妄想日記8<<FLOWERS>>

YAMATO

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Chapter3(推し燃ゆ編)

Chapter3-⑤【スシ食いねぇ!】

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携帯が鳴った。
ヒロムの顔が浮かぶ。
予定が狂った事を詫びる電話だろう。
だが謝られても、それに対する言葉が見付からない。
予定が変わった事で、青空を見る事が出来た。
あのまま旅行を続けていたら、今も雨の中にいる筈だ。
憂鬱な思いで手を伸ばす。
ディスプレイが表示したソラの文字を見て、安堵の溜め息が溢れた。
「今、どこ?」
「自宅だけど。」
「こんな時間に家にいるなんて、珍しいじゃん。」
「まあな、昼間にトレーニング済ませちゃったから、する事ないんだ。」
ソラには見栄を張らず、本心で話せる。
『覗きに来ただけみたい。』
前回吐いた嘘を思い出し、心の中で頭を下げた。
「お袋がさ、桃を大量に送ってきたんだ。
ヒュウガが桃好きなの思い出してさ。
お裾分けに持って行くけど、家にいる?」
「いつも悪いな。
今日はもう出掛けないよ。」
福島の実家から送ってくる桃を毎年持ったきてくれた。
初めて会った時に、桃尻が好物だと言ったのをずっと覚えていてくれたのだ。
「じゃあ、8時頃行くから、晩御飯ヨロシク。」
「なら寿司でも買っておくから。」
通話を切って、財布を覗く。
旅行代が殆ど残っていた。
発展場で泊まらなくて良かったと、胸を撫で下ろす。
「よし、高級寿司だ!」
今度こそ奮発しようと、財布を握り締める。
散財なら人の為に使うべきだ。
気持ちが変わる前に商店街へ向かう。
 
「随分、豪勢じゃん。
これって大トロだよね?
わらしべ長者になった気分。
お袋に感謝しなくちゃ。」
ローライズのスパッツから覗く大臀筋は桃の様にプリプリしている。
「その格好で来たんだよね…。」
ピタピタのタンクトップでは大きな乳首は隠せていない。
「このタンク、ラバーっぽいでしょ?
オカマの視線が集まるんで、最近ヘビロテしてるんだ。」
「でもこの暑さの中で、汗びっしょりじゃん。」
汗を浴びた生地がテカテカに光っている。
「確かに蒸れるけど、お洒落は我慢さ。」
ソラが屈託なく笑う。
人目を全く気にしない性格が羨ましい。
こんな格好で外を歩いてみたいが、自分には無理だろう。
ずっと目立たず、無個性を通してきた人生だった。
今更、派手な生き方は出来そうもない。
 
「ソラはさ、なぜ筋トレしてるの?」
スパークリングワインを注ぎながら聞く。
「そりゃ、モテたいからさ。
マッチョじゃないと、見向きされないからね。
マッチョはマッチョを好む、これは自然の摂理さ。」
ソラの持ったグラスに自分のを重ねる。
「見られたい願望があるの?」
「当たり前じゃん。
折角鍛えた筋肉だもん、見られてナンボだよ。
さっきも電車の対面に座ってたリーマンがガン見してたから、サービスしちゃっ
た。」
胸筋を交互に動かす笑い顔には幼さが残っていた。
「でもさ、こんな甘ったるい顔に需要はないんだよね。
塩顔のヒュウガも同じだと思ってたら、あんな上玉をゲットしちゃうし。」
ヒロムの事を言ってるらしい。
「絶対に手放しちゃダメだよ。
僕達みたいな非野郎系を好む人なんて、少ないんだからさ。」
大きく開いた唇が大トロを頬張った。
 
(つづく)
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