妄想日記8<<FLOWERS>>

YAMATO

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Chapter11(誤算編)

Chapter11-⑦【美辞麗句】

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その夜、ショーンの部屋でビールを飲んだ。
ここも花とオイルの香りで満ちていた。
ワンピース姿のショーンと夢の様な時間を過ごす。
「ストロングポイントですか?」
酔った勢いで悩みを打ち明ける。
「今のままでも、リョウキさんは充分に素敵だと思いますが。」
ホストが言いそうなリップサービスだ。
『だったら東京に戻っても、会ってくれますか?』
出掛かった言葉をビールで押し戻した。
酒癖の悪い男と思われたくない。
「一度会ったら忘れられず、また会いたくなる魅力が欲しいのです。」
違う言い方で訴える。
「そうですね。
他の人の事は分かりませんが。
私なら…。」
他の人なんてどうでもいい。
ショーンの事が知りたいのだ。
ビールを飲み込む姿がスローモーションの様にゆっくり見えた。
 
「私なら、唯一無二の存在に惹かれます。」
「唯一無二?」
「そうです。
ピアスやタトゥー、肉体を使ったオリジナリティのある人に惹かれます。」
ピアスやタトゥー等、考えた事もない。
自分がその他大勢である理由を知る。
代替が可能なのはオリジナリティがないからなのだ。
平凡に慣れ、努力してこなかった。
「ピアスとタトゥー、どっちにより惹かれますか?」
「私が一番惹かれるのは唯一無二のペニスです。 」
「えっ?」
「例えば極端に小さかったり、大きかったり。
他にないフォルムのペニスが理想です。」
大きさはどうしようもない。
他にないフォルムとはどういうものなのか?
「そのフォルムに、私もなれますか?」
「ええ、根気さえあれば、可能です。」
「どうすればいいのですか?」
「試してみますか?
もしかすると、後悔するかもしれませんよ。」
念を押され、直ぐに返事が出来ない。
だが努力もせずに、他人を妬んでばかりいるのはうんざりだ。
何もしないで、ストロングポイントは得られない。
ショーンは暗にそう言ってる気がした。
「後悔なんかしません。
宜しくお願いします。」
ビールを飲み干し、勢いよく缶を置く。
「分かりました。
ではパンツを脱いで下さい。」
その言葉を聞き、頬を張る。
幼い頃に習っていた柔道の試合を思い出した。
 
「これはペニスの拡張器具です。」
ペニスに被せたシリンダから空気を抜いてく。 
真空になると、中のペニスは膨張し始めた。
最初は隙間のあったシリンダにペニスが張り付いている。
「これは大きくする為ですか?」
太くなったペニスに目を見張る。
「当初の目的はそうでした。
でも今は違う用途の為に使用しています。
今、どんな気分ですか?」
「大きくなった事で、優越感を覚えています。」
「本来の目的はそうです。
私も最初はそうでした。
その為、禁止事項も顧みず、取り憑かれた様に使い続けました。
結果、違う効果を得たのです。」
「違う効果とは?」
「この器具は一回の使用時間を30分から一時間程度を推奨しています。
そして一度使ったら、必ず休息日を設ける様に記されていました。
私はそれらを無視し、より早い効果を求めたのです。」
「その結果は?」
怪談を聞いてるが如く、背筋がぞくぞくした。
怖さや怪しさの終に惹き付けられたのだ。
 
(つづく)
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