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3.喜多村本家に居候
139.露天の招かれざるもの
しおりを挟む「水無ちゃんタマちゃん、ゴメン。でも混浴だよ?」
慌てて浴衣をまとい脱衣場で二人を出迎える。
「うっ……それは……」
「露天は別」
そうなの、タマちゃん? 水無ちゃんに比べ達観してる。
「湯浴み着は、まだございますが。いかがなさいます?」
サザレさんが言葉を添えてくれる。
「だって。どうする、みんな?」
「うん、使う」
「是非もなし」
大丈夫かな? 可能な限りボクの身体で二人を隠すか~。
「これって全部見えちゃう」
「濡れるとすけすけ」
そうなんだよね~。湯浴み着をまとった二人が感想をもらす。浴衣は身体を冷やさないためで隠すためじゃない。
丈も超ミニスカートくらい短いし、生地も薄い、からね~。
「大丈夫だよ──」
「「大丈夫?」」
そんな懸念を払うよう声をかけると二人が聞き返す。
「──相手も全部見えるから、すけすけで」
「え″~~」
「別に女は見たくない」
「ええっ? タ、タマちゃん、女性はダメだった?」
「違う。女の裸はそこら辺に氾濫してる。……私はキョウちゃんが見たい。そのすべてが見たい」
あ~、なるほど? ってなるか!
「それは、それでイヤかな?」
「キョウちゃん、早くぬるぬるして、水無ちゃんを」
って言ってタマちゃんは携帯を構える。
「「え″え″っ?」」
「ンフ~~……はやくぅ~」
「なんで私? 意味、分かんないけど?」
当然、水無ちゃんが反論する。
「そうだよ、なんで水無ちゃんなのさ?」
「じゃないと私が録れない」
代わりに水無がキョウ──ボクをぬるぬるしても良いとタマちゃんが言う。
「じゃ、じゃあ私が録るからキョウちゃん、タマちゃんをぬるぬるにして」
「どうして、ボクがぬるぬるしたり、されたりする前提なのさ? ボクが録るから水無ちゃんはタマちゃんをぬるぬる、しなよ」
「ん~~、分かった」
考えこんだ水無ちゃんが請け合うと「え″っ?」とタマちゃんが呆ける。
「はい、携帯預かるね? シャンプーとボディソはあれね?」
固まったタマちゃんから携帯端末を奪う。自分に矛先が向くとは思ってなかったろうね。
「え″っ? え″っ?」
「タマちゃん、あっちあっち」
当惑するタマちゃんを浴槽側へ押していく。
「え″っえ″っ、え″え″っ?」
「で、どうすんの?」って水無ちゃんが訊いてくる。
「いや、普通に洗うだけ。スポンジがないからタオルを使って」
「分かった」
「え″え″え″~っ!」てタマちゃんが絶叫する。
水無ちゃんがタマちゃんをぬるぬるしていく。なんとか羽衣さんのこと、うやむやにできた?
「ふぃ~」
「むふぅ~」
二人は泡を流して浴槽に浸かる。
「は~~極楽極楽」
ボクもやっとこさ浴槽に浸かって意気を抜く。
「キョウちゃん、オジンくさい……」
「うん、老成しすぎ。──」
取り返した携帯の録画を観ながらタマちゃんが突っ込む。
「──さすが私。キレイに録れてる」
録ったのはボクだけどね?
三人並んで座ってるところへマナちゃんが来るとボクの膝に手をおく。
「あ~」
マナちゃんの意図が分かり、抱えて膝に座らせる。
「人懐っこい子だね?」
「キョウちゃんのヒザは私のもの、とか思ってる」
タマちゃんの推察に、「うん」と躊躇なくマナちゃんが答える。
タンポポちゃんアリサちゃんが妬ましそうな視線を送ってくる。
レニ様は……まだ夢現でこちらに気づいてないのかな? 静かで助かる。
「ねえ、キョウちゃん、この子たちと本当に結婚するの?」
「まあ、そうなるね?」
「本気?」
「十二年先なんだから、どうなるか分からないでしょ?」
「「あ~~……」」
二人はボクの心づもりが分かったらしい。
「ボク、おしおきが怖いから彼女たちの近くに行くよ」
そう言い、マナちゃんを抱えて席を移す。
「キョウ、旦那を放りすぎ」
「うんうん」
「ゴメンゴメン。みんな、のぼせてない?」
汗をかいてる割りにはしっかりしてる。
「大丈夫よ。お湯から上がって涼んだりしたから」
「夜空、見てた」
「なるほどね。外のお風呂もいいね~?」
「うん」
「たまにはいいわね」
ボクもみんなと一緒に夜空を眺める。月の出は、まだかかるのかな?
「キョウよ。そろそろ、わらわも洗ってくれぬか?」
「覚えていらしたんですね?」
「あたり前じゃ」
そんなに楽しみにされてもね~。身体は一度洗ってるでしょうに。
お湯から上がってミヤビ様を磨く。スペシャルメニューで悶絶させてあげました。手で擽り洗っただけなんだけど。
タンポポちゃんたちは、恐れて近寄ってこなくなったけどね!
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