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3.喜多村本家に居候
152.食欲不振?
しおりを挟む「義兄上、夜這いであればそう言ってくだされば良かったのです」
「……はぁ」
全然まったくそんなつもりなかった……。結果的には、そうなった感じだけど。
部屋へ戻る道すがらレニ様に説教まがいを説かれる。
「よそに気が行かぬよう夜のメニューを変えてみますか……」
レニ様が、ぶつぶつ言ってる。なんか余計な気を回してるような……。今回は突発的な事象で〝春の時期〟が過ぎれば治まるんですから。
「それで、どうであった?」
メイドたちの配膳を待ちながらミヤビ様が聴いてくる。
「いえ、何もありませんでした」
「義兄上の気が多すぎるのです」
「ほぉう? それで?」
「護衛どもに情けをかけておりました」
「あ、いや、それは、ちょっと違って」
「キョウよ、誰も彼も粉をかけてはいかんぞ?」
「……はぁ」
違うんです。なんかみんながボクを誤解してる。まあ、穏便に収まるなら弁明は呑みこむけどさ~。
「今日は、変わってますね?」
「そ、そうだな。たまには、な」
今日のお昼はハワイアン・ステーキで甘く酸っぱい匂いが部屋に広がっている。
「殿下、あまり食が進みませぬか?」
「そうですね。お茶ばかり飲んで箸が進んでいません」
実際は箸じゃなくフォークとナイフ、だけど。
「そうだな……。喉を通りにくくて、な……」
「それは……お加減が悪いのでは?」
「そうですね? 健啖家でおられますのに……」
「いや、これは……違う。病気などではないのだ……」
「では、なんだと言うのです? 半分も食べられておりませぬ」
「う、うむ……。わらわはもうよい。残りはキョウ、食べてくれぬか?」
「はい。それは構いませんが」
「わらわは横になる」
そう言い、ミヤビ様は席を外して寝室に向かっていく。
「どうされたのでしょうか?」
「余も分かりませぬ」
結局、ミヤビ様はベッドでごろごろして午後を過ごされる。
ボクは食後のコーヒーを飲み終わるとサキちゃんの部屋に行く。
「──ミヤビ様が具合が悪いんだよね~」
「あ~、日にち薬じゃから見守っておればよい」
ミヤビ様の異変をサキちゃんに相談する。その返答がよく分からない。
「え~、お医者さん、呼ばなくていいの?」
「うむ、おそらく要らぬ。そなたは覚悟しておくのじゃぞ?」
「ボクの覚悟って何? 意味、分かんないけど」
「夜にでも分かるじゃろ。それよりも──」
サキちゃんに夜は喜多村家の親族が続々と集まるので準備を怠るな、と注意される。
「準備って、何すればいいの?」
「はあ~、そなたは本家へ何をしに来たのじゃ?」
「え~……家を壊され、いや、病院で襲われて……あっ」
「分かれば、小ましな服に着替えておれ」
「う、うん」
そうだった~。本家には婚約・婚姻の報告に来た建て前だった。何日も普通に暮らしてて忘れていた。
サキちゃんの部屋を辞去して自室に戻るとリビングからメイドコールを押す。
岩居サザレさん、カモン!
「お呼びでしょうか?」
「サザレさん、着付けできるよね?」
「唐突でございますね? もちろん着付けも嗜んでおります」
「午後から喜多村の方々がこちらに集まるのでお迎えするのに相応しい恰好をしないといけなくて」
「承知いたしております。いささか早いですが着付けなさいますか?」
「ちょっと早い? じゃあ、もうちょっと後にする?」
「それが良うございますね」
おやつの頃には、こちらで着付けてくれると約束してサザレさんは戻っていく。
「さて、それまでどうしようかな?」
もうタンポポちゃんたちのところに行って遊ぶくらいだけど。
「義兄上、晴れ着にされるのか?」
寝室からリビングに顔を出してレニ様が聴いてくる。
「えっ? はい、こちらには挨拶に来ましたので」
「そう言えばニュースで言っておりましたな」
レニ様まで知ってるのか、それ。
なんの因果でここに留まり続けているのやら。
「殿下のお加減はいかがですか?」
「変わりない。医者も呼ばずとも良いと申されるし。余もどうして良いものやら……」
「では、二人でお慰めいたしますか?」
「お、おお? 義兄上もやっとヤる気になられましたか?」
「はぁ?」
「さあさあ、お慰めいたしましょう」
何か勘違いしてません? レニ様がボクを寝室に引きずっていく。
結局、ボクとレニ様はミヤビ様をはさんで添い寝した。
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