妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

文字の大きさ
103 / 190
Chapter5(懽楽編)

Chapter5-②【親愛なる者へ】前編

しおりを挟む
タクは冷めた気分でシュウヘイを見返す。
「初めてちゃんと見てくれたな。」
微笑むシュウヘイを疎ましく思う。
だが席を立つ事が出来なかった。
「ねぇ、そんな格好で恥ずかしくないの?」
意地の悪い質問が口を吐く。
「ああ、これは俺の制服。
これを着ると、気持ちが昂るんだ。
まあ、周りからは露出狂のシュウヘイと呼ばれてるけどな。」
真似て言った事に思わず笑ってしまう。
 
「そう言えば、さっきフロアにいたラバースーツの奴を見たか?
スーツフェチの俺でも流石に驚いた。」
シュウヘイのフォークが再び動き出す。
「ああ、あれね。
ダチなんだ。」
タクも真似て言う。
「えっ、タクのダチ?」
フォークが止まる。
真ん丸の目が零れそうだ。
「ダチにあんな変態、元い変わった趣味の奴がいるのか?」
「それがさ、最近変わっちゃったんだよ。
僕の知ってるワタルはあんなんじゃなかったんだ。」
タクは蟠りをぶつけてみる気になった。
「話してみろ。
相談に乗ってやるぜ。」
シュウヘイが身を乗り出す。
少しだけシュウヘイに気を許しても良いと思えてきた。
 
「そうか、その高木と知り合ってから友達は変わったんだな。」
「そう、さっきも隣にいた男。」
話終わったタクが相槌を打つ。
「とするとマインドコントロールが一番怪しいな。」
「マインドコントロール?」
聞いた事はあるが、その詳細は良く分からない。
「ああ、スポーツ選手が試合前に緊張しない様に使う事がある。
だが悪用すると心理状態や行動迄も支配出来るんだ。」
シュウヘイが分かり易く説明する。
「あっ、高木って、元医者という噂が。」
一連の流れが結び付く。
「だったら早く解いてやらないと、大変な事になるぞ。」
シュウヘイが目を閉じ、考え出す。
タクはそれをじっと見詰める。
『初めて会ったの僕の悩みをこんなに真剣に考えてくれるなんて…。』
 
「よし、早速行動だ。
出るぞ!」
「えっ、いいよ!
悩みを聞いてくれただけで充分。
初対面で、流石に悪いよ。
行動は僕がする。」
慌てて制止する。
「気にするな。
俺はどうせ暇なんだ。」
シュウヘイが立ち上がった。
その股間に視線が奪われる。
「ねぇ、その前にもう一戦しない?」
タクは再戦を申し込んだ。
 
もうアナルに痛みは感じない。
代わりに安堵感に包まれた。
『こんな感覚は初めてだ。』
タクは頻りに腰を動かすシュウヘイに優しい視線を向ける。
『このままずっと射精しなければいいのに。』
ゲームではない交尾に没頭していた。
普段なら壁に手を付き、尻を突き出す体位を好んだ。
この体勢だと、尻の出し具合である程度挿入をコントロール出来た。
今は寝転び、自ら腿を持っている。
この体位は疲れ、挿入は全て相手任せになってしまう。
だが挿入している男の顔がはっきり見える。
眉根を寄せ、快楽に耽る顔を。
タクは初めて、再戦した本意を認める。
もう自分を欺くには、傾倒し過ぎていた。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

今度こそ、どんな診療が俺を 待っているのか

相馬昴
BL
強靭な肉体を持つ男・相馬昴は、診療台の上で運命に翻弄されていく。 相手は、年下の執着攻め——そして、彼一人では終わらない。 ガチムチ受け×年下×複数攻めという禁断の関係が、徐々に相馬の本能を暴いていく。 雄の香りと快楽に塗れながら、男たちの欲望の的となる彼の身体。 その結末は、甘美な支配か、それとも—— 背徳的な医師×患者、欲と心理が交錯する濃密BL長編! https://ci-en.dlsite.com/creator/30033/article/1422322

処理中です...