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3.喜多村本家に居候

79.恥ずかし写真撮影会

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 皆を連れてボクに充てられた部屋に着く。

 また、幼女の要求に応えると思うと、少しうんざりする。

「はあ~」
「さあ! 始めるわよ」
「うん」
「楽しみ」

 疲労感と倦怠けんたい感にさいなまれる。

 すご~くタンポポたちが元気なのが、更に拍車をかけてる気がする。

「それで何をするの?」
「そうね。キョウを相手にみんな、すませた写真を撮るのよ」
「みんな、すませた、とは?」
「まあ簡単に言うとジゴ写真ね?」

 また、要らないこと、知ってるよ。誰だ、教えたのは?

 ジゴって分かってるのかな~?

「──それで? ボク、何すれば良いの」
「そりゃもう、ハダカになってベッドに寝てればいいわ」
「また裸になるの?」
「もんくある?」
「いいえ……ありません」

 ボクは、ベッドの上に散らばった着物を片付け、懐の汚れものもまとめる。

 ベッドに戻って掛け布団をめくると、ローブとTシャツを脱いで横になった。

「これでいい?」
「いいわよ。みんな脱いで」
「うん」
「分かった」

 折角、着させたのに……皆、脱いでいく。

「じゃあ、まず私」

 タンポポちゃんが隣に寝転び、顔をボクの顔に寄せると携帯端末機をかざす。そしてインカメラで写真を撮る。

「いまいちね~? キョウ、あんたもっととろけた顔しなさいよ」
「とろけた顔って知らないよ?」
「マキナおばさんと、やったあとを思い出して」
「ええっ?」

 そんな顔、写真に残ったら悶絶もんぜつできる。

「キョウをくすぐってみよ」

 ま~た、サキちゃんが要らないことを!

「そう? みんな、キョウをくすぐるのよ!」
「うん」
「やるやる!」
「ちょ、ちょっと~。ひゃひゃい、いひひいぃ~ひっ──」

「みんな、止めて」
「ひぃひぃ……」

 これは、バツなのか。皆をくすぐった。

「いい感じ。そのままよ」
「はぁ~はぁ~」

 タンポポちゃんが顔を並べてシャッターを切る。

「すごく良い! ほらほら」
「いい」
「いいわよ。次、わたし」

 アリサちゃんが次に同じようにする。くすぐられもだえるボクと一緒に写真を撮る。

「これ、いい。これなら皆に自慢できる」

 一体、誰に自慢するんだか。ちょっと怖い。

「次。マナね?」
「うん」

 同じように、くすぐられ写真を撮られた。

「──はぁ~~、これで終わり?」
「次は──」

 まだあるの?

「──集合写真ね?」
「集合……」
「みんな、キョウの回りに」
「うん」
「分かった」

 タンポポちゃんが左に、右にアリサちゃん、胸の上にマナちゃんを乗せ、みんな顔をよせ写真を撮った。

 終わった~。

「わたしたち、キョウとすませたのよ?」
「うん」
「そうね」
「キョウが聞き分けのないこと言ったら……」
「言ったら?」
「……ったら?」

 ゴクリと幼女たちは、喉を鳴らす。

「この写真を見せておどすのよ」
「かならず、おどす……」
「おどす……」

 息を整えていると、皆、顔を突き合わせて悪巧みの表情してる。なんか良からぬ相談してるみたい……。


「終わったかのぉ~。面白いニュースが始まるころじゃからテレビを観んか?」
「面白い?」
「何ですかそれ?」

 サキちゃんの提案を聞きながらボクはシャツを着直しローブを羽織る。

「面白いって何?」
「まあ、観てみよ」

 ボクが聴くとサキちゃんは、部屋に据えられたテレビを映す。


『皆さん、こんばんは。蒼湖おうみニュース・バラエティーの時間です』

 この古都のローカルチャンネルが映し出される。

 それは、夕方のニュースでパネラーと共に今日起きた出来事を見ていく番組のよう。

「さあさあ、テレビ観る前に、みんな服を着て。風邪かぜひくよ?」
「「「は~い」」」

 返事は良いけど、テレビに目が釘付けになってる。
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