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4.本家からの再出発
166.新たな朝
しおりを挟む「ん~~、おはよ……う?──」
朝の唇の挨拶に応えて目を開くと、頬を赤くしたカエデさんがいた……。
「おはよう……」
「──どうして……」
「結婚してるんだし、いいだろ?」
首を巡らすとマキナは、まだ眠っている。
「──痛っ!」
八つ当たりにマキナのわき腹をつねる。
「おはよ」
「おはよう。手痛い挨拶だな~」
「ごめん……」
ボクまで頬が赤くなるのを感じてローブを羽織り洗面所へ急ぐ。
おとなり、リビングのアヤメ・ツバキの二人はまだ眠っている。
「ボク、五階で着替えてくる」
「分かった」
カエデさんと一緒に洗面をすませると、ミヤビ様のところへ行くとマキナに伝える。
「まるっきり二重生活だな~」
五階の部屋への道すがら、独り言が口を衝く。
応接室、リビングを抜け静かに寝室に入る。
まだ、起きてらっしゃらない……な。
音を立てないよう注意してクローゼット内を探る。
「はっ! 何もの?!」
びっくりした~。
「お、おはようございます、レニ様。キョウです。驚かせて、スミマセン」
「はあ~、義兄上でしたか……。何をされておるのです?」
「着替えを見繕っていました」
「そうでしたか。心臓に悪いですぞ」
「重ね重ね、起こしてしまいすみません」
「昨夜はいかがでしたか?」
「え~、いかが、とは?」
「夜の睦みごとです」
あ~……それね?
「義姉妹たちが居ましたので致しておりません」
「そうですか……その割には睦みごとの匂いがしておりますぞ」
「……えっ? そ、そうでしょうか?」
「ええ」
体の臭いをかいでみるけど自分では分からない。
「あれ?……」
それはさておき、下着と上着を適当に見繕って穿き替えようとして気づく。ショーツ穿いてない……。
「いかがされた?」
「あ、いえ……」
おかしい。昨夜、お風呂上がりにちゃんと穿いた……よね?
「義兄上?」
「ちょっと、失礼します」
着替えを抱えて寝室を出る。行き先は家族風呂だ。
「す~は~す~は~」
急いでお風呂に向かうと、カゴを抱えたマサゴさんが今まさに脱衣場から出てきたところに出会した。
……何、やってんの?
「こ、これは、その……汚れ具合を確認しておりました」
苦しい……すごく苦しい言い訳だよ。見慣れた布切れを口から外して垂水マサゴさんが答える。
「マサゴさん、それ汚れものだよね? ちょっと見せ、て?」
すごく嫌がる表情で差し出された脱衣カゴを受けとると、床に置いて内容物を検分する。やはり、無い。
「その握りしめてるのも見せて」
知りたくなかったけど、確認するとそれはボクのTバックだった。この際、目をつむる。
「無い……いったい、どこで……」
「わ、わたくしは盗ったりしておりません、よ?」
じと目で言い訳がましいマサゴさんを見る。確かに盗りはしないけど、洗いに出した肌着はまだ返してもらってない。
「うん、分かってる。ありがと……」
マサゴさんとの別れ際、肌着を早く返してくれるよう「お願い」しておく。また、買いに行かないと替えの残りが心許ない。
さて……無くなったショーツはいずこ?
ひとまず疑問は置いておいて、お風呂に入りシャワーで臭いを落とした。
「ただいま~」
三階の部屋に戻りリビングを見るとアヤメ・ツバキの二人は起き抜けで、まだ眠い目をこすっている。
「おはようございます」
「おはよう、キョウちゃん」
「──おはよう、キョウちゃん」
「眠そうですね? コーヒーでも頼みます?」
「そうだね。お願い」
「──うん、お願い」
アヤメさんは、いかにも嬉しそうに、ツバキちゃんは、はにかみながらも嬉しそうに答える。
「コーヒー頼むんだけど、どうする~?」
寝室に入ってマキナとカエデさんに訊く。
「貰おう」
「うん、私も欲しい」
「分かった」
マキナは下着姿だけど、それは昨日のものだよね? カエデさんも同じだろう。
リビングのメイドコールを押しながら考える。今日はみんなで買い物に行けたらいいのにな。
安定のサザレさんが現れると思っていたけど、若いメイド、サクラさんだっけ?──が現れ、彼女に五人分のコーヒーを頼む。
「ねえ、マキナ──」
コーヒーの来る間に、お出かけについてマキナに訊く。
「まあ、いいと思うが……おやかた──サキちゃん? に聴いた方がいいんじゃないか?」
「そうだよね~。うん、聴いてくる」
「それから、殿下、ミヤビ様にも聴いておかないと不味いぞ」
「そうだね……」
は~、また忙しくなりそう。
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