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Chapter14(三浦編)
Chapter14-⑧【MOTEL】
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マサフミは部屋に戻ると、バッグにいろいろ詰めだした。
静かな空間に電子音が響く。
「分かった。今、降りる。」
スマホに出た声が聞こえる。
「ヤマト出掛けるぞ。
カメラマンが来たぜ。
別に構わないだろ?」
プレーヤーから抜き出したDVDがキラキラと反射した。
「えっ、カメラマンって?」
驚いて聞き返す。
カメラマンの事など聞いてない。
「近所の知り合いに映像関係の仕事をしている人がいてさ。
俺の夢を応援してくれてて、只でカメラマンを引き受けてくれたんだ。」
マサフミが説明した。
「信頼出来る人?」不安を口にする。
「ああ、それは大丈夫。
信用してくれ。
俺の夢の最大の理解者なんだ。」
「で、でも…。」
優しい抱擁で口が塞がれた。
マンション前にハザードを点滅させたアルファードが停車している。
近寄ると、スライドドアが静かに開く。
車に乗り込むと、運転手が振り向いた。
「やはりヤマトさんでしたか!
マサ君からモデルが見付かったと連絡を受けて、もしやと思っていたのです。」
見覚えのある顔が好事を崩す。
三浦の着ているタンクトップは透けていて、上半身の殆どが露わになっている。
ジムでもそうだったが、フェロモンの出しっ振りは半端じゃない。
身体が過剰に反応してしまう。
「カメラマンが三浦さんで良かった。」
ジムでの振る舞いを思い出し、心底安心した。
「なんだ、二人とも知り合いなのか?」
キョトンとしたマサフミが聞く。
「今日、ジムに行った時に…、ポージングを教えてもらったんだ。」
アナルトレーニングの話は伏せて説明する。
「ふーん、ポージングね。」
マサフミが意味深に頷く。
「それにしてもウラさん、気合い入れ過ぎじゃない?
今日のウラさんはカメラマンだからね。」
マサフミが念押しする。
三浦のミを発音しないで呼んでいた。
「それは充分に分かっています。
今日はカメラマンに専念しますよ。
マサ君の夢が叶う日ですからね。」
穏やかな言い方だ。
しかし『今日は』がやけに強調されていた。
アルファードは藤沢市街を抜けて、鎌倉方面へ向かう。
車はライトアップした城の様なホテルに入る。
各部屋の前に駐車スペースがあり、フロントを通らずチェックイン出来る仕組みだ。
「この部屋が空いていて、良かった。」
マサフミが安堵の溜息を付く。
「そりゃあ、空いてますよ。
サカリのついたカップルが、こんな部屋を選ぶ訳がない。」
三浦が少し小馬鹿にした言い方をする。
『こんな部屋』が気になる。
中に入ると、仰天した。
口を開けたまま四方を見渡す。
トレーニングマシンが、所狭しに置してある。
「すげぇ!最近のラブホテルって、こんなになっているんだ!」
興奮の所為で声高に叫ぶ。
「プール付きの部屋もあります。
他にはSM部屋もありますよ。
ヤマトさんはそちらの方が良かったのでは?」
三浦がえげつない笑みを浮かべる。
「ウラさん、今日の目的は3Pじゃないんだぜ。
忘れないでくれよ!」
マサフミが再三注意を繰り返した。
「さて、車から撮影機材を持ってきます。」
苦笑いした三浦は部屋を出て行く。
「マサと三浦さんって結構年が離れているけど、どういう関係?」
気になっていた事を聞いてみる。
「元々はジムで知り合ったんだ。
お互いレザーが好きだって事が分かって、クラブを作ったんだ。」
マサフミが経緯を説明する。
「クラブって?」更に聞く。
「革野郎が集まってツーリング行くんだ。
湘南レザークラブって言うんだ。
ヤマトも今度行くか?」
マサフミが照れながら誘う。
「ヤマトさん、機材の搬入を手伝って貰えませんか?
マサ君は運び入れた機材をセッティングして下さい。」
ドアの隙間から、三浦が声を掛けてきた。
アルファードのリアドアが大きく開き、かなりの機材が積んである。
「ヤマトさんはこの照明関連を運んで下さい。
割れ易いので注意して。」
三浦が指示を出す。
「はい。」透ける大胸筋を見て返事をする。
タンクトップだと思っていたのはシングレットだった。
全身透け透けで、全ての筋肉が露出している。
かろうじてインナーのTバックが股間を隠していた。
(つづく)
静かな空間に電子音が響く。
「分かった。今、降りる。」
スマホに出た声が聞こえる。
「ヤマト出掛けるぞ。
カメラマンが来たぜ。
別に構わないだろ?」
プレーヤーから抜き出したDVDがキラキラと反射した。
「えっ、カメラマンって?」
驚いて聞き返す。
カメラマンの事など聞いてない。
「近所の知り合いに映像関係の仕事をしている人がいてさ。
俺の夢を応援してくれてて、只でカメラマンを引き受けてくれたんだ。」
マサフミが説明した。
「信頼出来る人?」不安を口にする。
「ああ、それは大丈夫。
信用してくれ。
俺の夢の最大の理解者なんだ。」
「で、でも…。」
優しい抱擁で口が塞がれた。
マンション前にハザードを点滅させたアルファードが停車している。
近寄ると、スライドドアが静かに開く。
車に乗り込むと、運転手が振り向いた。
「やはりヤマトさんでしたか!
マサ君からモデルが見付かったと連絡を受けて、もしやと思っていたのです。」
見覚えのある顔が好事を崩す。
三浦の着ているタンクトップは透けていて、上半身の殆どが露わになっている。
ジムでもそうだったが、フェロモンの出しっ振りは半端じゃない。
身体が過剰に反応してしまう。
「カメラマンが三浦さんで良かった。」
ジムでの振る舞いを思い出し、心底安心した。
「なんだ、二人とも知り合いなのか?」
キョトンとしたマサフミが聞く。
「今日、ジムに行った時に…、ポージングを教えてもらったんだ。」
アナルトレーニングの話は伏せて説明する。
「ふーん、ポージングね。」
マサフミが意味深に頷く。
「それにしてもウラさん、気合い入れ過ぎじゃない?
今日のウラさんはカメラマンだからね。」
マサフミが念押しする。
三浦のミを発音しないで呼んでいた。
「それは充分に分かっています。
今日はカメラマンに専念しますよ。
マサ君の夢が叶う日ですからね。」
穏やかな言い方だ。
しかし『今日は』がやけに強調されていた。
アルファードは藤沢市街を抜けて、鎌倉方面へ向かう。
車はライトアップした城の様なホテルに入る。
各部屋の前に駐車スペースがあり、フロントを通らずチェックイン出来る仕組みだ。
「この部屋が空いていて、良かった。」
マサフミが安堵の溜息を付く。
「そりゃあ、空いてますよ。
サカリのついたカップルが、こんな部屋を選ぶ訳がない。」
三浦が少し小馬鹿にした言い方をする。
『こんな部屋』が気になる。
中に入ると、仰天した。
口を開けたまま四方を見渡す。
トレーニングマシンが、所狭しに置してある。
「すげぇ!最近のラブホテルって、こんなになっているんだ!」
興奮の所為で声高に叫ぶ。
「プール付きの部屋もあります。
他にはSM部屋もありますよ。
ヤマトさんはそちらの方が良かったのでは?」
三浦がえげつない笑みを浮かべる。
「ウラさん、今日の目的は3Pじゃないんだぜ。
忘れないでくれよ!」
マサフミが再三注意を繰り返した。
「さて、車から撮影機材を持ってきます。」
苦笑いした三浦は部屋を出て行く。
「マサと三浦さんって結構年が離れているけど、どういう関係?」
気になっていた事を聞いてみる。
「元々はジムで知り合ったんだ。
お互いレザーが好きだって事が分かって、クラブを作ったんだ。」
マサフミが経緯を説明する。
「クラブって?」更に聞く。
「革野郎が集まってツーリング行くんだ。
湘南レザークラブって言うんだ。
ヤマトも今度行くか?」
マサフミが照れながら誘う。
「ヤマトさん、機材の搬入を手伝って貰えませんか?
マサ君は運び入れた機材をセッティングして下さい。」
ドアの隙間から、三浦が声を掛けてきた。
アルファードのリアドアが大きく開き、かなりの機材が積んである。
「ヤマトさんはこの照明関連を運んで下さい。
割れ易いので注意して。」
三浦が指示を出す。
「はい。」透ける大胸筋を見て返事をする。
タンクトップだと思っていたのはシングレットだった。
全身透け透けで、全ての筋肉が露出している。
かろうじてインナーのTバックが股間を隠していた。
(つづく)
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