時だ……?いつもの場所に置いてあるはずのスマホに手を伸ばすが、見当たらない。
 あれ?としばらく昨日の夜の行動を振り返って、ようやく思い出した。そういえばここ、慧の家だ。

 昨日は待ちに待った慧とのお泊まりの日だった。スーパーでそれぞれのお気に入りの惣菜を買って、楽しく酒を飲みながら晩酌して、一緒にゆっくりお風呂に入って、ダラダラとテレビを見ながらイチャイチャして、それから愛しの慧を抱きしめながら早めに寝た。あまりに幸せすぎて、夢の中でも慧とずっとイチャイチャしていた気がする。

 って……そういえば慧は?慧が寝ていたはずの部分をさすさすと撫でるが、そこに温もりは感じられない。トイレかな、いやそれにしては長い。けど部屋の中には見当たらないし……
 ここで、いつもとは違うサイドテーブルに手を伸ばしてようやく時間を確認すると、まだ朝の5時だった。寝れなかったのか?とにかく様子を見にいくか。腹を壊したり、トイレで寝てなきゃいいんだけど。

 だが布団から出た瞬間、ようやく俺は異変に気がついた。……なんか焦げ臭くないか?寝起き特有のふわふわした感覚は一瞬で飛んでいった。慌ててドアを開けると、そこにはレンジを開けたままぼーっと立っている慧が居た。レンジの中を覗くと、焦げ臭いなにかがあって、白っぽい煙がもわっと上がっている。

「慧……これ……」
「いうな、なにもいうな」

 焦げ臭いなにかは一旦避難させて、俺と慧は片付けを始めた。どうやら、俺が目を覚ます原因になった音はこいつが爆発した音らしい。慧は心做しかシュンっとしていて、俺はそんな慧もやっぱり可愛いな、なんて考えていた。

「で、なんでこんな朝から作ろうとしたの?」
「……だって」
「だって?」
「ホワイトデー……」

 そこでようやく俺は理解した。あれ、お菓子だったのか……!
 そういえば明日はホワイトデーだ。なんで今日?と思ったが、朝起きた時に出来たてお菓子でサプライズがしたかったらしい。何それ可愛い。

「……俺だって、お前のために作ってあげたいと思ったんだよ」

 えぇ……そんなの可愛い過ぎるだろ。この胸の高鳴りどうしてくれる。慧のほっぺたをぐりぐりといじるけど、慧はまだ落ち込んでいるようで眉毛がへにょへにょになっている。俺の恋人、なんて可愛んだろう……

「パウンドケーキ作ろうとしたの?」
「うん、そう」

 ふーんと言いながら焦げ臭いなにかに手を伸ばして、そのままちぎって口に入れた。

「えぇ!?ちょっと、何してんの!?早く出しなって!」

 うーん、流石に苦いし、硬いし、なのに中はべちょべちょどろどろだし、食えたもんじゃない。けど……

「慧、大好きだよ。ホワイトデーのお返しありがとう」

 バレンタインの時は素っ気なく見えた慧が、わざわざお返しを手作りしようとしてくれた事が何より嬉しい。流石に全部は腹壊すと言って、残りは捨てられてしまったけど、慧もちょっぴり嬉しそうだった。

「あ、そうだ。あとで一緒にパウンドケーキつくる?」
「……つくる」

 俺は可愛い恋人の口元にチュッとキスをした。
 3時のおやつが楽しみだ。



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