妄想日記2<<BEGINS>>

YAMATO

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Chapter10(覚醒編)

Chapter10-⑬【虹の架け橋】

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リョウは測定台の上に乗っているケツワレに、心が奪われた。
変色した生地に洗った形跡はない。
トールが何度も穿き、男の汁が染み込んだケツワレがとても尊く思われた。
二人に背を向け、穿き替える。
ナリヒラに剃られた陰毛はまだ疎らにしか生えていない。
「71.2キロだ。」
トールが測定値を伝える。
「意外とあるな。
何とか65まで落としたいが。」
書き込んだミキオが顔を顰めた。
夏場のシーズン中に比べると5キロ近く重い。
『もっと早くから桃さんにメニューを頼べばよかった。』
表示された値を睨み、臍を噛む。
「まあ、練習すれば、直ぐに5キロくらい落ちるさ。」
トールが気楽に言った。
「そうだな。
様子を見てみるか。
じゃあ、俺は先に行ってるから、リョウの面倒を頼む。」
ミキオが出て行った。
「おい、いつまで体重計に乗ってんだ。」
測定台の上で動かないリョウを見て、トールが笑う。
「さて、今日着るウエアを選ばねぇとな。」
トールがロッカーの中を掻き回す。
「これなんてどうだ?」
振り向いたトールがグレーのシングレットを広げて見せた。
『これを俺が着るのか!』
リョウのテンションが上がる。
「嫌か?」
何も言わないリョウの顔を覗き込む。
「いや、先輩のウエアを着れるので、嬉しくて…。」
股間の盛り上がりが悟られそうで、気が気でない。
 
リョウが着替え出すと、トールも学ランを脱ぎ始めた。
シングレットのサイズがやや小さい。
肩紐に腕を通すと、どうしても股間が持ち上がる。
トールの匂いに包まれたリョウは欲情を抑え切れない。
生地の厚いケツワレを穿いても、股間の隆起が目立ってしまう。
どうしたものかと、思案する。
「着終わったか?」
トールの声に、猫背で振り返る。
肩にタオルを掛けたトールがストレッチをしていた。
手を腰に当て、上体を後ろへ反らす。
サポーターを付けてないのか、ペニスの形がくっきりと浮かぶ。
自分の心配が徒労に過ぎない事に安堵する。
胸を張ると、自分が勇者になった気がした。
「それはやるよ。
やっぱりリョウはシングレットが似合うな。」
シューズを投げたトールが繁々とリョウを見詰める。
リョウはその視線に気付かぬ振りをして、靴紐を締めた。
 
体育館に行くと、皆は柔軟体操をしていた。
「俺達はランニングだ。」
トールが走り出す。
リョウも後を追う。
「キャプテンはミキオ先輩じゃないですか?」
皆に声を掛けているミキオを見て、聞いてみる。
「ああ、今のキャプテンはシンゴだ。
俺達は秋季大会で一応引退した事になってるんだ。
シンゴ以外は根性なしで、のんびり隠居生活も出来ねぇんだ。」
トールが愚痴を言う。
言われてみると、シンゴ以外はジャージ姿だった。
「さすが水泳部だ。
これだけ走っても息があまり上がってないな。」
トールは肩で息をし出した。
水中の長距離に比べたら、陸上で走るのはさほど苦にならない。
水泳部の練習が無駄でなかった事に満足した。
 
他の部員がスパーリングを始めた。
俺もやるのかと、気合いが入る。
「よし、次は俺に習ってやれ。」
息の整ったトールが前転を始めた。
マットに手を付き転がり、手を伸ばして起き上がる。
それを何度も繰り返す。
『前転?』リョウは気が抜けた。
しかし新入部員では文句も言えず、黙って真似をする。
マットの隅を前転で回る。
一周終わったところで、今度は後転だ。
さすがに目が回る。
最後はマットの外に出てしまう。
「初めてにしては筋がいいな。
前転だけなら満点だ。」
トールが褒めてくれた。
水泳部では言われた事のない言葉だ。
思わず笑みが零れてしまう。
「次はブリッジだ。
先ずやってみろ。」
腕組みしたトールが命じた。
「うす!」
仰向けになり、手足で支えた身体を持ち上げる。
一分もすると手足が奮え、直ぐに潰れた。
「何だ、二分も持たねぇのか。」
時計を見ていたトールが鼻で笑う。
「ブリッジはこうやるんだ。」
トールは寝転がると、瞬時にブリッジの体勢になる。
そのブリッジは美しく卑猥だった。
突き出した股間にペニスが浮かぶ。
浮かび上がった亀頭からは鈴口まで見て取れた。
「す、すげぇ…。」
思わず声が漏れる。
 
 
(つづく)
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