妄想日記1<<ORIGIN>>

YAMATO

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Chapter22(憧憬編)

Chapter22-⑦【世情】

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カウンターに戻ると、不安げなミツルが早口で捲し立てる。
「ケイちゃん、飲み直さない?
カイトちゃんも悪気はないのよ。」
「分かってるよ。
ただ、あいつのやる事はいちいち癪に障るんだ。
それにママはいつもカイトの肩を持つし!」
ケイはふて腐れ気味に座った。
ミツルのフォローは逆効果の様だ。
心配する振りを装い、ケイを見詰める。
しかし実際はフトシの勇姿を脳裏に再生していた。
鮮明な映像が蘇る。
一言も声をあげず、ペニスで語る姿がはっきりと記録されていた。
 
それ以来、縛琉人に足繁く通った。
ケイが入っている金曜日と土曜日のどちらかは顔を出す。
ドアを開けると、ミツルしかいなかった。
「あれ、ケイは?」
店に入るなり、聞いてみる。
「ヤマトさん、いらっしゃい。
さっき来たんだけど、熱っぽいから帰したのよ。
ビールでいいかしら。」
ミツルがおしぼりを出してくれた。
「ヤマトさんにヨロシクだって!」
ビールを注ぎながら、付け加える。
「そういえば、どうしてケイとカイトは仲が悪いの?」
他に客がいなかったので、聞きそびれてた事を聞いてみた。
「まあ、話せは長くなるのよね。
元々カイトちゃんもここでバイトしてたの。
複雑な生い立ちだから仕方ないんだけど、お客さんに評判悪くてね。」
ミツルが溜め息を吐く。
確かにサービス業には向きそうもない。
「ミツルさんも何か飲んで。」
酒を勧める。
話の内容からアルコールが入った方が良さそうだ。
「それでカイトちゃんには辞めてもらったの。
そしたら後に入ったケイちゃんに当たり散らすのよ。
私も困っちゃって。」
ミツルは水割りを作りながら話を続ける。
「いただきます。
フトシさんも、元はケイちゃんが連れてきた子なの。
それをカイトちゃんが横恋慕したのよ。」
ミツルがグラスを傾けた。
「出入禁止にしたいところなんだけど。
カイトちゃんの心情を考えると、そこまで出来ないのよ。」
マドラーが水割りを掻き回す。
 
「複雑な生い立ちって?」
水割りが半分になった所で、核心を聞いてみた。
「カイトちゃんが小さい頃、母親が再婚したのよ。
その継父が酷い男でね、何年間も虐待し続けたんだって。
そして遂に、高校生の時…。」
ミツルが水割りに口を付ける。
「高校生の時に、どうしたの?」
先を急かす。
「高校生の時に、継父を半殺しにしたのよ。
カイトちゃんは警察に虐待の事を言わなかったの。
どうせ母親が言ってくれると、思ったのでしょうね。
でも、母親はその事実を警察に伝えなかったのよ!
実の母親なのに!
酷い話でしょ?」
ミツルは憤慨し、声を荒げる。
「で、カイトはどうなったの?」
話に引き込まれた。
「少年院に送致されたわ。
私とカイトちゃんは遠い親戚なの。
不思議と私には懐いて、何でも話してくれたわ。」
ミツルは回顧に耽る。
「虐待って、性的な奴?」
恐る恐る聞く。
「それもあったと思うわ。
だからあの子はゲイを憎んでいるのよ。
そして自分自身がゲイである事と戦ってるの。」
ミツルはもどかしさに、タバコに火を点けた。
喫煙している姿を初めて見た。
 
今まで自分がゲイである事と、真剣に向き合った事はない。
何の疑問も持たずに、流されて生きてきた。
「あの子、きっとプレイがプレイじゃなくなるわ。
近い内に、本当に人を殺めてしまいそうで、私怖いの!」
タバコを持つ手が震えている。
「こんな話をしたのは、ヤマトさんに気を付けて欲しいから。
あの子、きっとヤマトさんにちょっかい出してくるわ。
ケイちゃんが手に入れた物は全て奪いたいの。
絶対にカイトちゃんを相手にしたらダメよ!」
訴える目は真剣だった。
大きく何度も頷く。
その度にケイ、カイト、フトシの顔が入り乱れた。
 
 
(つづく)
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