【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~

ペロりねった

文字の大きさ
64 / 203
2.5◇古都へ

64.モールからの脱出!

しおりを挟む
「こちらです──」

 気更来きさらぎさんの案内で次は洋装店へ移動する。

「こんにちは。蒼屋あおやキョウです。──」

 洋装店に入るとまず、定型の挨拶あいさつで話を始める。店の人も分かったものでドレスを数着すぐに用意してくれた。

 姿見で体に当ててすぐ決める。花が一輪咲いている程度で、デザインはシックに抑えられたものがそろっている。

 一着はイヴニングを選び三着を決済し、すぐに梱包こんぽうしてもらう。

「はあ、これではじはかかないかな? あと……履物はきものとかバッグとか──」
「こちらです」

 気更来きさらぎさん、優秀。すぐ不足をさっして案内してくれる。

 ボクは、ものを見るなり即決して買っていく。荷物は護衛の歩鳥ほとりさんや斎木さいきさんにあずかってもらう。

 護衛なのに荷物持ちにしてゴメンね。

 草履ぞうりは歩きにくいので、ローファーのままで移動していく。

「よし! これで良いと思う?」

 気更来きさらぎさん、歩鳥ほとりさん、斎木さいきさんにく。皆、うなずいてくれるので撤収てっしゅうする。

気更来きさらぎさん、羽衣はごろもさんを呼び戻して、車に戻りましょう」
「了解。ウイ、聞こえるか?──」

 気更来きさらぎさんが羽衣さんに連絡してくれる。

「こちらです──」

 連絡をつけて気更来きさらぎさんが先導していく。ボクがそのあとを、護衛ふたりが荷物を抱えて続く。

 喧騒けんそうけ、お客さんをって小走りにエレベーターに向かう。

 さすがに人が増えてエスカレーターは危険が増したらしい。

 まだ危険じゃない気はするけど、そこは専門家に任せる。

「羽衣が来ます」
「な、何、あれ?」

 エレベーターにたどり着いたところに、群衆ぐんしゅうを引き連れたような羽衣さんがけてくる。

 ボクたちはエレベーターのドアが閉じないようにしながらそれを待つ。

 羽衣さんがすべり込んで乗るとエレベーターのドアを閉める。

 ゆっくり、動き出してエレベーターは下りていく。

 すんでのところで暴女たちを振りきった。

「ふぅ~。こっわ!」

 羽衣さんの後ろには目を血走らせて追いかけてくる女たちがいた。

 あちこち黒服がやぶれかけた羽衣さんが息を切らして座り込んでいる。

 お疲れ様、と思いつつ頭のショーツに手を伸ばすと気づいた彼女にガウってえられた。

 ほんに犬になっとりおす。

「ボクのキャミソールは……」

 聴いてみると、逃げ回る内、紛失ふんしつしてしまったらしい。苦悶くもんの表情で答えてくれる。


「まだこれからです。一階は死霊しりょう巣窟そうくつとなっている可能性が……」

 気更来きさらぎさんが殊更ことさらに危機感をあおってくる。

「ま、まあ、それは可能性でにおいをき散らしてないから大丈夫な気が──」
「甘い! 甘すぎますよ。『おとこ』って一言あがると四方しほうから囲まれるかも知れませんよ」
「そ、そう?……」

 そうかなあ~? 気更来きさらぎさんの話は話半分に聞いておこう。

 そう話しつつ背後から羽衣さんの持つショーツをつかむがかかえ込んで放さない。

「一同、生きて帰るぞ!」
「「おう!」」
「……ぉぅ」

 気更来きさらぎさんの気合いに歩鳥さんと斎木さんが合わせるが、羽衣さんはまだ息が整わず力なく返す。

 しかし、生きてって、それほど?

 そして、ゆるゆるとエレベーターのドアがく。

 ドアの外は一見、平静なショッピングモールで、そこにいるのはただの買い物客たちだ。

 外へ、出口へ向かって小走りに行く。

 気更来きさらぎ、ボク、歩鳥、斎木、そして羽衣が続く。

 ボクたちの姿が場にそぐわなくて、ほうけて見ていた客たちが、徐々じょじょに異様さに気づき連れの人と顔見合せたりいぶかしげに見て判断を迷っている。

「何、撮影さつえい?」
えらい人……か」
「和服って……もしかして」
「あれ、男性警護士……なんじゃ?」
「おとこ……」
「──男」
「男がいるぞ!」
「うそ、男? どこ?!」
「どこよ? おとこ~!」

 気更来きさらぎさんのいう通り、男と判断されると一気に騒然そうぜんとなる。

「もうバレた。我々で進路確保に先行する。後方、キョウ様に近付けるな! 羽衣、行くぞ!」
「「おう!」」
「ウイ!」

 羽衣さんの「ウイ」ってしゃれか? そんな突っ込みしつつボクたちは、小走りして駆け出す気更来きさらぎさんのあとを追う。

 歩鳥さんと斎木さんは電撃警棒をかかげて周りを威圧いあつしている。

 それを見て男が居ると確信した女たちが遠巻きに囲んでくる。

「荷物をこっちに!」

 護衛たちの荷物を少し受け持つ。

 二人のすきねらって暴女が突っ込んでくる。

 それを警棒でぐ二人。

 いたすきにまたタックルをかけてくる女。

 まだ個々人的で散発する程度だけど面で来られるとマズいな。

 もう少しで出口のところに前へ回り込んでくる女が数名いる。

 両脇りょうわきの二人が間に合わなそう。

「これはやりたくなかったのに……」

 ボクは、注意をらすようふところかたまりを投げつける。

 それに気を取られた女を斎木さんがいでクリア。

 ボクはもう一つの塊を反対方向に投げて反対側の女の気をぐ。それはボクが履いていたタイツを丸めたもの。

 前方がいて、そこへ突っ込んでいくボクたち。

 出口のこちらにじん取る気更来きさらぎさんの脇を抜け外へ。

 外側は羽衣さんが出口に人をせ付けなくしていた。

「羽衣、ゴー」
「おう!」

 ボクたちを追い抜いた気更来さんが羽衣さんに声をかけてつゆ払いに駆けていく。

 後ろの出口から「おとこ~!」とさけびながら女たちが殺到さっとうしてくる。

 それほど出入口は大きくないので、その追従ついじゅうこわくない。

 危機はだっしたようだけど黒リムジンの前に数人の女たちが……。

 まさかとは思うけど、パジャマの匂いに釣られた?

「下がって。下がらないと実力者行使します!」
「田中! すぐ出る。準備できてる?」
「できてます!」

 気更来さんが女たちを威嚇いかく、羽衣さんがドライバーに声をかける。

 少し開けた窓からドライバーが答える声がする。

 車はすぐ発進できるようだ。

「お早く!」

 ボクたちはリムジンのいたドアへすべり込んだ。

「発車!」
「了解!」

 エンジンがうなりを上げて発車する。タイヤはスキール音をあげる。

 そうして、モールからボクたちは生還せいかん? した。

 ふう~、疲れた……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...