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Chapter17(中野編)
Chapter17-③【Fake Angel】
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シャワーを浴び、ジムを後にする。
コーヒーショップは混んでいたが、喫煙室近くに空いたテーブルがあった。
煙の漏れだす席は不人気の様だ。
そこに腰掛け、バッグから勃起薬を取り出す。
それをスプーンですり潰す。
粉々になった薬を紙に包む。
これで準備完了。
後は二人を待つだけだ。
きっと今頃は三浦のポージング指導が始まった頃だろう。
一時間程して、二人が現れた。
「お待たせ!あー、喉渇いた。」
ユーキが席に倒れ込む。
立ち上がり、三浦に奥の席を勧める。
「アイスコーヒーでいい?」
オーダーを確認し、カウンターへ向かう。
「すみません。お金は後で払います。」
三浦の声が追い掛けてきた。
アイスコーヒーを買い、脇のテーブルでシロップとミルクを入れる。
そして粉末になった勃起薬をそれぞれのグラスに入れた。
「ガムシロとミルク入れてきたよ。」
震える手で二人の前に置く。
「何から何まで、ありがとうございます。
お釣りは取っておいて下さい。」
三浦は千円札をテーブルに置いた。
ユーキはグラスを持つと、一気にストローで飲み切る。
三浦はチビチビと飲み始めた。
世間話が一段落したところで、三浦が腰を上げる。
「そろそろ行きましょうか。」
落ち着かない様子だ。
「そうですね、早くシングレット着たいし。」
ユーキも立ち上がる。
ジャージはしっかりとテントを張っていた。
あまりに上手く事が進み、ついほくそ笑んでしまう。
二人は無言で先を急ぐ。
自分の策士振りに感心する。
マンションは1LDKで広々としていた。
「ちょっと便所借ります。」
ユーキは玄関に入るなり、トイレに駆け込んだ。
「さあ、どうぞ。遠慮なく、寛いで下さい。」
三浦はリビングに通してくれた。
「ちょっと待ってて下さい。
シングレットを用意してきます。」
慌ただしく出て行こうとする。
「三浦さん、ユーキのガタイどうでした?」
慌てて後を追い、声を掛ける。
「素晴らしいです。
あの迫力ある筋肉がシングレットに包まれたところを想像すると、居ても立っても居られません。」
三浦は興奮を抑え切れない様子だ。
「三浦さんとユーキの筋肉がカラミ合うDVDがあったら、絶対買っちゃいますよ!」
早口に唆す。
ユーキが戻ってくる前が勝負だ。
「うーん、ユーキさんのシングレット姿は是非画像に残したいですね。」
率直に欲求を口にした。
「だったら今日は俺がカメラマンをやりましょう。
前回、三浦さんがカメラマンをしてくれたお礼にもなるし。」
シナリオ通りの台詞を申し出る。
三浦は無言で思案した。
3Pと映像を残す事を、天秤に掛けているのだろう。
「ではお言葉に甘えて、ヤマトさんにはカメラをお願いします。」
三浦はそう言うと、寝室に入って行く。
戻って来た三浦はハンディカメラの使い方を教えてくれた。
そしてカーテンを閉め、間接照明だけの淫靡な空間を作り出す。
「あのソファー中心でユーキさんを責めるので、ヤマトさんはこの位置から撮影をお願いします。」
テキパキと出される指示を頭に叩き込む。
「最初、私達はレスリングの試合をします。
こう見えても私は学生時代、レスリングでインターハイに出場しています。
そしてユーキさんの頭をロックします。
彼は倒れまいと、尻を突き出して踏ん張ります。
そこでズームを寄せて、尻を撮って下さい。
ユーキさんのシングレットは尻に切れ込みが入っているので、いい絵が撮れる筈です。」
えげつない説明は続く。
ユーキが戻って来た。
「あー、すっきりした。
あれっ、ムード満点だ。」
テントを張ったユーキの頬も赤く染まる。
「ユーキさんはこのシングレットを着て下さい。」
黒いウエアと覆面を渡す。
ユーキはジャージを脱ぎ、着替え始める。
「どうかな?似合う?」
覆面を被ったユーキが振り返った。
小さめのシングレットはピッタリと筋肉に張り付く。
その股間は生地を盛り上げ、熱り立っていた。
(つづく)
コーヒーショップは混んでいたが、喫煙室近くに空いたテーブルがあった。
煙の漏れだす席は不人気の様だ。
そこに腰掛け、バッグから勃起薬を取り出す。
それをスプーンですり潰す。
粉々になった薬を紙に包む。
これで準備完了。
後は二人を待つだけだ。
きっと今頃は三浦のポージング指導が始まった頃だろう。
一時間程して、二人が現れた。
「お待たせ!あー、喉渇いた。」
ユーキが席に倒れ込む。
立ち上がり、三浦に奥の席を勧める。
「アイスコーヒーでいい?」
オーダーを確認し、カウンターへ向かう。
「すみません。お金は後で払います。」
三浦の声が追い掛けてきた。
アイスコーヒーを買い、脇のテーブルでシロップとミルクを入れる。
そして粉末になった勃起薬をそれぞれのグラスに入れた。
「ガムシロとミルク入れてきたよ。」
震える手で二人の前に置く。
「何から何まで、ありがとうございます。
お釣りは取っておいて下さい。」
三浦は千円札をテーブルに置いた。
ユーキはグラスを持つと、一気にストローで飲み切る。
三浦はチビチビと飲み始めた。
世間話が一段落したところで、三浦が腰を上げる。
「そろそろ行きましょうか。」
落ち着かない様子だ。
「そうですね、早くシングレット着たいし。」
ユーキも立ち上がる。
ジャージはしっかりとテントを張っていた。
あまりに上手く事が進み、ついほくそ笑んでしまう。
二人は無言で先を急ぐ。
自分の策士振りに感心する。
マンションは1LDKで広々としていた。
「ちょっと便所借ります。」
ユーキは玄関に入るなり、トイレに駆け込んだ。
「さあ、どうぞ。遠慮なく、寛いで下さい。」
三浦はリビングに通してくれた。
「ちょっと待ってて下さい。
シングレットを用意してきます。」
慌ただしく出て行こうとする。
「三浦さん、ユーキのガタイどうでした?」
慌てて後を追い、声を掛ける。
「素晴らしいです。
あの迫力ある筋肉がシングレットに包まれたところを想像すると、居ても立っても居られません。」
三浦は興奮を抑え切れない様子だ。
「三浦さんとユーキの筋肉がカラミ合うDVDがあったら、絶対買っちゃいますよ!」
早口に唆す。
ユーキが戻ってくる前が勝負だ。
「うーん、ユーキさんのシングレット姿は是非画像に残したいですね。」
率直に欲求を口にした。
「だったら今日は俺がカメラマンをやりましょう。
前回、三浦さんがカメラマンをしてくれたお礼にもなるし。」
シナリオ通りの台詞を申し出る。
三浦は無言で思案した。
3Pと映像を残す事を、天秤に掛けているのだろう。
「ではお言葉に甘えて、ヤマトさんにはカメラをお願いします。」
三浦はそう言うと、寝室に入って行く。
戻って来た三浦はハンディカメラの使い方を教えてくれた。
そしてカーテンを閉め、間接照明だけの淫靡な空間を作り出す。
「あのソファー中心でユーキさんを責めるので、ヤマトさんはこの位置から撮影をお願いします。」
テキパキと出される指示を頭に叩き込む。
「最初、私達はレスリングの試合をします。
こう見えても私は学生時代、レスリングでインターハイに出場しています。
そしてユーキさんの頭をロックします。
彼は倒れまいと、尻を突き出して踏ん張ります。
そこでズームを寄せて、尻を撮って下さい。
ユーキさんのシングレットは尻に切れ込みが入っているので、いい絵が撮れる筈です。」
えげつない説明は続く。
ユーキが戻って来た。
「あー、すっきりした。
あれっ、ムード満点だ。」
テントを張ったユーキの頬も赤く染まる。
「ユーキさんはこのシングレットを着て下さい。」
黒いウエアと覆面を渡す。
ユーキはジャージを脱ぎ、着替え始める。
「どうかな?似合う?」
覆面を被ったユーキが振り返った。
小さめのシングレットはピッタリと筋肉に張り付く。
その股間は生地を盛り上げ、熱り立っていた。
(つづく)
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