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3.喜多村本家に居候
68.喜多村家の本館へ
しおりを挟むスイングドアの先の廊下は迎賓館と違って新しい造りだ。
壁紙の貼られた壁に所々にある窓はサッシで仕上げられている。
その廊下を経て本館らしきところへ着く。境の扉は開けっ放しになっているから、たぶんそう。
日中は利便性が優先で、開け放たれているのかも知れない。
本館の廊下は黒い木でできた骨組みに白い漆喰が塗られた壁で、迎賓館と似ている。
造りも迎賓館と同じだろう。
物珍しくて見回していると、あとから付いてくるサキちゃんの視線が目に入る。
恨めしそうにボクの手を見ていた。皆に手を引かれているからだろう。
一つ目の部屋はホールタイプの部屋。
こちらも食堂にしたりしているのか長いテーブルが据えてある。
使った様子は薄いので各自の部屋で食べている方が多いんだろう。
反対側にはエレベーター、階段、食器棚の部屋。
その隣に小さな部屋。長テーブルが据えられていて、荷物も散見する。
使い込まれた感じで、使用人たちの休憩室にも使われている物置なんだろうか?
進んで警備室があり、その先には玄関ホールというかエントランス。
エントランスの地続きに小さな門があり、そこはシューズラックが並んだ小部屋になっている。
まあ、下駄箱の部屋だね。
そこから抜けるように設けられた小さな門があり、その先にも小部屋が拵えられている。
そこはクローゼットになっていて、そこで脱いだコート・外套を預けるみたい。
そこら辺りの向かいにトイレがある。その隣には脱衣場になっていて奥にはお風呂がある。
それを確認したボクを、風呂へ引き摺り込もうとするタンポポちゃん。
脱ごうとしてるアリサちゃん、脱ごうかためらうマナちゃん。
君たちどうして、そうも風呂に入れたいんだよ。
脱衣場で膝を突き合わせて座り、懇切に説明・説得を重ね、夜のお食事の前に一緒に入ることで妥結をみた。
その様子を見ていたサキちゃんが苦笑い。
そして、やっぱりある遊戯室、規模でかい。そこには子供たちが遊べるようなものはなかった。
リズム系ビデオゲームがあったけど、まだ皆には早そう。
その先の斜向かいに大きめの部屋がある。そちらは小規模なシアターのよう。
先に進んで、また階段とエレベーターがある。
その先は行き止まりで、勝手口らしきものがある。ドアを開けて外へ出てみると遊歩道になっているようで、緑あふれる庭につながっている。
階段に戻って上の階に登ってみると居室が並んでいる。
先へ歩いて行っても同じような造りの部屋のよう。
中ほどまで行くと「ここが私の部屋」とタンポポちゃんが教えてくれる。
「ほぅ~……ってマナちゃん?」
ボクが入って行こうとするのをマナちゃんが止め、手を引っ張って行く。
引っ張られて行った先がマナちゃんの部屋らしい。
ちょっと見ても同じような部屋だ。
「ちょっと~ちゃんと見ていきなさいよ~」とタンポポちゃんが追いかけてくる。
「次はアリサの部屋」と自分の部屋へアリサちゃんが引っ張って行く。
各部屋を覗いみて、タンポポちゃんの部屋に戻ってくる。
「さて、何して遊ぶ?」と、タンポポちゃんが訊いてくる。
「まだ、見て回ってないよ?」
「もう何もない」
アリサちゃんが即答した。
「三階があるでしょ? 階段があったから」
「三階より上はダメだって」
「そうじゃ、止めておいた方が善いのぅ」
ボクはまだ上があるから三階へ行くんだと思ってたんだけどダメらしい。タンポポちゃん、サキちゃんが止める。
「そうなんだ」
「そうなの」のタンポポちゃんと「そうなのじゃ」とサキちゃん。
「分かった。それで部屋で遊ぶのね。何して遊ぶ?」
「おままごと」と幼けな声がそろう。
「バカねぇ、家族の修羅《しゅら》場《ば》がトレンドよ?」とタンポポちゃんが反論する。
「どんなトレンドだ」とは言うまい。
「ええっと、おままごととは?」
おままごととは? 昔やったかも知れないけど覚えてないな~。
ここは訊かねばなるまい。
「私たちが会社から帰ってくるとキョウが出迎えて、一緒に食事して、一緒にお風呂に入って、一緒に寝るの」
具体的だね。まあ、ボクは、ごっこ遊びじゃなく実地に済ませてるけどね。
「分かった。出迎えれば良いのね?」
「みんな、カバン持って部屋の外へ」
うなずく皆。思いおもいカバンやポシェットなどを持って部屋のドアの外へ行く。
「そなたは、子守りができるな」
「えっ? そうですか?」
懐疑的にサキちゃんに返すと、そうだとサキちゃんが言って頷いた。
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