妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

文字の大きさ
106 / 190
Chapter5(懽楽編)

Chapter5-③【Midnight Scarecrow】後編

しおりを挟む
耳を澄ますと、遠くから足音が聞こえてきた。
そのゴツいヒールの音に聞き覚えがある。
「高木のブーツだ。」
「しっ!」
シュウヘイが口元で指を一本立てた。
二人は柱の影の叢に身を寄せる。
街灯の下、キャップを被ったシルエットが見えた。
「高木に間違いないよ。
この間もここで見掛けたし。」
タクが小声で言う。
「その時、お前は奴とやったのか?」
「いや…、その…、ワタルと一緒だったので…。」
歯切れの悪い言い方で、ワタルが奴とやった事を察する。
「二人はそこから始まったのか?」
「いや…、通ってるジムのスタッフだから、顔は以前から知ってた。
ただ…、その時ワタルは泥酔してて、ちょっと羽目外しちゃって…。」
「羽目を外してって、何をしたんだ?」
「その…、奴の…、ションベンを飲んじゃったんだ。」
「そっか、それで二人の距離が縮まった訳か。
ちょっと探りを入れてくる。
お前はここでじっとしてろ。」
シュウヘイは叢から出ていくと、ベンチに座る。
東屋の照明がスポットライトの様に火照った身体を照らした。
 
シルエットが東屋の入口で止まる。
ジャンプスーツ姿の男の食指が動いた様子だ。
影がスポットライトの中へ入ってきた。
ハーネスで筋肉を誇張さた男に目を見張る。
ロンググローブとブーツも男の気合いの現れだ。
その完璧さはマニアを恍惚させるに充分だろう。
「お前もかなり気合い入ってんな。
ケツ出来るか?」
男が単刀直入に聞いてきた。
「いや、生粋のタチでケツは無理っす。」
「そうか、ならいい。」
男は背を向ける。
「凄く格好いいっす。
タチでも惚れ惚れするっすよ。
良かったら少し話さないっすか?」
シュウヘイは誘ってみた。
 
男は暫く考えたが、ベンチに腰を下ろした。
「今日は人も少ない。
暇潰しに付き合ってやる。」
男はロングブーツを投げ出した。
股間を覆うレザーのGストから卑猥な臭いが漂う。
「こんなに格好良かったら、専属の奴隷が何人もいるんですよね?」
早速話題を振る。
「今は専属一人だ。」
男が横柄に答えた。
「どんな調教してるんすか?
かなりハードな事してそうなんで、勉強の為に教えて欲しいっす。」
煽てながら質問していく。
「まあ確かにな。
普通やらない事をしせるぜ。」
男は勿体ぶった言い方をした。
 
「普通しない事って?」
興味津々を装う。
「何だと思う?」
「んー、ハリガタ責めとか、鞭打ちとか?」
敢えて軽めのプレイを並べる。
「見掛けの割にはソフトだな。」
小馬鹿にした物言いだ。
「肉体改造だ。」
「肉体…、改造…、そんな事出来るだけんすか?」
興奮気味に聞き返す。
「ああ、出来るぜ。
だが半端なMには無理だ。
心底俺に心酔してないとな。」
男のブーツがシュウヘイの股間に伸びた。
「タチをドMに落とすのも面白いな。」
ビールに重みが増す。
「もっと、詳しく教えてもらえないっすか?」
「ああ、いいぜ。
お前の行動次第でな。」
男が荒々しくシュウヘイのジッパーを下ろした。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

今度こそ、どんな診療が俺を 待っているのか

相馬昴
BL
強靭な肉体を持つ男・相馬昴は、診療台の上で運命に翻弄されていく。 相手は、年下の執着攻め——そして、彼一人では終わらない。 ガチムチ受け×年下×複数攻めという禁断の関係が、徐々に相馬の本能を暴いていく。 雄の香りと快楽に塗れながら、男たちの欲望の的となる彼の身体。 その結末は、甘美な支配か、それとも—— 背徳的な医師×患者、欲と心理が交錯する濃密BL長編! https://ci-en.dlsite.com/creator/30033/article/1422322

処理中です...