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Chapter11(転生編)
Chapter11-⑦【Flowerwall】
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「お兄さん、少しお話があります。
表へ出ましょう。」
震える肩を掌で押す。
「お前に兄さん呼ばわりされる覚えはない!」
ツグムが肩を回し、手を振り払う。
陽子の両親の手前、ツグムの暴言は避けたい。
これ以上、興奮したら何を言い出すか分からない。
「殴らせてやるから、外へ行こう。」
耳元で囁き、控え室を後にした。
「ここなら良いだろう。
好きなだけ殴れよ。
それで気が晴れるだろ?」
建物の裏手に出て、ツグムに言う。
潮騒が微かに聞こえる。
「どうして…、どうして陽子なんだよ…。」
力ないパンチが腹に当たった。
「愛しているからさ。」
「嘘だ、お前が陽子を愛している訳がない。」
ツグムは駄々っ子の様に拳を繰り出す。
「愛しているのは本当さ。」
敢えて誰かを省く。
「本当に…、愛しているのか?」
「ああ、真剣だ。」
ツグムの手が止まり、だらりと伸びた。
「だったら必ず陽子を幸せにしろよ。
約束出来るか?」
「勿論、幸せにする。」
ぐしゃぐしゃのツグムの顔を非常灯が照らす。
「性欲の捌け口はどうするんだ?」
「もうそんなもん、疾うにないさ。」
「そうなのか?」
「ああ、興奮なんて久しくしてないよ。
まあ、万が一欲望を覚えたら、兄さんが相手してくれ。」
ツグムの頭に手を伸ばす。
刈り上げられた頭皮に汗が浮いていた。
「それ位なら…、面倒見てやってもいいが…。」
唇を寄せ、舌で汗を掬う。
塩っぽい味が口に広がる。
「だったら俺以外とはするな。
それが結婚の条件だ。
絶対に守れよ。」
シオンは黙ったまま舌を這わす。
それが答えだ。
「何でホクトが来てるんだ?」
涙を拭いながらツグムが口を開いた。
「サッカー部員には全員声を掛けたと言ってたから、その流れだろ?」
「にしてもな、元カノの結婚式に普通来るか?」
「祝ってくれるなら、別に良いじゃないか。」
「そんなもんか?
何か、奴の邪心が気になるんだ。」
邪心の塊のツグムが言う言葉とは思えない。
「態々来てくれたんだ、そんな事を言ったら罰が当たるぞ。
さあ、戻ろう。」
非常灯が照らすドアノブに手を掛ける。
「ちょっと待てよ。
独身最後に一発抜いてやる。」
背後から回った手がベルトを外す。
「おい、ここでか?」
「おう、ここでだ。
お前が本当に欲情しないか、試したくなった。」
やはり邪心の塊だと納得する。
「だったら中出しするなよ。
式中に催したくなったら面倒だ。
頼むぜ、兄さん。」
シオンはノブを持ったまま尻を突き出す。
「おい、お前のケツマンどうなってんだ?
全く抵抗がないぞ。」
「だから刺激がないと言っただろ。」
「これなら心配なさそうだな。」
笑ったツグが尻を思い切り殴った。
腰の入ったパンチの音が潮騒に飲み込まれる。
もう嘘を言う必要がなくなり、罪悪感から解放された。
「テツオを預かろうか?
折角のウェディングドレスが肩紐で台無しだ。」
テツオを抱える陽子に声を掛ける。
「いいえ、私が今輝いているのはドレスを着ているからではなく、この子のお陰な
の。」
BGMの幻想的なイントロが聞こえてきた。
陽子の好きな曲だ。
ブーケを持ち直した陽子はプールサイドへ進む。
陽子の同級生達が先を争い、前に出てきた。
ブーケを投げるサビに向かって、曲は進んでいく。
「君のその声が優しく響いた
こんな憂いも吹いて飛ばすように」
(つづく)
表へ出ましょう。」
震える肩を掌で押す。
「お前に兄さん呼ばわりされる覚えはない!」
ツグムが肩を回し、手を振り払う。
陽子の両親の手前、ツグムの暴言は避けたい。
これ以上、興奮したら何を言い出すか分からない。
「殴らせてやるから、外へ行こう。」
耳元で囁き、控え室を後にした。
「ここなら良いだろう。
好きなだけ殴れよ。
それで気が晴れるだろ?」
建物の裏手に出て、ツグムに言う。
潮騒が微かに聞こえる。
「どうして…、どうして陽子なんだよ…。」
力ないパンチが腹に当たった。
「愛しているからさ。」
「嘘だ、お前が陽子を愛している訳がない。」
ツグムは駄々っ子の様に拳を繰り出す。
「愛しているのは本当さ。」
敢えて誰かを省く。
「本当に…、愛しているのか?」
「ああ、真剣だ。」
ツグムの手が止まり、だらりと伸びた。
「だったら必ず陽子を幸せにしろよ。
約束出来るか?」
「勿論、幸せにする。」
ぐしゃぐしゃのツグムの顔を非常灯が照らす。
「性欲の捌け口はどうするんだ?」
「もうそんなもん、疾うにないさ。」
「そうなのか?」
「ああ、興奮なんて久しくしてないよ。
まあ、万が一欲望を覚えたら、兄さんが相手してくれ。」
ツグムの頭に手を伸ばす。
刈り上げられた頭皮に汗が浮いていた。
「それ位なら…、面倒見てやってもいいが…。」
唇を寄せ、舌で汗を掬う。
塩っぽい味が口に広がる。
「だったら俺以外とはするな。
それが結婚の条件だ。
絶対に守れよ。」
シオンは黙ったまま舌を這わす。
それが答えだ。
「何でホクトが来てるんだ?」
涙を拭いながらツグムが口を開いた。
「サッカー部員には全員声を掛けたと言ってたから、その流れだろ?」
「にしてもな、元カノの結婚式に普通来るか?」
「祝ってくれるなら、別に良いじゃないか。」
「そんなもんか?
何か、奴の邪心が気になるんだ。」
邪心の塊のツグムが言う言葉とは思えない。
「態々来てくれたんだ、そんな事を言ったら罰が当たるぞ。
さあ、戻ろう。」
非常灯が照らすドアノブに手を掛ける。
「ちょっと待てよ。
独身最後に一発抜いてやる。」
背後から回った手がベルトを外す。
「おい、ここでか?」
「おう、ここでだ。
お前が本当に欲情しないか、試したくなった。」
やはり邪心の塊だと納得する。
「だったら中出しするなよ。
式中に催したくなったら面倒だ。
頼むぜ、兄さん。」
シオンはノブを持ったまま尻を突き出す。
「おい、お前のケツマンどうなってんだ?
全く抵抗がないぞ。」
「だから刺激がないと言っただろ。」
「これなら心配なさそうだな。」
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の。」
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陽子の好きな曲だ。
ブーケを持ち直した陽子はプールサイドへ進む。
陽子の同級生達が先を争い、前に出てきた。
ブーケを投げるサビに向かって、曲は進んでいく。
「君のその声が優しく響いた
こんな憂いも吹いて飛ばすように」
(つづく)
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