妄想日記3<<RISING>>

YAMATO

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Chapter1(Paradise Gym編)

Chapter1-⑥【素晴らしき世界】

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「まあ落ち着いて下さい。
これはキャラクター作りです。
お客様にあなた方の事を良く知ってもらう為には、外見が大切です。
ウケのお客様なら、タチのトレーナーに教えてもらいたいと思うのが自然です。
勿論、MならSというように。」
微笑みを湛えた岩佐がタカユキに近付き、しゃがみ込んだ。
「私は見た目を重視しています。
タカユキさんにはその役を演じて欲しいのです。
見るからにS。
見るからにM。
これがお客様の欲求を満たす第一歩なのです。
ん?この陰毛は頂けません。
ケンゴさん、後で剃刀を買って来て、あなた同様に剃ってあげて下さい。
領収書を忘れないようにお願いします。」
岩佐はポケットから財布を出すと、千円札をケンゴに渡す。
「うぃーす。」
ケンゴはこの状況を思い切り愉しんでいた。
「お前も馬鹿だよな。
服には文句を言わないと、誓約書に書いてあっただろ。
後でびしっと剃ってやるよ。」
ケンゴが目の前で千円札をちらつかせる。
「分かっているけどさ…。」
二の句が出てこない。
しかし納得がいかない。
チーフとは名ばかりで、主導権はいつもケンゴが持っていた。
 
昼飯の後、コンビニに寄って、ケンゴが剃刀を買う。
タカユキはレジに並ぶケンゴを見て、股間が固くなる。
レザー製のTバックは伸縮性が全くない。
窮屈な空間でマラが藻掻く。
その閉塞感が更に欲情を加速させた。
シャワー室に敷いた新聞紙の上に立たされる。
服を着ているケンゴの前で、独り素っ裸な事に興奮した。
「お前さ、ホントはパイパンになりたかったんだろ?
でなけりゃ、こんなに先走りが出る訳ねぇぜ。」
下から見上げた顔がせせら笑う。
ケンゴの言う通りだ。
タカユキはずっとパイパンに憧れていた。
銭湯やジムでの視線を考えると、中々一歩を踏み出せなかっただけだ。
今日のケンゴみたいにあっけらかんと、パイパンを曝け出す事もありなんだと知る。
「ケンゴはさ、パイパンを見られて恥ずかしくないのか?」
忙しなく剃刀を動かしている手に聞く。
「お前は自意識過剰なんだよ。
自分が思う程、他人は気にしてないさ。
もし見てる奴がいたら、そいつはお前みたいに自分自身を欺いてる奴だ。
そんな奴には見せ付けてやればいいのさ。」
見上げた顔がウインクする。
さっき盗み見した事を言われているのかと、ドキッとした。
本当に器用なケンゴは躊躇う事なく剃刀を動かす。
あっと言う間に新聞紙は陰毛で覆われていく。
それを見ている内に、意識が少しずつ変化し出した。
 
「やはりスッキリしました。
これからも見た目を大切にして下さい。」
岩佐が満足げに顎を摩る。
「で、客が来るまで、俺達はどうすればいいんだ?」
ケンゴが手持ち無沙汰に聞く。
「早番の方は午前中を掃除に当てて下さい。
遅番の方は在庫の確認と発注業務を行います。
それ以外のお客様がいない時間帯は、トレーニングして頂いて構いません。
筋力を上げる事が時給アップの近道です。」
岩佐がまた口だけで笑った。
タカユキも内心笑いが止まらない。
ジムの営業時間は朝10から夜11時までとなっている。
早番がオープンから5時、遅番が4時からラストまでだった。
毎週水曜日が定休日で、日曜日は18時にクローズするので、遅番は休みだ。
シフトは一週間で交代し、勤務条件は悪くない。
それで月30万以上貰えるのだから、笑いが止まらないのも無理がない。
しかもトレーニング付きだ。
タカユキは世界中の幸せが自分に集まっている気がした。
「棚からぼたもちか。」
今になってみると、リストラされた事がこの幸運の始まりなのだ。
 
(つづく)
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