妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

文字の大きさ
18 / 190
Chapter1(光明編)

Chapter1-⑨【東京タワーはどこから見える?】後編

しおりを挟む
「そのハリガタって、そんなにデカいのか?」
「見たい?
それとも入れたい?」
ユーリがビールを追加した。
ワタルは自分のジョッキを見る。
殆ど減ってない。
飲む事すら忘れて、聞き入っていたのだ。
「家に来ないか?
近いんだ。」
その誘いは正に渡りに舟だった。
より強い刺激を欲していたワタルは何度も頷く。
「じゃあ、決まりだ。
すいません!
追加のビールはキャンセルして下さい。」
声を張り上げたユーリは残っているジョッキを飲み干した。
 
ワタルは瀟洒なマンションを見上げる。
「いい家だな。」
「共働きだったので、金には余裕があったんだ。
ハワイにもコンドミニアムがあります。
今度、行かないですか?」
ユーリがキーを翳すと、ドアが開いた。
ワタルは薄汚れた自分の格好を省みて、少し憂鬱になる。
「ソファーで寛いで下さい。
飲み物を用意してきます。」
ユーリが対面式のキッチンから声を掛けてきた。
美しい光沢を放つレザーのソファーに後退りする。
染みだらけのタイツで座るのは憚れた。
 
「あれっ、座らないのですか?」
ワイングラスを持ったユーリが怪訝な視線を向ける。
「いや、汚しちゃ悪いとかと思って…。」
「そんな事、気にしなくて大丈夫です。
汚れてもいい様にレザー製を買ったんですから。
これから、もっと汚す事になりますし。」
ユーリはグラスを寄越すと、楽しげな様子でそれに重ねた。
ワタルは遠慮がちにちょこんと座る。
「苦手な物って、ありますか?
簡単なつまみを作ります。」
「いや、特には…。」
「なら大した物は作れないけど、ちょっと待ってて下さい。
先走りたっぷり垂らしながら。」
同時に体内でローターが作動した。
「おっ、おおっ…。」
口の中のワインを噴き出しそうになり、慌てて飲み込む。
ユーリの鼻唄が聞こえてくる。
そのリズムはモーター音に合っていた。
股間の染みは拡大していく。
高価な革が穢れそうで、更に尻の接地面を減らす。
ワタルは落ち着かず、部屋の様子に目を向けた。
広々としたリビングは整頓されている。
窓から東京タワーが見えた。
丸でモデルハウスの様だ。
暗い窓にキッチンに立つユーリが映る。
ビキニ姿のユーリが皿を持っていた。
 
「独りになって、四六時中好きな格好でいられる様になったのです。
以前は夜な夜なこっそり着ていたので。
自由に慣れると、物足りなさが強まってきました。
見てくれる人がいないって。
人間って貪欲ですよね。
一つ欲望が叶うと、また別の欲望が生まれます。
決して満足しません。」
その言葉に振り返る。
股間の染みの中に、立派な竿が浮かび上がっていた。
「簡単な炒め物で、すみません。
口に合うといいのですが。」
ユーリが皿をテーブルに置く。
ほうれん草とウインナーのソテーだ。
「妻が良く作ってくれました。
セックスしたい日はウインナーがサインだったのです。」
ユーリは箸でウインナーを掴むと、己の口に入れた。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

今度こそ、どんな診療が俺を 待っているのか

相馬昴
BL
強靭な肉体を持つ男・相馬昴は、診療台の上で運命に翻弄されていく。 相手は、年下の執着攻め——そして、彼一人では終わらない。 ガチムチ受け×年下×複数攻めという禁断の関係が、徐々に相馬の本能を暴いていく。 雄の香りと快楽に塗れながら、男たちの欲望の的となる彼の身体。 その結末は、甘美な支配か、それとも—— 背徳的な医師×患者、欲と心理が交錯する濃密BL長編! https://ci-en.dlsite.com/creator/30033/article/1422322

処理中です...