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Chapter5(懽楽編)
Chapter5-⑩【秋の空】前編
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「ワタルの性癖は僕が全部知ってる。
高木以上の責めをする相手を紹介するのさ。
そうすれば高木の呪縛が解ける筈。」
機中でシュウヘイにプランを説明する。
「んー、良いとも、悪いとも言い難いな。
だが、やってみる価値はありそうだ。
しかしそんな都合のいい奴を知っているのか?」
「まあね。ワタルが前にタイプって言ってた奴を思い出したんだ。」
適当な嘘で誤魔化す。
サオヤは金曜日に帰国すると言っていた。
そうなると週末が決行日だ。
ウケの理想的なカラミをプロデュースしてやる。
先ずは濃厚な前戯だ。
言葉責めしながら乳首、亀頭、アナル責め。
先走り、ケツ汁が充分に溢れる迄、たっぷり時間を掛けて。
寸止めを繰り返し、自ら卑猥な言葉でおねだりしたら前戯は終了。
待ちに待ったアナルへ挿入。
ケツ汁が溢れているから、潤滑剤は不要。
アナルが広がる快感に身悶えする筈だ。
ワタルだったら、拘束を加えた方が良さそうだ。
この辺はサオヤのアドリブに任せよう。
これで全て上手く行く様に思えた。
夕方、シュウヘイと連れ立ち、祭へ行ってみた。
「いらっしゃい!」
威勢の良い声はワタルの物ではない。
以前、公園で掘られた男がカウンターの中にいた。
「おっ、お前は公園の…。」
後ろのシュウヘイの存在に気付き、言葉を濁す。
「あれっ、ワタルは?」
席に座り、シンへ声を掛ける。
「ワタルのダチか。
だったら言っておいてくれ。
盆休みやったのに、勝手に店を開けてたんだ。
そして俺が帰ってきた途端、三日休むと言い出した。
身勝手にも程がある!」
叩き付ける様にジョッキが置かれ、泡がふっ飛んだ。
それを聞き、シュウヘイと顔を見合わす。
『手遅れかも…。』
曇った表情は同じ事を思ったのだろう。
「ちょっとジムへ電話してみる。」
慌ててスマホを出し、ジムへ電話する。
「あの、会員の山田ですが、スタッフの高木さんお願いします。」
「高木は本日から夏季休暇となっております。
どの様なご用件でしょうか?」
タクは通話を切っていた。
正に万事休すだ。
「あのポンコツがそんな事に…。」
流石のシンも言葉が続かない。
「警察に相談しましょうか?」
こうなってはシュウヘイにも名案は浮かばない。
「ちっ、仕方ねぇ。」
シンはスマホを取り出すと、耳に当てた。
「おいっ、ポンコツ、何処いんだ!
直ぐに電話してこい!
直ぐだ、今直ぐだぁ!」
怒鳴り声が店中に響く。
留守電で折り返してくるとは思えない。
タクは温くなったビールを口に運ぶ。
唐突に電子音が鳴った。
シンはニヤリと笑うと、通話ボタンを押す。
「大変だ、店が火事だ。
二階のお前の部屋が火の元だ。
お前の荷物、全部燃えてんぞ。
とっとと戻ってこい!」
がなり立てると、終話ボタンを押した。
『似てるな、ナツキさんに。』
シュウヘイはシンを見て思った。
咄嗟の判断力に長けている。
一見がさつだが、即時に最短の解決策を講じる姿は瓜二つだ。
(つづく)
高木以上の責めをする相手を紹介するのさ。
そうすれば高木の呪縛が解ける筈。」
機中でシュウヘイにプランを説明する。
「んー、良いとも、悪いとも言い難いな。
だが、やってみる価値はありそうだ。
しかしそんな都合のいい奴を知っているのか?」
「まあね。ワタルが前にタイプって言ってた奴を思い出したんだ。」
適当な嘘で誤魔化す。
サオヤは金曜日に帰国すると言っていた。
そうなると週末が決行日だ。
ウケの理想的なカラミをプロデュースしてやる。
先ずは濃厚な前戯だ。
言葉責めしながら乳首、亀頭、アナル責め。
先走り、ケツ汁が充分に溢れる迄、たっぷり時間を掛けて。
寸止めを繰り返し、自ら卑猥な言葉でおねだりしたら前戯は終了。
待ちに待ったアナルへ挿入。
ケツ汁が溢れているから、潤滑剤は不要。
アナルが広がる快感に身悶えする筈だ。
ワタルだったら、拘束を加えた方が良さそうだ。
この辺はサオヤのアドリブに任せよう。
これで全て上手く行く様に思えた。
夕方、シュウヘイと連れ立ち、祭へ行ってみた。
「いらっしゃい!」
威勢の良い声はワタルの物ではない。
以前、公園で掘られた男がカウンターの中にいた。
「おっ、お前は公園の…。」
後ろのシュウヘイの存在に気付き、言葉を濁す。
「あれっ、ワタルは?」
席に座り、シンへ声を掛ける。
「ワタルのダチか。
だったら言っておいてくれ。
盆休みやったのに、勝手に店を開けてたんだ。
そして俺が帰ってきた途端、三日休むと言い出した。
身勝手にも程がある!」
叩き付ける様にジョッキが置かれ、泡がふっ飛んだ。
それを聞き、シュウヘイと顔を見合わす。
『手遅れかも…。』
曇った表情は同じ事を思ったのだろう。
「ちょっとジムへ電話してみる。」
慌ててスマホを出し、ジムへ電話する。
「あの、会員の山田ですが、スタッフの高木さんお願いします。」
「高木は本日から夏季休暇となっております。
どの様なご用件でしょうか?」
タクは通話を切っていた。
正に万事休すだ。
「あのポンコツがそんな事に…。」
流石のシンも言葉が続かない。
「警察に相談しましょうか?」
こうなってはシュウヘイにも名案は浮かばない。
「ちっ、仕方ねぇ。」
シンはスマホを取り出すと、耳に当てた。
「おいっ、ポンコツ、何処いんだ!
直ぐに電話してこい!
直ぐだ、今直ぐだぁ!」
怒鳴り声が店中に響く。
留守電で折り返してくるとは思えない。
タクは温くなったビールを口に運ぶ。
唐突に電子音が鳴った。
シンはニヤリと笑うと、通話ボタンを押す。
「大変だ、店が火事だ。
二階のお前の部屋が火の元だ。
お前の荷物、全部燃えてんぞ。
とっとと戻ってこい!」
がなり立てると、終話ボタンを押した。
『似てるな、ナツキさんに。』
シュウヘイはシンを見て思った。
咄嗟の判断力に長けている。
一見がさつだが、即時に最短の解決策を講じる姿は瓜二つだ。
(つづく)
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