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3.喜多村本家に居候
116.警護たちの反目
しおりを挟むマサゴさんが引き上げるのと前後して警護の笹さんと打木さん、気更来さんと羽衣さんが移転の挨拶に来る。
「引っ越し、終わりました」
「同じく。シフトはどうすれば宜しいですか?」
「シフト……ってなに?」
「え~、六人態勢になりましたので三交代で二四時間警護できます」
あ~~。まあ、警護するならそうなるのか~。相変わらず堅いね、笹・打木コンビ。
「別に好きにすれば良いよ? 夜は必要ない。どっちかって言うと昼間もあんまり必要ないしね?」
館にいるうちは、警護の必要性を感じないんだけど。
「じゃ、じゃあ、私たちが~夜の警護を~いたしますぅ。むふぅ」
「いや、今言ったよね? 夜が一番必要ない、って?」
羽衣さん、鼻息荒くなに言ってんのさ?
「す、すみません。こいつ、夜になると元気になるんで」
「夜ならば我らが適任。寝所の護りなら任せてもらおう」
「うむ。その通り」
羽衣さんの自分推しを気更来さんが止めると、笹さん打木さんが立候補してくる。
「いや、寝床の番どころか夜は要らないデショ?」
「いえ、この半日お側にいて、夜こそお護りしなければと思いを強めました」
「そうです。御身を脅かす危難がすぐ側にあると感じました」
「そんな、大げさな~──」
「「大げさではありません」」
ずずいっと二人が迫ってくる……。圧が強いし暑苦しい。羽衣さんは爪を噛んでる。
「わ、分かったよ。今夜だけお二人に御願いする」
「ちょっと待った~! 言い出したのは私だよ? ぽっと出は黙っててもらおうか」
「ウイ、いい加減にしろ」って気更来さんが止める。
「何おう? やはり、こやつらは信用なりません。キョウ様、即刻! 解任をお勧めします」
「そっちのも、バディの手綱も取れんのか? 喜多村家警護の名折れだ」
「な、なに~?」
気更来さんがなじられると激昂する。なんでこ~なってんのよ?
「「キョウ様! ご決断を」」
「キョウ様、長──くもないけど仲良くやってきたじゃないですか?」
「ちょっと~、遅いよ」
しびれを切らしてタンポポちゃんが呼びにくる。後ろに歩鳥、斎木の二人も顔を覗かせている。
「ごめんごめん。夜番をするってさ~」
「あ~なるほど……。これは勝負で決めるしかない、わね~?」
勝負ってまた穏便にすまなそうな気がするんだけど?
「それって……」
「ゲームよ!──」
──やっぱり。
「──(脱衣)ゲームで勝負して勝ったものを夜番にすればいいのよ」
ほら、警護たちが困惑してる。それに──脱衣って幻聴がしたんだけど、気のせい?
「そ、それで、どんなゲームをするので?」
「もちろん、大富豪、しかないわ」
「「「大富豪?」」」
「そうよ。決まったら寝室に集合」
いや、勝手に決めないでよ。タンポポちゃんが寝室へ進んでいく。
「「「おう!」」」
警護たちもタンポポちゃんに続き、勇んで部屋の奥へ向かっていく。やれやれ。
「タンポポちゃん、警護たちを焚き付けてど~するのよ?」
「不平不満を吐き出させて今のうちに憂いを晴らしておくの」
「ほ、ほう……なるほど?」
う~む、一理ある、かも?
「では、始める前に。ルールは分かってる?」
「だいたい、は」
「知ってます」
また、ベッドのヘッドボードやサイドテーブルを探ってカードを取り出す。
ジョーカーを含めて五三枚でやるらしい。一番強いのはA。次にE、Q、J、10……最下位は2。
ジョーカーはAを凌駕し、ワイルドカードとしても使える。
「じゃあ、キョウ、シャッフルしてディール」
「え? うん」
ちょっと待ってよ。なんでボクまで参加してるのさ?
「これって一体?」
ことの成り行きが分からない護衛、歩鳥さんと斎木さんが声をあげる。
「キョウを賭けたゲームよ?」
「違う! 夜番──夜の警護の担当をゲームで決めるんだってさ」
「それって、我々も参加できませんか?」
歩鳥さん、斎木さんまで参戦したいとか。物好きにもほどがある。
「ダメ。誰が進んで夜の憩いを勤務で過ごしたいのかワケ分かんない」
カードを切って配り、手配を見る。まあ始めは札がバラけてるね。
「じゃ、キョウから」
「そう? んじゃ、ホイっと」
「あ! キョウ……あんたって大富豪、知らないわね?」
手札からスペード2を出したらタンポポちゃんに嘆かれた……。
「え? 知ってるよ」
「勝ったことは?」
「たまに勝つ、けど?」
「はぁ~~」
タンポポちゃんに盛大なため息をつかれた。なんでよ~?
そのため息の通り、あまり優位にゲームが進まず、なんとか平民で一回目を終える。
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