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Chapter3(推し燃ゆ編)
Chapter3-④【怪物】
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「さあ、ゴリアテを討伐に行きましょう。」
ショーンが個室を出ていく。
同時に隣のドアも開いた。
頬を上気させ男の手が伸びる。
熱り立つペニスを隠しもせずに。
「本日の素股はサービスです。
ご来店頂けましたら、中出しでも殴打プレイで、もどのようなお望みでもお応え致し
ます。」
ショーンはスルリとすり抜けると、その手に名刺を握らせた。
呆気に取られた男は手元を見る。
「クラブって、単なる売りだろ。
なら幾らだ?」
男は目線を上げると、ニヤリと笑う。
「店外奉仕のご料金は日帰り六時間の場合は五万円。
泊まり12時間迄は十万となっております。
追加は一時間に付き、一万円を加算させて頂きます。
店内であれば、格安でご奉仕が可能です。」
「調子に乗りやがって。
お前みたいな変態にそんな高額払う訳ないだろ!」
振り上げた拳がターゲットを捉えた。
寸前でショーンは身を屈め、難なく避ける。
髪を掠めた拳は空を切り、勢い余ってドアに打ち付けた。
「いでぇ!」
悲鳴を上げた男は腕を大きく振って、痛みを吹き飛ばそうとした。
「無事、ゴリアテ退治が終わりました。
そろそろ私は店へ行きます。
また明日、ここで。
楽しみにしております。」
ショーンは痛がる男に目もくれず、脱衣室へ向かう。
「今日はそのゴムバンドが私だと思って、欲情してて下さい。」
口調は既に接客モードになっている。
「俺も…、帰るよ。」
射精してしまった身体にこの競泳用水着は小さ過ぎた。
夕方明るい時間を自宅で過ごす事は少ない。
前回この時間に家にいたのは、半年前に風邪をひいた時だった。
普段であれば、ジムにいる時間だ。
今日は午前中からトレーニングを行ったので、他にする事はない。
筋トレ以外に趣味はなかった。
酎ハイのロング缶を開け、テレビを点ける。
複数のマッチョ芸人が互いの筋肉自慢をしていた。
「ショーンの筋肉の方が余程凄いのに…。」
思いは別れたばかりの男へ至る。
ショーンの職業を初めて知った。
限りなく売り専に近いサービスを行っている様だ。
その代金はとても自分が払える額ではなかった。
ショーンは何故、自分に近付いたのだろうか?
酔った頭には難しい問いだ。
ショーンは新たな刺激を与えてくれた。
ゲイの処世術は目立たない事、回りに溶け込む事だ。
町中で会っても気付かれない様に印象を薄くする。
会社でも同じだ。
兎に角、印象を残さない。
存在した事を思い出させない事だ。
そうすれば変な噂が立つ事もなく、後ろ指を指される心配はない。
マイノリティを隠し、マジョリティに紛れる。
自分の中の変わった物に蓋をし、ひたすら平均的な人を装ってきた。
その蓋をショーンに開けられてしまった。
もう一度、封印は可能だろうか?
答えは分かりきっていた。
禁断の快楽を身体は知ってしまったのだ。
後戻りは出来ない。
今、ショーンが消えてしまったら?
きっと高価な代金と引き換えにしてでも、会いに行くだろう。
これがショーンの目的なのか?
酔いがネガティブな答えを導く。
腹が鳴る。
頭を振って、空腹で飲んだ事を後悔した。
(つづく)
ショーンが個室を出ていく。
同時に隣のドアも開いた。
頬を上気させ男の手が伸びる。
熱り立つペニスを隠しもせずに。
「本日の素股はサービスです。
ご来店頂けましたら、中出しでも殴打プレイで、もどのようなお望みでもお応え致し
ます。」
ショーンはスルリとすり抜けると、その手に名刺を握らせた。
呆気に取られた男は手元を見る。
「クラブって、単なる売りだろ。
なら幾らだ?」
男は目線を上げると、ニヤリと笑う。
「店外奉仕のご料金は日帰り六時間の場合は五万円。
泊まり12時間迄は十万となっております。
追加は一時間に付き、一万円を加算させて頂きます。
店内であれば、格安でご奉仕が可能です。」
「調子に乗りやがって。
お前みたいな変態にそんな高額払う訳ないだろ!」
振り上げた拳がターゲットを捉えた。
寸前でショーンは身を屈め、難なく避ける。
髪を掠めた拳は空を切り、勢い余ってドアに打ち付けた。
「いでぇ!」
悲鳴を上げた男は腕を大きく振って、痛みを吹き飛ばそうとした。
「無事、ゴリアテ退治が終わりました。
そろそろ私は店へ行きます。
また明日、ここで。
楽しみにしております。」
ショーンは痛がる男に目もくれず、脱衣室へ向かう。
「今日はそのゴムバンドが私だと思って、欲情してて下さい。」
口調は既に接客モードになっている。
「俺も…、帰るよ。」
射精してしまった身体にこの競泳用水着は小さ過ぎた。
夕方明るい時間を自宅で過ごす事は少ない。
前回この時間に家にいたのは、半年前に風邪をひいた時だった。
普段であれば、ジムにいる時間だ。
今日は午前中からトレーニングを行ったので、他にする事はない。
筋トレ以外に趣味はなかった。
酎ハイのロング缶を開け、テレビを点ける。
複数のマッチョ芸人が互いの筋肉自慢をしていた。
「ショーンの筋肉の方が余程凄いのに…。」
思いは別れたばかりの男へ至る。
ショーンの職業を初めて知った。
限りなく売り専に近いサービスを行っている様だ。
その代金はとても自分が払える額ではなかった。
ショーンは何故、自分に近付いたのだろうか?
酔った頭には難しい問いだ。
ショーンは新たな刺激を与えてくれた。
ゲイの処世術は目立たない事、回りに溶け込む事だ。
町中で会っても気付かれない様に印象を薄くする。
会社でも同じだ。
兎に角、印象を残さない。
存在した事を思い出させない事だ。
そうすれば変な噂が立つ事もなく、後ろ指を指される心配はない。
マイノリティを隠し、マジョリティに紛れる。
自分の中の変わった物に蓋をし、ひたすら平均的な人を装ってきた。
その蓋をショーンに開けられてしまった。
もう一度、封印は可能だろうか?
答えは分かりきっていた。
禁断の快楽を身体は知ってしまったのだ。
後戻りは出来ない。
今、ショーンが消えてしまったら?
きっと高価な代金と引き換えにしてでも、会いに行くだろう。
これがショーンの目的なのか?
酔いがネガティブな答えを導く。
腹が鳴る。
頭を振って、空腹で飲んだ事を後悔した。
(つづく)
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