妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

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Chapter8(がむしゃら編)

Chapter8-①【今夜ここまま】前編

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「ユウヤさん、凄いよ…。
こっ、こんなに凄いの初めてだ!」
新しい俳優が譫言を繰り返す。
「ユウヤじゃないだろ。
マスクマンと言え。」
以前なら信用しなかった譫言も、今は疑う事がない。
自信がユウヤを変えたのだ。
マスクを被ると、別人格が入り込んできた。
誰の視線も気にならない。
ひれ伏す男達は母親でなく、ユウヤを見ていた。
『もっと早くマスクと出会っていれば。
もっと早くワタルと知り合っていれば。』
 
毎日、山下の家に通う。
ワタルへの依存度が高まっていた。
ワタルの体液を飲まずにいられない。
飲まないとこの自信が消滅しそうな気がした。
「素晴らしい肉体になりましたね。
もう教える事はなくなりました。」
町にジングルベルが流れ出した時、トレーナーがスクワットをしながら言う。
ワタルに習い出してから三ヶ月が経過していた。
「えっ、それって卒業しろって事っすか?」
慌てて聞く。
「そうです。
これからは自分で道を探すのです。」
トレーナーのアナルに出入りするディルドは更に太く大きくなっていた。
「いや、それはまだ…。
まだ先生の張り型には及ばないし。
先生のレベルに達したいんだ。」
スクワットをするのを忘れ、訴える。
「スクワットが止まっていますよ。
サイズアップは自分の判断で出来ます。
もうスキルは充分に習得してるのだから。」
「だったら二倍払うから、続けさせてくれないか?
まだ先生に習いたいんだ。」
突然の宣言に狼狽えた。
 
「私も自分の道を探したいのです。
ここでの仕事はゴールではないんです。」
「だったら俺が支援するっすよ。
先生は何がしたいんすか?
金なら幾らでも出すから。」
ユウヤは矢継ぎ早に旨い言葉を並べる。
トレーナーを引き留めるチャンスは今しかない。
「幾ら欲しい?
三百万?
店を出すならそれじゃ足りない?
だったら一千万円でもいいよ。」
過去にこの提案を断った者は皆無だ。
いつも金が解決してくれた。
金は万能だ。
「それは有り難い提案ですが…。
でも自分だけの力でやり遂げたいのです。」
トレーナーが酷く遠い存在に思えた。
 
夜の街を山下と連れだって走る。
山下の身体から湯気が上がっていた。
寒い時期だが、熱気を帯びた筋肉には丁度良い。
船着き場には誰もいない。
「お前さ、無下にユウヤの誘い断る事ないだろ。
側に置いておけば、役立つぞ。」
山下はユウヤの提案の事を言っていた。
「それはそうですが…。
でも近くにいれば、きっと頼ってしまいます。
それが嫌なんです。」
ワタルは屈伸しながら答える。
「まあ、そこ迄決めたなら仕方ないな。
で、何をやるんだ?」
山下の白いボディスーツが街灯に照らされた。
「俺、店を出したいんです。
接客業って言うのかな?
客の喜ぶ顔が好きなんです。」
「と言うと飲食店か?」
「俺は調理免許もないし、てきぱきと何個もの料理を同時に作るのは無理です。」
祭での経験がそれを拒んだ。
 
(つづく)
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