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Chapter10(霹靂編)
Chapter10-①【未来飛行】
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「お帰りなさい。」
リョウキは朝出掛けた如く出迎えてくれた。
そうごく自然に。
メッシュのマスクを被っている以外は。
「ただいま…。」
言葉が見付からず、ありふれた返事をする。
「今日は泊まっていきますよね。
明日は快晴の予報です。
日焼けに行きませんか?
あっ、ブーツは脱がなくて結構です。
そのまま上がって下さい。」
アイスコーヒーが直ぐに出てきた。
自分が来る事を予感して、マスクを被っていたのだろうか?
それとも普段から外さないのか?
「今日は暑いですね。
本州は太平洋高気圧とチベット高気圧に覆われているそうです。
明日は40度近くなるので、真っ黒に焼けそうです。」
「もう充分焼けてるけど。」
「今日も最強マシンで二時間焼いてきました。
リヒトさんに気に入られたくて、頑張りました。」
最強マシンは30分が妥当だ。
60分になると注意事項を聞き、同意する必要がある。
その倍の120分も焼いて、問題ないとは思えない。
テカテカと輝く漆黒の肌をまじまじと見る。
黒いスキンを纏っている様だ。
同色の全頭マスクと相まって、現実感を消失させた。
「そうだ、今度旅行へ行きませんか?
南の島がいいですね。
どこか希望はありますか?」
「旅行に行けるなら、何処でもいいです。」
旅行と呼べる遠出をしたことがない。
引きこもりだった所為で、修学旅行は行っていない。
時間を持て余していても、1人で旅行するという発想はなかった。
父の存在を知る。
それはルーツ探しの旅の不要を意味していた。
「良かった。
では幾つか候補をあげるので、リヒトさんの好きなリゾートへ行きましょう。」
黒光りする肌が更に濃くなる。
自分が望めば、リョウキはきっと叶えてくれる筈だ。
より強い陽光を浴びられるリゾートがいい。
真っ黒に焼けた股間を踏み潰す。
メッシュのマスクで顔は分からない。
だが苦痛により、快楽を得ているのは分かる筈だ。
白い飛沫が黒い肌を濡らす。
妄想が気持ちを浮き立たせた。
前回と違いステーキを堪能して食べた。
ワインは肉にとても合い、香りを楽しむ前に飲み干してしまう。
語らいながら食べる食事は何時以来だろうか?
「南太平洋は季節が逆なので、避けた方が良さそうすね。
東南アジアは雨季みたいです。」
「選択肢は意外と少ないんだね。」
「ハワイ、グアム、ヨーロッパなどがありますね。
フランスのニースはどうですか?」
出来れば英語圏がいい。
「もう少し近場がいいな。
ハワイは混んでそうだね。
英語が通じる所で、人の少ないところでのんびりしたいな。」
「オアフ島は混んでそうですね。
カウアイ島やハワイ島はそれ程でもないと思います。」
「詳しいね。
行った事あるの?」
「ええ、何度か…。」
歯切れの悪い答が邪推を引き起こす。
クロやマナトと行った場所には行きたくない。
「どうせなら、リョウキも初めての場所の方が新鮮じゃない。
行った事のない所はある?」
「グアムは行ったことがありません。」
「ならそこを第一候補にしよう。」
クロやマナトの顔を葬り去ろうと、ワインを飲み干した。
今迄続けてきた英語の勉強は役立つだろうか?
文法は自信があるが、会話はした事がない。
自分の英語レベルが試せる事が嬉しかった。
(つづく)
リョウキは朝出掛けた如く出迎えてくれた。
そうごく自然に。
メッシュのマスクを被っている以外は。
「ただいま…。」
言葉が見付からず、ありふれた返事をする。
「今日は泊まっていきますよね。
明日は快晴の予報です。
日焼けに行きませんか?
あっ、ブーツは脱がなくて結構です。
そのまま上がって下さい。」
アイスコーヒーが直ぐに出てきた。
自分が来る事を予感して、マスクを被っていたのだろうか?
それとも普段から外さないのか?
「今日は暑いですね。
本州は太平洋高気圧とチベット高気圧に覆われているそうです。
明日は40度近くなるので、真っ黒に焼けそうです。」
「もう充分焼けてるけど。」
「今日も最強マシンで二時間焼いてきました。
リヒトさんに気に入られたくて、頑張りました。」
最強マシンは30分が妥当だ。
60分になると注意事項を聞き、同意する必要がある。
その倍の120分も焼いて、問題ないとは思えない。
テカテカと輝く漆黒の肌をまじまじと見る。
黒いスキンを纏っている様だ。
同色の全頭マスクと相まって、現実感を消失させた。
「そうだ、今度旅行へ行きませんか?
南の島がいいですね。
どこか希望はありますか?」
「旅行に行けるなら、何処でもいいです。」
旅行と呼べる遠出をしたことがない。
引きこもりだった所為で、修学旅行は行っていない。
時間を持て余していても、1人で旅行するという発想はなかった。
父の存在を知る。
それはルーツ探しの旅の不要を意味していた。
「良かった。
では幾つか候補をあげるので、リヒトさんの好きなリゾートへ行きましょう。」
黒光りする肌が更に濃くなる。
自分が望めば、リョウキはきっと叶えてくれる筈だ。
より強い陽光を浴びられるリゾートがいい。
真っ黒に焼けた股間を踏み潰す。
メッシュのマスクで顔は分からない。
だが苦痛により、快楽を得ているのは分かる筈だ。
白い飛沫が黒い肌を濡らす。
妄想が気持ちを浮き立たせた。
前回と違いステーキを堪能して食べた。
ワインは肉にとても合い、香りを楽しむ前に飲み干してしまう。
語らいながら食べる食事は何時以来だろうか?
「南太平洋は季節が逆なので、避けた方が良さそうすね。
東南アジアは雨季みたいです。」
「選択肢は意外と少ないんだね。」
「ハワイ、グアム、ヨーロッパなどがありますね。
フランスのニースはどうですか?」
出来れば英語圏がいい。
「もう少し近場がいいな。
ハワイは混んでそうだね。
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「オアフ島は混んでそうですね。
カウアイ島やハワイ島はそれ程でもないと思います。」
「詳しいね。
行った事あるの?」
「ええ、何度か…。」
歯切れの悪い答が邪推を引き起こす。
クロやマナトと行った場所には行きたくない。
「どうせなら、リョウキも初めての場所の方が新鮮じゃない。
行った事のない所はある?」
「グアムは行ったことがありません。」
「ならそこを第一候補にしよう。」
クロやマナトの顔を葬り去ろうと、ワインを飲み干した。
今迄続けてきた英語の勉強は役立つだろうか?
文法は自信があるが、会話はした事がない。
自分の英語レベルが試せる事が嬉しかった。
(つづく)
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