妄想日記3<<RISING>>

YAMATO

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Chapter2(Strange Man編)

Chapter2-①【LOVE RAIN~恋の雨~】

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オープンの30分前にジムへ着いたが、自動ドアは既に作動していた。
タカユキは傘を畳み、中に入る。
「おはようございます。」
中へ声を掛ける。
「ご苦労様です。
早いですね。」
カウンターの中から岩佐の声が返ってきた。
「今日から独りなので、緊張してよく眠れませんでした。」
頭を掻く手がぎこちない。
岩佐の前だと、未だに緊張してしまう。
「昼までここにいますので、先に掃除をお願いします。
それと本日のウェアです。」
華奢な手が小さく畳まれたウェアを差し出す。
「今日はこれだけですか?」
広げたウェアはグレーのケツワレだった。
翳してみると、フロントカップは透け透けだ。
「オープン一日目です。
気合い入れていきましょう。」
岩佐が声を張った。
「と言う事は、今日はハリガタを入れなくてもいいんですか?」
恐る恐る聞いてみる。
穏やかな表情が固まった。
「どうしてそう思ったのですか?」
抑揚のない声が聞き返す。
「えっ?ただハリガタが直に見えたら、お客様が不愉快かと…。」
蛇に睨まれた蛙の如く、畏縮した口が言葉を飲み込む。
「それはお客様が決める事です。
あなたではありません。」
声を荒げた岩佐は背中を見せると、ショーケースを磨き始めた。
「すっ、すいません。
入れてきます。」
無言の背中に向かって言うと、スタッフルームに逃げ込んだ。
 
「何もあんなに怒る事ないのに!
やっぱり雨の日はツイてないな。」
独りになった事で、少し余裕が出て来た。
何の因果もない雨の所為にして、憂鬱な気分を振り払う。
着替え終わると、姿見の前に立ってみる。
グレーのカップからマラがまる見えだった。
『大体この手のケツワレは、ケンゴみたいな太マラの奴が穿けばいいんだ!』
昨夜のケンゴを思い返す。
鏡に映るマラの根元で、コックリングが鈍く光る。
ケンゴがくれたリングだ。
経過はともかく、初めてのプレゼントだった。
自然と笑みが零れる。
 
ロッカーとシャワー室の清掃から始める。
岩佐と同じ空間にいたくなかった。
一時間程掃除していると、汗だくになる。
ベンチに座り汗を拭いていると、ドアが開いた。
「そろそろ事務所に戻ります。
困った事が起こったら、携帯に電話を下さい。」
岩佐が顔を出した。
「あっ、行ってらっしゃい。」
立ち上がって頭を下げる。
『一時間休みなく働いていたのに、休んだ瞬間に入って来るなんて!』
自分のタイミングの悪さに腹が立つ。
「先程は言い過ぎました。
すみません。」
岩佐が照れ臭そうに謝った。
初めて見せる表情だ。
「やはりタカユキさんは、どんなウェアも似合います。
毎日あなたのウェアを選ぶのが、楽しみで堪りません。
では行ってきます。」
岩佐は片手を上げると、顔を引っ込めた。
 
開き放しのドアを見詰める。
雨の日も意外といいかも知れないと、思い直す。
昨日の混雑が嘘の様に、人っ子ひとりやって来ない。
やはり皆、ケンゴが目当てだからだろう。
「夕方になると混むんだろうなぁ。」
溜息しか出て来ない。
気分転換にベンチに座る。
ウェイトを付けないで、フォームチェックを行う。
天井にも鏡が備え付けられていて、フォームを確認出来る。
昨夜、ここでケンゴの命令を享受した。
『あの息苦しさと同時に、感じた気持ち良さは何だったんだろう?』
あの時、確かに快楽を得た。
血液が股間に集つまり、マラがリングで締め付けられる感覚。
丸でケンゴの指で締められてる錯覚を覚えた。
風が舞い込む。
ふと視線を感じた。
起き上がると、入口にいた男と目が合う。
タカユキは自動ドアが開いた事に気付かなかった。
「あの、見学に来たんですけど…。」
男が気まずそうに口を開く。
サイクリングウェアに身を包んだ男は、ロードレース用のヘルメットを持っていた。
『デケェ…。』
タカユキは男の股間に目が釘付けになる。
『ゴクン。』
自分の生唾を飲み込む音が、やけに大きく内耳に響いた。
 
 
(つづく)
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