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Chapter8(がむしゃら編)
Chapter8-⑪【そっけない】前編
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踊り疲れたツグムがグラスを持って、シオンの方へやって来た。
「ここだけ別世界の様に空いてるな。
で、さっきの話の続きだ。」
ツグムが一方的に話し、連れは頷くだけだ。
シオンは眩し気に二人を見詰める。
間接照明で照らされた汗がキラキラと弾いていた。
「本当にあの時は参ったよ。
小便掛けてくれって、懇願されたんだぜ。
親父位のおっさんにさ。」
ツグムは一気にグラスを空けた。
「で、どうしたんだ?」
「生憎俺はドMだから無理だって、言ってやったよ。」
「だったら掛けてやると言われなかったか?
ドリンク取ってくるよ。
同じでいいか?」
連れが席を立つ。
スマホを見ていた視線が不意に上がった。
見詰めていたシオンの視線と搗ち合う。
「ん、どっかで会った事あったっけ?」
ツグムが顔を傾げた。
「ジムで…。」
「ウチの会員か。
と言っても覚えてないけど、悪いな。」
ツグムは立ち上げり、連れの姿を探す。
「遅いな、喉がカラカラなのによ。」
文句を言いながら、テーブルを叩く。
目の前に殆ど飲んでないビールがある。
『良かったら飲みませんか?』
その一言が出てこない。
「あー、アナルが疼くぜ。
どっかにイケメンのタチはいないのか?」
聞こえよがしにツグムが呟く。
もしかして誘っているのかと勘ぐる。
だが直ぐに自己否定した。
『掘ってやろうか?』
簡単な誘いを飲み込む。
「じゃあ、今度トレーニング見て下さい。」
全く違う言葉が口を衝く。
「だったらパーソナル入れてくれ。
でないと、俺の儲けにならないからな。」
シオンは会釈すると、ツグムの脇をすり抜ける。
「今日は先行して、1つアドバイスしてやるよ。
折角頑張って、その白いタイツを穿いてきたんだろ。
だったらさ、もっと汗掻いて、透けさせろよ。
もっとアピールしてこいよ。
こんな地味な場所でぼっとしてないでさ。」
声が追ってきた。
悔しさより、羨ましさが先に立つ。
自信満々の生き方が眩しかったのだ。
ツグムが輝いているのは照明だけの所為ではない。」
酷い言われ様だが、それに納得していまう自分がいた。
燦々と眩しい太陽を浴びて咲く花がツグムだ。
自分はその根本で鬱蒼と生えてる雑草だった。
「おお、ここだ、ここだ!
早く寄越せ!
干乾びそうだ。」
連れの姿を見付けたツグムが頭上で両手を大きく振る。
飛び散った汗が白いタイツを濡らした。
『仕方ないよな。』
帰り道、そう呟く。
日向で生きるツグムが俺に跪いている。
その事実がシオンを混乱させた。
「どうせアナルが疼いているんだろ!
掘ってやろうか?」
言葉がすらすら出てくる。
あの日、フリーズした唇は滑らかだ。
フェラチオをしたままツグムが疼く。
跪いたツグムはジャージを下ろし、四つん這いになる。
Tバックの焼け跡が淫乱さを示していた。
日頃感じた事のないサディスティクな性が頭を擡げる。
『これが俺?』
戸惑いながらも、走り出した欲望は止まらない。
(つづく)
「ここだけ別世界の様に空いてるな。
で、さっきの話の続きだ。」
ツグムが一方的に話し、連れは頷くだけだ。
シオンは眩し気に二人を見詰める。
間接照明で照らされた汗がキラキラと弾いていた。
「本当にあの時は参ったよ。
小便掛けてくれって、懇願されたんだぜ。
親父位のおっさんにさ。」
ツグムは一気にグラスを空けた。
「で、どうしたんだ?」
「生憎俺はドMだから無理だって、言ってやったよ。」
「だったら掛けてやると言われなかったか?
ドリンク取ってくるよ。
同じでいいか?」
連れが席を立つ。
スマホを見ていた視線が不意に上がった。
見詰めていたシオンの視線と搗ち合う。
「ん、どっかで会った事あったっけ?」
ツグムが顔を傾げた。
「ジムで…。」
「ウチの会員か。
と言っても覚えてないけど、悪いな。」
ツグムは立ち上げり、連れの姿を探す。
「遅いな、喉がカラカラなのによ。」
文句を言いながら、テーブルを叩く。
目の前に殆ど飲んでないビールがある。
『良かったら飲みませんか?』
その一言が出てこない。
「あー、アナルが疼くぜ。
どっかにイケメンのタチはいないのか?」
聞こえよがしにツグムが呟く。
もしかして誘っているのかと勘ぐる。
だが直ぐに自己否定した。
『掘ってやろうか?』
簡単な誘いを飲み込む。
「じゃあ、今度トレーニング見て下さい。」
全く違う言葉が口を衝く。
「だったらパーソナル入れてくれ。
でないと、俺の儲けにならないからな。」
シオンは会釈すると、ツグムの脇をすり抜ける。
「今日は先行して、1つアドバイスしてやるよ。
折角頑張って、その白いタイツを穿いてきたんだろ。
だったらさ、もっと汗掻いて、透けさせろよ。
もっとアピールしてこいよ。
こんな地味な場所でぼっとしてないでさ。」
声が追ってきた。
悔しさより、羨ましさが先に立つ。
自信満々の生き方が眩しかったのだ。
ツグムが輝いているのは照明だけの所為ではない。」
酷い言われ様だが、それに納得していまう自分がいた。
燦々と眩しい太陽を浴びて咲く花がツグムだ。
自分はその根本で鬱蒼と生えてる雑草だった。
「おお、ここだ、ここだ!
早く寄越せ!
干乾びそうだ。」
連れの姿を見付けたツグムが頭上で両手を大きく振る。
飛び散った汗が白いタイツを濡らした。
『仕方ないよな。』
帰り道、そう呟く。
日向で生きるツグムが俺に跪いている。
その事実がシオンを混乱させた。
「どうせアナルが疼いているんだろ!
掘ってやろうか?」
言葉がすらすら出てくる。
あの日、フリーズした唇は滑らかだ。
フェラチオをしたままツグムが疼く。
跪いたツグムはジャージを下ろし、四つん這いになる。
Tバックの焼け跡が淫乱さを示していた。
日頃感じた事のないサディスティクな性が頭を擡げる。
『これが俺?』
戸惑いながらも、走り出した欲望は止まらない。
(つづく)
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