second dice

N&N

文字の大きさ
36 / 73
4.始まらない冬休み

しおりを挟む
イライラしても始まらない。

イライラするのはきっと腹が減ってきたからだ。

絶対そうだ。

昼時だし。

「兄キ、カップ麺作るけど、何か食べるか?」

一応義理のために聞いてみる。

オレの分だけ作ると怒ってくるかもしれない。

「あ、オレもうクスミっちの家で食べてきた」

「え!?」

クスミの家で!?

一体何をごちそうになってきたんだ。

「クスミっちがNキャラオムライス作ってくれたんだよ」

「・・・Nキャラオムライス?」

「昨日ここでクスミっちが作ってただろ?あれだよ。うまかったぞ」

「え?」

えー!?

クスミがオムライスを作っただとー!?

「え?嘘だろ?」

昨日卵を割るのも一苦労っぽい感じだったのに、オムライスなんて作れるわけがない。

「一真、失礼だぞ。オレが嘘を言ったことが今までにあったか?」

「・・・・・・・・・」

確かに、嘘はなかったかな。

勘違いしていたり、忘れて自分の発言がなかったことにしていたことはあったが。

「だいたいオレが嘘をついて何になる。クスミっちがオムライスを作ってないのに作ったって言って何の得があるんだ」

「わ、わかったよ。そんなに勢いつけて言わなくてもいいだろ?」

「一真、人を嘘つき呼ばわりしておいてその態度はなんだ。本当なら10回くらい土下座させたいくらいだぞ」

何でそんなに怒ってるんだよ。

クスミ絡みだからか?

彼氏ぶりやがって。

「昨日クスミは卵を割るのもおぼつかない手つきだったから、それでオムライスが作れたのかなって思ったんだよ」

「何ー!?そんなこと思ってたのか。クスミっちにも10回土下座して謝れ!」

「い、いいですよ、そんなの」

クスミが慌てて割って入ってくる。

「私、昨日メデューサさんがオムライスを作る過程をじっと見ていたんです」

茉はクスミに卵を割らせてケチャップをかけさせただけで、後は自分でやってのけたもんな。

っていうか、クスミも茉のことはメデューサ呼ばわりか。

「見ていたら覚えました」

覚えた?

作る過程を?

見るだけで流れを覚えて、実際に作れるものなのか?

「私、家に帰ってから試しに作ってみたんです。そしたらできました」

「茉が作った通りに?」

「はい」

「味も一緒?」

「はい」

嘘だろ。

あんなに料理初心者だったクスミが茉の動きを見ただけで完全コピーできただって?

「私、器用なんです」

「ん?」

どこかで聞いた言葉。

あ!

UFOキャッチャーでのすごテクを見せられた時!

そういえばクスミは手先が器用なんだった。

UFOキャッチャーで狙った物をバンバン取れるくらいに。

「ま、そんなわけでオレは腹いっぱいだからキミは庶民らしくカップ麺でも食べておきたまえ。ハッハッハッ」

兄キは声高々に笑い声を上げて、クスミと自室へ行ってしまった。

1人残されたオレはしばらくの間、動くことができなかった。

料理って見ているだけで習得できるものなのか?

そんなことないよな?

それができるとしたら料理人という職業が必要なくなるもんな。

クスミが異常なだけだよな?

異常って言い方は失礼かもしれないが、でも実際UFOキャッチャーといい、オムライスといい、異常な技を見せているわけだし。

とても手先が器用だとしか思えない。

昨日の卵を割る様子を見ている限り、全然そんなふうには見えなかったが。

でも待てよ。

クスミが茉の動きを見てオムライスが作れるようになったってことは、オレもひょっとすると同じように作れるんじゃないか?

オレだって昨日真横で茉の動きを見ていたわけだし、手順も覚えている。

オレは自分で手先が器用だと自負するつもりはないが、初めてやったUFOキャッチャーで獲物をゲットした功績がある。

・・・ちょっと試してみるか。

幸い兄キ達はゲームをしているからしばらくは出てこないだろうし、兄キの両親も午前中で仕事が終わるなんてことはない。

だいた明日が仕事納めだから、今日も遅くまで仕事をしているはずだ。

昨日、冷蔵庫を開けた時に卵がいっぱいあったのも覚えているし、茉が他に何を準備していたかも覚えている。

よーし、やってみるか。

オレもオムライスが作れるようになれば、わざわざ時間を調整してまでえぬたまに行かなくても良くなる。

カップ麺に頼らなくても良くなる。

一石二鳥だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...