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Chapter4(下坂編)
Chapter4-⑩【愛想曲(セレナーデ)】後編
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「明後日、ラバーナイトがあるんだ。
連れていってやる。」
プレイが終わり、高揚した高木が抱き締めながら言う。
その日はタクと旅行へ行く約束をしていた。
「ラバー…、ナイトですか。」
「といっても殆どがレザー野郎だがな。
その分、ラバー着ていくと、すげぇ目立つんだ。
皆が好奇の目で見詰めてくる。
最高に気持ちいいぞ。」
高木の舌がマスクを這う。
落ち込んでいるタクとの約束をキャンセルするのは流石に気が咎めた。
何か良い方法はないか、思案する。
「ダチも来るんだ。
お前を紹介したいんだ。」
益々断り難くなっていく。
「あの…、その…。」
言葉が上手く出てこない。
「心配すんな。
そいつもド変態のイカれた野郎だ。
但しノンケだがな。」
高木は言い淀むのを友達に合わせる事だと勘違いした。
「ノンケ?」
聞き返した事を瞬時に後悔する。
もう断る事は出来そうもなかった。
「ノンケ…、いや違うな。
バイでもない。
上手く言えないな。
兎に角、穴なら何でも突っ込むイカれた野郎だ。
こんな風にな。」
高木がまた覆い被さってきた。
「なあ、俺の願望を叶えてくれないか?」
命令でなく、頼んでくる所をみると、かなり物騒な事だと見構える。
「お前はこいつを進化と言ってくれた。
だがやはり気が引けるんだ。」
全体重の乗せ、押し込んできた。
その圧迫感に思考が鈍る。
「お前がこれを進化と呼ぶなら、お前にも進化して欲しいんだ。」
言っている事が理解出来ない。
ただ広がり切るアナルに陶酔した。
ここには思考を止める様々なアイテムが存在したのだ。
「他の者達はグロテスクと言うだろう。
だが俺達にはそれが何にも代え難い崇高な存在になる。
それが俺とお前の契りだ。」
「契り?」
最後の単語だけが耳に残った。
「ああ、二人の契りだ。
さあ、スーツを脱いでみろ。
お前もイケイな物を手に入れるんだ。」
ワタルには『イケイ』に当てはまる漢字が浮かばない。
しかしそれは凄く耳当たりの良い響きだった。
「どうだ肉体を改造される感想は?
これでお前は俺と同類だ。」
鏡の前で立たされ、耳元で囁かれた。
「凄く…、不気味…。
で、でも興奮もします。
これが俺の身体?」
うっとりした声音は他人の様だ。
「そうだ。
相反する物が共存してこそ、唯一無二の存在になる。
これから毎日これを続けるんだ。
分かったな?」
もう後戻り出来ない事を知る。
だがそれは凄く刺激的で、魅惑に満ちていた。
『これが手に入るなら…。』
周りの者達の恐れおののく姿を想像すると、震えが止まらない。
『肉体改造』
この単語が武者震いを引き起こす。
シンのピアスが子供じみて思えた。
『俺は無敵だ。
もう誰にも馬鹿にはさせない。』
力が漲るのが分かる。
「明後日はお前の勇姿を皆に見せ付けるんだ。
誰もがイケイの念を抱くぞ。」
高木の囁きが全身に染み渡っていく。
丸で麻酔の様に。
(つづく)
連れていってやる。」
プレイが終わり、高揚した高木が抱き締めながら言う。
その日はタクと旅行へ行く約束をしていた。
「ラバー…、ナイトですか。」
「といっても殆どがレザー野郎だがな。
その分、ラバー着ていくと、すげぇ目立つんだ。
皆が好奇の目で見詰めてくる。
最高に気持ちいいぞ。」
高木の舌がマスクを這う。
落ち込んでいるタクとの約束をキャンセルするのは流石に気が咎めた。
何か良い方法はないか、思案する。
「ダチも来るんだ。
お前を紹介したいんだ。」
益々断り難くなっていく。
「あの…、その…。」
言葉が上手く出てこない。
「心配すんな。
そいつもド変態のイカれた野郎だ。
但しノンケだがな。」
高木は言い淀むのを友達に合わせる事だと勘違いした。
「ノンケ?」
聞き返した事を瞬時に後悔する。
もう断る事は出来そうもなかった。
「ノンケ…、いや違うな。
バイでもない。
上手く言えないな。
兎に角、穴なら何でも突っ込むイカれた野郎だ。
こんな風にな。」
高木がまた覆い被さってきた。
「なあ、俺の願望を叶えてくれないか?」
命令でなく、頼んでくる所をみると、かなり物騒な事だと見構える。
「お前はこいつを進化と言ってくれた。
だがやはり気が引けるんだ。」
全体重の乗せ、押し込んできた。
その圧迫感に思考が鈍る。
「お前がこれを進化と呼ぶなら、お前にも進化して欲しいんだ。」
言っている事が理解出来ない。
ただ広がり切るアナルに陶酔した。
ここには思考を止める様々なアイテムが存在したのだ。
「他の者達はグロテスクと言うだろう。
だが俺達にはそれが何にも代え難い崇高な存在になる。
それが俺とお前の契りだ。」
「契り?」
最後の単語だけが耳に残った。
「ああ、二人の契りだ。
さあ、スーツを脱いでみろ。
お前もイケイな物を手に入れるんだ。」
ワタルには『イケイ』に当てはまる漢字が浮かばない。
しかしそれは凄く耳当たりの良い響きだった。
「どうだ肉体を改造される感想は?
これでお前は俺と同類だ。」
鏡の前で立たされ、耳元で囁かれた。
「凄く…、不気味…。
で、でも興奮もします。
これが俺の身体?」
うっとりした声音は他人の様だ。
「そうだ。
相反する物が共存してこそ、唯一無二の存在になる。
これから毎日これを続けるんだ。
分かったな?」
もう後戻り出来ない事を知る。
だがそれは凄く刺激的で、魅惑に満ちていた。
『これが手に入るなら…。』
周りの者達の恐れおののく姿を想像すると、震えが止まらない。
『肉体改造』
この単語が武者震いを引き起こす。
シンのピアスが子供じみて思えた。
『俺は無敵だ。
もう誰にも馬鹿にはさせない。』
力が漲るのが分かる。
「明後日はお前の勇姿を皆に見せ付けるんだ。
誰もがイケイの念を抱くぞ。」
高木の囁きが全身に染み渡っていく。
丸で麻酔の様に。
(つづく)
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