妄想日記5<<DISPARITY>>

YAMATO

文字の大きさ
上 下
18 / 236
Chapter1(立志編)

Chapter1-⑨【I'LL BE】後編

しおりを挟む
ナツキは携帯を操作し、お気に入りのサイトを表示させる。
以前、ネットで調べたゲイ専用ジムのページだ。
機会があればと思って、ブックマークに登録しておいた。
その時が来たのだ。
住所を頼りに、町をさまよう。
携帯を横にしたり、逆さにして画面を睨む。
だが知らない町ではどっちが北かも分からない。
目立つ建物もなく、八方塞がりだ。
ジムを名乗る位だから、大きな出入り口に看板が出ている筈だ。
「こんな住宅街に本当にあるの?」
カズユキが不安げに聞く。
「大体この辺りなんだがな。」
さっきも通った道に出て、困惑する。
するとスポーツバッグを背負った男がナツキ達に目を向けた。
一目で仲間だと分かる。
「渡りに船だ。
後を追うぞ。」
男は普通の一軒家に入っていく。
ナツキはその家の門扉に目を向ける。
『兒玉ジム』と小さなプレートが出ていた。
「えっ、ここ?」
余りにイメージの掛け離れた外観に不安を抱く。
 
「いらっしゃい。
初めてですか?」
中に入ると、気の良さそうな年配者が声を掛けてきた。
真冬にも関わらず真っ黒に焼けている。
オイルでも塗っている様だ。
テカった筋肉はゴキブリを連想させた。
「はい、初めてっす。」
愛想良く返事しながら、年配者をまじまじと見る。
カウンターの中で、Tバック姿で受付していた。
「今日、入会しますか?
初めての方なら、初回のみ500円で利用も出来ますよ。」
年配者がカウンターの外に出てきた。
「お客さん、随分やり込んでますね。
むちむちの筋肉が美味しそう。
スポーツ経験は?」
馴れ馴れしく身体を触る。
微かに触れる程度の不快な触り方は部活にはなかった。
「ずっと柔道部に入ってます。
なら今日は500円でお願いします。
ウエイトとか色々見てから、入会します。
構わないっすか?」
嫌悪感が顔に出ない様に愛想笑いを浮かべる。
「勿論よ。
それでは入会は次回という事で。
柔道部ならここではモテモテよ。
あっ、申し遅れました。
兒玉と申します。」
年配者は慇懃な笑みを湛え、名刺を差し出した。
 
「ここがロッカー室です。
着替えたら鍵を閉めて、腕に嵌めておいてね。
あらっ、タッ君、今日はどこのトレーニング?」
兒玉が先を歩いていた男と話し出す。
流石にこの場でカズユキに着替えさせるのは躊躇われる。
仕方なく、仕事中に穿いていたロングスパッツをカズユキに貸す。
上に丈の長いシャツを着せると、ザーメンで濡れた股間をなんとか隠せた。
良く良く見なければ縄は分からない。
だが今度は自分が穿く物がない。
「タッ君、サポートが必要なら言ってね。」
男がロッカー室から出ていく。
ケツワレから発達した大殿筋が丸見えだ。
「俺もケツワレ一丁でやるか。」
貞操具の凹凸が浮かび上がるが、兒玉が待っている中、悩んでいる暇はない。
「お待たせっす!
ウェイトエリアはどこっすか?」
態と大きな声で聞く。
「やだ、あんた達、SMカップルなの?
内はそういう人達は大歓迎よ。」
兒玉は目を丸くして、二人を交互に眺めた。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

水球部顧問の体育教師

BL / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:53

無慈悲な湯の中で青年は淫らに狂わされる

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:11

妄想日記4<<New WORLD>>

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:21

刑事は過敏な弱点を媚薬に打ちすえられる

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:11

中年教師と初恋と調教

BL / 完結 24h.ポイント:184pt お気に入り:27

二度目の人生は、地雷BLゲーの当て馬らしい。

BL / 連載中 24h.ポイント:2,186pt お気に入り:586

処理中です...