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2.海
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まるで突然の夕立ちのような別れ話から3日経った。あんなに土砂降りだった雨も形を潜め、未だ少しどんよりしてはいるが空も雲の間から垣間見得るようになっていた。
私は、いつまでもくよくよしててもしょうがないと、自転車で家から左にずっと走ってみた。ふと見つけたカフェで、なんちゃらって国のコーヒーを飲んで、また自転車で走り続けた。
しばらく真っ直ぐ走り続けていると、突然視界が開けた。眩しくて思わず目を閉じた。暗がりたい心には痛いほどの光だった。慌てて木の影に入り、恐る恐る目を開けてみると、眼下に広がるのは広大な海だった。自分が立っているところは高台のようになっていて、上から海がずっと見渡せるようになっていた。
「…っ」
思わず感嘆の息が漏れた。こんな所が海に繋がっているとは思いもしなかった。
もう少し海を視界にたくさん入れたくて、右足を踏み出した。その時、遠い後ろから足音が聞こえてきた。すごく慌てている様で、でもどうでもよかった。左足を踏み出そうとした時、その足音は私へと近づくと、それでも止まらずに私の両肩を掴んでぐいっと後ろに引いた。そのまま押し倒され、地面の上に2人して転がる。
今まで海が映っていた視界が、突然空に変わった。その空もすぐ何かに隠されてしまった。
「話を聞きます!やめてください!」
その何かは私に向かって叫んだ。目が眩んで何が何だかわからない私は、眉間に皺を寄せた。
「…え…?あれ……?」
戸惑っているそれが顔だと気づき、私は目を大きく開いてようやく
「ど、どうしたんですか…?」
と声をかけた。
「どうしたも何も!あんな危ないところに立って!飛び降りるんじゃないかと!思った…んです…けど…。」
その人は上半身を起こす。私も同じように起き上がり、その人と目を合わせる。
「違った…みたい、です。すみません。」
その人は耳を真っ赤にして目を伏せた。初めて見たその人は、真っ黒な髪で、25歳くらいの青年だった。
「あ、、いえ、私もすみません。」
そう言うと、その人はパッと顔を上げ、
「何をしてたんですか?」
と問うてきた。私は、その勢いが何だかおかしくて、クスリと笑ってしまった。
「海を、見ていました。」
「ここからの眺めはいいですよね。僕も落ち込んだ時とかよく来るんです。」
それから私の目をじっと見て、
「ここ、内緒の場所だったんですけど。僕以外で見つけたの、あなたが初めてです。」
そして、花が開いたように笑った。
「ちなみに、もうひとつお気に入りがあるんです。紹介してもいいですか?」
首を少し傾けて私に問いかける。
「ぜひ、教えてください。」
私もつられるように笑った。
では、と案内するように少し前を歩く青年の背を眺めていると。
「ん?どうしたんですか?」
と、振り向いてまた笑う。
「…私も、見つけられて、良かったです。」
私は、いつまでもくよくよしててもしょうがないと、自転車で家から左にずっと走ってみた。ふと見つけたカフェで、なんちゃらって国のコーヒーを飲んで、また自転車で走り続けた。
しばらく真っ直ぐ走り続けていると、突然視界が開けた。眩しくて思わず目を閉じた。暗がりたい心には痛いほどの光だった。慌てて木の影に入り、恐る恐る目を開けてみると、眼下に広がるのは広大な海だった。自分が立っているところは高台のようになっていて、上から海がずっと見渡せるようになっていた。
「…っ」
思わず感嘆の息が漏れた。こんな所が海に繋がっているとは思いもしなかった。
もう少し海を視界にたくさん入れたくて、右足を踏み出した。その時、遠い後ろから足音が聞こえてきた。すごく慌てている様で、でもどうでもよかった。左足を踏み出そうとした時、その足音は私へと近づくと、それでも止まらずに私の両肩を掴んでぐいっと後ろに引いた。そのまま押し倒され、地面の上に2人して転がる。
今まで海が映っていた視界が、突然空に変わった。その空もすぐ何かに隠されてしまった。
「話を聞きます!やめてください!」
その何かは私に向かって叫んだ。目が眩んで何が何だかわからない私は、眉間に皺を寄せた。
「…え…?あれ……?」
戸惑っているそれが顔だと気づき、私は目を大きく開いてようやく
「ど、どうしたんですか…?」
と声をかけた。
「どうしたも何も!あんな危ないところに立って!飛び降りるんじゃないかと!思った…んです…けど…。」
その人は上半身を起こす。私も同じように起き上がり、その人と目を合わせる。
「違った…みたい、です。すみません。」
その人は耳を真っ赤にして目を伏せた。初めて見たその人は、真っ黒な髪で、25歳くらいの青年だった。
「あ、、いえ、私もすみません。」
そう言うと、その人はパッと顔を上げ、
「何をしてたんですか?」
と問うてきた。私は、その勢いが何だかおかしくて、クスリと笑ってしまった。
「海を、見ていました。」
「ここからの眺めはいいですよね。僕も落ち込んだ時とかよく来るんです。」
それから私の目をじっと見て、
「ここ、内緒の場所だったんですけど。僕以外で見つけたの、あなたが初めてです。」
そして、花が開いたように笑った。
「ちなみに、もうひとつお気に入りがあるんです。紹介してもいいですか?」
首を少し傾けて私に問いかける。
「ぜひ、教えてください。」
私もつられるように笑った。
では、と案内するように少し前を歩く青年の背を眺めていると。
「ん?どうしたんですか?」
と、振り向いてまた笑う。
「…私も、見つけられて、良かったです。」
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